【感想・ネタバレ】落合陽一 34歳、「老い」と向き合う ―超高齢社会における新しい成長のレビュー

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デジタルクリエイター/研究者としての視座から見た現代介護の問題点とソリューションを提案している一冊。「デジタルネイチャー」という概念に“身体性の拡張”という要素が含まれており、“壁をなくす”をミッションとしている著者の、研究の延長線上に必ず介護の問題にぶつかることに対して、今のテクノロジーや事例から視える近未来を描いた意欲作。

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2024年01月16日

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ネタバレ

 この本が発売されることは知らなかったですし、「老い」というものがテーマであまり積極的に読もうと思わなかったのですが手にとって読んでみました。すると普段自分がもやもやと感じていることに対して解決の方策が書かれていることに気が付きました。

 落合陽一さんは最近"民藝"というワードを使って「手触りのあるもの」「一回性」のようなものをどう感じていくかを語っていることが多いように思います。本書で取り上げられている介護の世界では人と人との関係が密で、介助する側の負担が大きいわけですが、テクノロジーによって緩和させなくてはいけないし、それができるということが書かれています。

 自分の友人や親戚にも介護福祉職の人がいるのでこの職の負担が大きいということは理解しているつもりですが、状況を改善させるには給与水準の低さや重労働がどうしても足かせになります。以前どのようなことが大変か友人にきいたら、仕事が終わった後に「利用者のヒヤリング状況を報告書にまとめないといけないが、紙に書いてあるものをPCから入力する」といった作業を行っているそうで、テキストマイニングのアプリなどを教えてあげましたが、なかなか福祉業務用に使える状態にはないのですぐには使えなかったようです。現場の人は慣れたやり方で半ば根性で乗り切っているのです。しかしそれは介護される人、利用者の人口が増えれば立ち行かなくなってしまい、介助する側が疲弊してしまうでしょう。

 落合さんはこれまで試験導入された様々なプロダクトを紹介しながら、これからは「現場で必要なものをITの力で生み出していくようになる」と予想しています。2010年代はSaaSが流行り、どちらかというとカスタマイズのない画一的なサービスを提供するモデルが浸透しました。しかしこれからはそれ以前のカスタマイズともいえるサービス提供が始まるということなのでしょうか。少なくとも1990年代~2000年代前半と違うのは、低コスト、短期間で現場で必要なものを作ることができるようになる、ということなのでしょう。この予想については自分としては少し意外で、しかし普段感じていたもやもやを解消してくれるものでした。今のSaaSによるサービスはユーザーの要望を取り入れているとは言え、結局本当に現場が必要とするものは十分には提供できていないのです。そして現場でカスタマイズするための手段は提供していても、現場の技術的スキルの不足により結局実現できないのです。しかしこれからは必要となる技術的スキルがさらに低いものとなるということなのでしょう。

 一番共感したのは、現場の介助する側(支援する側)が介助される側(支援される側)の状況に深く入り込みすぎて精神的な負担が大きすぎる、という点です。これは医療の現場でも似たような状況なのかもしれませんが、もう少し精神的な負担を減らす仕組みをITで実現できると思います。例えば認知症患者との会話はロボットがある程度対応するといったことです。人間よりもロボットとの会話によって患者が流暢になった、反応があったという事例も紹介されていました。

 少し話が変わりますが、真夏の工事現場で作業員の身体を冷やすような作業着が導入されたり、重いものをもちあげるときに腰を補助する機械が導入されたりしています。ああいったものを見ると、まだまだ作業者を支援する仕組みは作れるし、根性に頼らない仕組みを作っていかなくてはいけません。介護や福祉の世界でも同じことだと思います。

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2021年12月19日

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落合陽一さんが老いについて語った一冊。ここ数年老いについて関わることが増えたという、情報テクノロジーの専門家の落合さんが、テクノロジーを使って介護現場における省力化と自然なコミュニケーションによる介護の実現を目指す。最初に収録されている養老孟司さんとの対談も見物。「VR・サブスク・シンプルなUI・5Gと介護」この響きに惹かれた人と、現在介護に関わっている人(将来的に介護事業に携わりたい人)にオススメの未来の書。

