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熱波が始まる!
まだ、黒電話、公衆電話が活躍する、熱波に覆われ大都会。警察小説のおもしろさが詰め込まれている。登場人物が交錯する中、いくつかの柱があり、今後の伏線回収に繋がっていく。エピローグ的な作品。「熱波去る」の新聞記事で終結した作品であるが、いやいや、熱波は始まったばかりです。
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マクベイン『87分署シリーズ』の第一作目を飾る『警官嫌い』。本書が、警察小説のはしりとも言える作品のようです。
巻頭の注釈…『この小説に現れる都会は架空のものである。登場人物も場所もすべて虚構である。』といったものは、よく目にするものですが。
---ただし警察活動は実際の捜査方法に基づいている。
この一文には、なかなかお目にかかれないでしょう。
舞台となる87分署管轄の街や行き交う人々は勿論のこと、登場する警官たちの『バッジを外した』後の生活ぶりまで。読み始めて間もなく、精巧な描写と美しい筆致に、魅了されました。
必要以上の情景描写を取り入れる小説には飽き飽きすることが多々あるのですが、マクベインの腕にかかれば、それら全てが美しい調和を保っているのです。
警官三人を射殺した犯人はだれか…?
物語の焦点が定まるにつれて高まる緊張感は、まるでスリリングな映画のワンシーンを観ているようです。
疑いようもない名作と言えるのではないでしょうか。
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警察物好きが必ず通る道。大御所による一大シリーズ。翻訳者が複数に渡るのが難ですが、回を追うごとに面白くなっていくのはシリーズ物の醍醐味。たくさんあるので楽しみも続きます。
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87分署シリーズは聞いた事はあったが、昔の人気シリーズという認識だった。
ちょっとしたキッカケでシリーズ第一作を手にして、夜寝る前に少しづつ読み進めた。
まずニューヨークの夜景の描写から始まるので、最初に夜のイメージが定着した。
1950年代の賑やかな巨大都市ニューヨーク。エアコンの設備が行き渡らない時代の茹だる様な暑い夏が舞台。もちろん夜となれば連日の熱帯夜。その熱にうかされように話は展開する。
これを夏に読んでよかったと思う。
海外ミステリーの醍醐味は、ストーリーや謎解きは当然だが、その時代・その場所の細かな描写が全体の雰囲気を大きく左右する。60年前に書かれた警察ミステリーの黎明期の作品だけに、ストーリー自体は特筆すべき点はないのだが、古き良きアメリカを堪能できた。良作。
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87分署シリーズ第一作。三人の警察官が殺され同一犯による連続殺人とされた。同僚を殺された87分署の刑事たちが犯人逮捕のために捜査を続ける。
1人の刑事による推理を元にした捜査ではなく、刑事たちのチームによる捜査を描く。現実の警察の捜査を感じさせるリアルな物語となっている。
刑事たちの会話が多く、そこにユーモアや時代背景なども描かれている。新聞記者の暴走により事件が大きく動く。一つの可能性としての捜査方針が、真犯人とっては真相に導く大きな方向性であった。刑事スティーヴ・キャレラの恋人テディに真犯人が近づく。これに気付いたキャレラがテディのもとに向かう。
本命の被害者をカモフラージュし、警察官の連続殺人と誤解させるために他の刑事をも殺した犯罪だった。テディは助かりキャレラと結婚し新婚旅行に向かう。
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87分署シリーズ始まりの一冊★
事件自体はシンプルなものだったけど捜査内容が時代を感じて面白かった(^O^)
登場人物も改めて把握できた(^○^)
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言わずと知れた87分署シリーズの、記念すべき第一作。「この小説に現れる都会は架空のものである。ただし警察活動は実際の捜査方法に基づいている」という有名な扉書きも、マクベイン節などと言われる独特の美文調も、いや、そもそも警察小説というジャンル自体が全てはここから始まったのだ。捜査するマシンでしかなかったミステリーの刑事たちは、マクベインの登場で初めて血の通った人間になったのである。とにかく読み始めると、いつの間にか刑事たちのキャラクターに引き込まれ、気が付けばキャレラたちと一緒になって喜んだり、悲しんだりしている自分に気付く事になるのだ。
87分署シリーズには刑事ものの全ての要素が詰まっている。「太陽に吠えろ」も「相棒」も、この作品が無ければ生まれなかったのだ。
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人気シリーズ87分署もの第1作。今まで何故か手つかずだったけれど、評判違わず、やっぱり面白い。さすが黒澤がシリーズ中の『キングの身代金』を原作に『天国と地獄』を撮っただけある。日本だけでもドラマ化・映画化が多いが、その大半は筋立てを活かして設定は日本に変えたもの。先の黒澤作品も然り。要はそれだけ、物語と人物造形の骨組みが磐石で普遍的ということだろう。全56作品。月に2~3冊クリアしても2年がかりだけれど、この第一級のページターナーにかかってはそれも待ち切れなく感じるかもしれない。次の古書探しリストに第2作『通り魔』追加~♪
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87分署シリーズについに手を出してしまいました。
決して後味は良くはないんだけど、犯人も嫌な気分になる人なんだけど、それでもこの犯人は嫌いじゃない。動機も身勝手だし、庇う余地なんてないけど、それでも。
シリーズ一作目なんで、警察ものとしての魅力はまだこれからなのかな、と。
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87分署シリーズ、記念すべき1作品目。
1956年の作品なので、今の時代に読むと捜査方法や動機、表現等が古い部分もあるし、斬新に思わないだろう。
それは今の時代に読んだから当たり前なのである。
そんな部分を差し引いても、この作品は非常に面白い。
その最大の魅力は個性的なキャラクター達。
87分署の刑事全員が泥臭くて感情的で、それでいて魅力的だ。
この作品には天才的頭脳を持つ、クールなキャラクターは出てこない。
同じ口径の銃を所持している前科者のアリバイを調べる為、暑さにうんざりしながらも、ひたすら足を使って嗅ぎまわったり、科学捜査で発見される犯人の詳細な特徴に、なんでこんなにわかるんだろうとビックリしたりと、主人公のキャレラ刑事を始めとして全員が本当に普通の人なのだ。
ヒラリー・ウォーのフェローズ署長シリーズも警察の丹念な捜査活動をメインにした作品だが、フェローズ署長よりもキャレラ刑事達の方により親近感を抱くのは、私生活や感情がより大きく表現されているからかもしれない。
あと、署長じゃなくて一介の刑事って部分もありそう。
捜査の合間に合間に出てくる、各刑事の生活。
捜査パートと生活パート、この2つの入れ替わりがメリハリとなっていいリズムを作っているように思う。
あっと言う間に読んでしまった。
警察小説と言うジャンルの始祖に相応しい1冊だと思う。
Posted by ブクログ
警察小説の元祖とも言われるエド・マクベインによるミステリ。
筋は意外と簡単明快で、ミステリの古典というと、割かしめんどくさい昔ならではのお約束事とかあるのだが、筋を簡単明瞭にしたことにより、その時代性から逃れられている。今読んでも古臭くない。
Posted by ブクログ
故あって30数年ぶりに再読(もしかすると再再読?)した。警察小説の金字塔である「87分署シリーズ」の第1作だ。改めて調べると第30作『血の絆』までは読み続けていた。期待が大きかったせいか、評価は辛口だが、探偵小説へのアンチテーゼとして、また、警察小説の原点としての堂々たる作品であることには間違いない。
Posted by ブクログ
警察ミステリのオールタイム・ベスト作品。警察組織の内情や縦社会ではなく、捜査過程の焦燥やジレンマをメインに描いてある。勤務時間外のエピソードも多く、等身大の刑事キャラになんとなく共感できるような。
でも一番印象に残ったのは熱気だろう。じっとりとした汗ばむような暑さ。昼夜関係なく襲ってくる熱波。それと比例するように、糸口の見えない警官殺し事件に躍起になる同僚たち。この“暑苦しさ”の漂い方はハンパではない。それでも割合さくさく読めたのは筆致がシンプルだからだろう。
個人的な思い込みだが、警察ミステリはシンプルな筆致が基本だと思っている。もちろん、人物やエピソードをしっかり書き込むことも大事だが、度が過ぎるとそれはもう社会派の範疇だ。あまり深追いしない淡白さが緊張感と現実性を生むこともある。そういう目線で見れば本作品はまさに警察ミステリの王道と言えよう。
キャラが立ってくるのはこれ以降かな? 機会があればあと何冊か読んでみたい。