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2022年07月05日

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内容はそれほど深くないかもしれません。ただ、自分には、引っ掛かる言葉が幾つもあった。豊かさとは。具体的に生きる豊かさとか。介護ケアと労働の歪みとか。そしてなによりこの言葉にぐっときた『世の中をどう捉えるかは、常に自分自身の見方によって変化する』

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2022年06月18日

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高齢化社会に向けたテクノロジーの方向性について、視座を高めることができたと感じた。自分の価値観に自信を持つことができた。

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2022年02月03日

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やはりなんとなく「老い」というとマイナスなイメージがつきまとう。
ただ、テクノロジーで「老い」をより「豊か」な人生に変えることができるかも。

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2022年01月02日

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ネタバレ

『テクノロジー』
・ARカメラや、360度撮影可能な全天球カメラを組み合わせた遠隔操縦自動運転車いす
・空間に映し出された文字のほうを向いて付属のボタンを押すと、音声として読み上げられるスマートグラス
・ヘアピンのように髪の毛に装着し、振動と光によって音の特徴を感じることができるインターフェイス
関節を動かすモーターやバッテリー、コンピューター、センサーを搭載しているサイボーグ義足
・途上国で使用されることが想定された、安価でクオリティの高い途上国向け義足
・障がい者アスリートの経済事情を改善する為作られたオーダーメイドの競技用の義足
・500円玉大のパッチ式センサーを上腕に貼るだけで、採血なしに血糖値を最長14日間連続測定できるデバイス


『近い将来介護はどうなっていくのか?どうなるべきだろうか?』
まず、介護職を「3Kきつい、汚い、危険」「低い賃金」といったネガティブなイメージから解き放ち、人手不足な現状を打破する。デジタルテクノロジーを導入し、働くうえでモチベーションや成長意識を維持できる環境をつくり、満足度をあげる必要がある。
介護現場に根強く残る根性論。「自分が頑張らなければ現場が回らないんだ」と強すぎる責任感を持っていることに敬意を感じるとともに問題も感じる。デジタル化により関節業務がどんどん代替えされ、介護職がトータルコーディネーター、ライフコーディネーターとして役割を果たすようになっていけば、現場にはびこる根性論は影を潜め、クオリティを上げるためにスキルを磨くほうへと、変化していくはず。
介護におけるスーパースターも誕生するはず。たとえば、歴代総理を看取った介護職の人がいれば、それはスタープレイヤーといえる。「総理大臣を看取った」その事実が大きな影響力を持ち、その人の発する言葉には重みがある。
ケアの現場では人間の「おもてなし」を当たり前に享受できる時代は終わり、「人間味のある」質の高いケアに価値を感じる人が金銭を払うサービスと、必要最低限のケアだが金銭の支払いは少なくなるサービスの選択肢が用意される状態になる。
「Uber Eats」のように、スマホ一つで手軽に介護テクノロジーを利用できる世界に。


『避けられない「老い」ポジティブに老いていくには』
よりよく生きていくために大切なのは「豊かさ」である。まず自分にとって豊かさとは何かを改めて考える必要がある。


「人間とAIやロボット、どちらにお世話してもらいたいですか?」そう聞くと、得体の知れない機械にお世話してもらうことへの恐怖心から、「人間に介護してもらいたい」と考える人は多いはず。しかしトイレの後にお尻を他人に拭かれるよりも、温水洗浄便座で綺麗にしてもらうほうを選ぶ人が多いはず。
プライベートゾーンや個人情報に含まれるプライバシーを扱う領域では、人の手よりもテクノロジーの介助を求める人は少なくないはず。

『豊かな人生をお送りください』

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2021年12月26日

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「老いはパラメータ化していく」このフレーズに惹かれたり、疑問を思った人は必読。
タイトルの「老いと向き合う」というよりは、「老いはどうなくなるか、老いが限りなくなくなった世界でどう生きるか」について論じられている印象でした。
面白かったです。
人によっては物足りないかもしれません。

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2021年12月15日

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今現在の介護とテクノロジーの関わりを教えてくれた。悲観的ではなく希望が持てる内容だった。ただ今の私が何が出来るかまでのアウトプットに結びつけるには難しく、考えなければと思った。

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2024年02月04日

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落合さんと養老孟司さんの対談が読めるのが貴重。印象に残ったのは人の手による「温もり」を感じる介護が必ずしも必要だろうかという問いかけ。70が近い母も他人に下の世話をされるようになる前に逝けたらいいんだけどと話すことがあるが、確かに人ではなくかえって機械に助けてもらったほうが気楽だということは介護のなかにはあると感じた。

氏の本を読むのは初めてだったが、老いだけでなく身体障害など健常者とおなじようにできないというマイナスイメージをテクノロジーによって克服してきた事例が多く紹介されていた。

介護職の悪いイメージ(汚い、きつい、危険の3K)も技術の進化で払拭していける、年を取って思うように動けなくなっても豊かに生きていくことは可能である。という未来への希望を感じさせてくれる本だった。

耳慣れないテクノロジー技術の紹介が続き、読んでいて少し疲れたことから星3とした。

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2023年09月23日

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老いとは、単に年齢の積み重ねでもあり、死への距離感とも言えるが、その経年に付随するのは、身体機能の低下やその損傷リスクの増加である。老いに逆らう事が無意味だとか、命に限りある事が美しいという宗教観もあるだろうが、現実社会において、脳機能が働くのに身体が動かないなら、それを補いたいと思う事は自然だ。ここに書かれるのは諦念や達観ではなく、克服。綺麗事ではなく、老いとは唾棄すべきもの。一旦、そうしておかないと、前進しないから、そうする。

世界中で1秒間に死者1.7名。自らの一人称、親しい人のニ人称とも、異なる三人称の死。我々は三人称の死には無関心だが、自らの人生に登場しない人物に感情移入する方が難しい。第三者の数は自論に都合よく用いられる以外に、関心の埒外であるのは、死という現象に限らない。

老いへの補い方、抗い方、向き合い方。その最前線について。身体拡張。例えば、パワードスーツ。ケア。大阪大学石黒浩教授が開発するテレノイド。抱っこして会話する人形のようなアンドロイド。奇妙だが、意外に心のケアには有効で、認知症患者にも効果。アルツハイマーと言えば、米製薬大手バイオジェンと日本のエーザイが開発したアルツハイマー病の治療薬候補アデュカヌマブの製造販売が、米食品医薬品局(FDA)に認可、など。

介護版Airbnbはビジネスとして社会に広まりつつあり、アメリカのスタートアップが展開するサービスPaPaは高齢者と大学生をマッチング。買い物や家事手伝いなどをサポート。パーソナルテストに合格したトレーニングした者。同じパパ活でも、随分違うものだ。

世界は変わりつつある。テクノロジーとビジネスに牽引され。時々、欲望が彩りを添えて。

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2023年06月04日

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○三人称の死
○各々がテクノロジーをカスタマイズする
○豊かさとは

 自身の仕事は二人称的な関わりを要求されていることを実感した上で、それがこの仕事のしんどさであると思った。いかに三人称的に関わりにしていくかが長く仕事を続けるために大切だと感じる。
 また、これから自分自身でテクノロジーをカスタマイズしていく時代がやってくるし、それに応じた力を身につけておきたいと思う。

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2022年08月31日

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老いについて書かれた本ですが、落合さんらしくデジタルネイチャー推奨のテクノロジーによってユートピア的な内容だったと思います。単純なテクノロジーではなく、あくまでも豊かさについてのポジティブなエビデンス未来がわかりやすかったです。

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2022年04月10日

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デジタルネイチャー
 人工物と自然の区別がつかない
 人間が感圧している世界よりコンピュータの世界のデータのほうが大きい

死 人が向き合うのは二人称の死 一般論は無い
  介護 身体機能の補完 身体の拡張
  老いのパラメーター化
  世界の中央年齢30.9歳、日本48.7歳 若者の定義に差

護のエコシステム
 成長産業(2035年には中国に)
 人的コストが高い
 困難があること
 困難があることが理解されていること
 ソーシャルグッドにつながること

 介護を補助する ハッカブル Hack-able 改編改造可能なデバイス

テクノ民藝
 地産地消のテクノロジー
 デジタル発酵
 祝祭性の回復
 

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2022年04月05日

Posted by ブクログ

最後の章に興味があって読んだが、全編おおよそ既知の内容だったかな。デジタル民藝の意味がよく理解できたように思う。収斂してきている感覚。

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2022年01月03日

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