【感想・ネタバレ】デューン 砂の惑星〔新訳版〕 下のレビュー

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Posted by ブクログ

最後まで読みやすかった新訳版。
旧訳版を読んだときに、終盤の「そんなことはいうものか」のくだりが今ひとつ理解しがたかったのですが、新訳では「そんなことば、いってたまるか」になっており、すっきり理解できました。
解説では「指輪物語」が挙げられていましたが、異世界の構築という意味では、本書はファンタジーに近いものなのかもしれません。
そう考えると、ベネ・ゲセリットのやっていることは魔術的だし、砂蟲という巨大怪獣や、ヨーロッパ中世風の封建制度も、剣と魔法の世界の方がフィットしそうではあります。
ただ、そうした舞台装置に科学的な(あるいは化学っぽい)裏付けを与えるべく、緻密に設定を考えているところが、ファンタジーとの差なのでしょう。

そういえば、映画版デューンを撮ったヴィルヌーヴ監督が、「スフィル・ハワトの出番は泣く泣く全カットした」(意訳)と言っていましたが、たしかに本巻終盤のスフィル・ハワトに関するエピソードは、ほろりとするもので、カットするのは惜しいように思いました。
ただ、タイトルは忘れましたがある映画のDVDのオーディオコメンタリーで、某監督が「気に入ったシーンをカットできるようになったら監督として一人前」というようなことを言ってましたので、スフィル・ハワトが出てこない方が、映画としての完成度が上がったということなのでしょう。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

クイサッツ・ハデラックとして覚醒したポール・アトレイデイスがハルコンネンと、黒幕の皇帝への復讐を果たす下巻。
これまで映画と比べながら読んできた。
核となる太い幹部分は同じだが、個々の部分は結構違っていると下巻を読んで改めて思った。

映画は現代的なアップデートがされている。特に小説版は専制君主制でもあるのでポール・アトレイデイスの後ろに女性たちが隠れがち、というか従うしかない部分がちらほらある。それが大きなノイズとなることはないが、1965年に書かれた小説という時代性が顔を出す瞬間もある。
映画でも専制君主制は変わりはないのだが、現代的なアップデートがされている。何なら映画版は男性よりも各陣営の女性たちが魅力的だったりするのが面白い。
特にチェイニーやジェシカなんかは映画版では、芯がある女性であり、自分を持っている女性として描かれている。なので小説版ではその物わかりの良さに、あれ? と思ってしまった。
それと映画版のフェイド=ラウサのヤバい奴感は小説では結構抑えられている。こっちはこっちで魅力的なのだが、ポール・アトレイデイスの写し鏡としてのキャラ機能を感じたのは小説だった。

映画は映画の、小説には小説の、それぞれの面白さがある。楽しめる部分も全然違ったので、見比べてみて良かった。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は次作の『砂漠の救世主』を一番やりたいらしいので、そっちも手に取ってみよう。

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2024年05月27日

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盛り上がってまいりましたの三部作下巻完結編。正直独白ばかりであまり物事が動かない上中巻に、面白いながらも飽いてきた感否めない状態からの読書開始だったものの、下巻は一気に物事が動き始め、あれよあれよと主人公ポール・ムアディップが救世主に上り詰める過程を、飽くことなく堪能できる(基本線は同じものの映画DUNE2はかなり内容を精査して、時系列や設定を変えてでも映画用に再構成して成功をおさめていると思える)。巻末には惑星アラキスの歴史やデューン世界の宗教史、用語集など、歴史書さながらの付録が付いていて、世界観の徹底ぶりに笑ってしまった。そして忘れてはならないのが、これが55年以上前に刊行された作品ということ。すごすぎる。
続編も読んでみよう。

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2024年04月25日

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いやぁおもしろかった!!

奥行きのある世界観や壮大な人類史、舞台となる惑星アラキスの緻密な設定に加え、預言者として苦悩する主人公ポールたちの人間模様…しかし、プロットはど直球な復讐劇。これら全ての要素が重なり合って抜群のエンターテイメントを提供する本書は、ヒューゴー賞と第1回ネビュラ賞のダブルクラウンに輝く「デューン 砂の惑星」です。
解説によると、1975年からスタートし、およそ12年ごとに読者投票されるローカス賞「オールタイムベスト」において、4回連続(1975年、1987年、1998年、2012年)の1位となっているよう。これ地味に凄いですね。でもなんとなく納得。とてもSFらしい作品だと思いますし、王道展開の節々で垣間見られる深遠さは、読者の心を掴んで離さないかと。
続編もあるようですので、随時読み進めようと思います。(ただ、絶版の気配が…)

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2024年04月18日

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人類文明が大宇宙に広がる遥かな未来。
思考機械、超コンピュータ群への従属を良しとしない【バトラーの聖戦】を経て幾星霜、人々は中世的な社会の中で、機械に頼らず自らの肉体精神性を拡張した文明を築いている。
               解説より抜粋

もうこの設定に痺れてしまった。
人類の歴史は何周もして、遥かな未来では中世的な世の中になってしまうのか。
そこで起こっているのは、利権をめぐる戦争であり民族への弾圧である。高度な武器は高度なシールドに阻まれ使い物にならないし、巨大な砂嵐や凶暴な生物の前で人々は、息を殺してやり過ごすしかない。そしていつの世もヒーローの出現を待つのだ。

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2024年01月18日

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緻密に練られたストーリーと世界観は最高でした。
さらに、人間の普遍的な部分についても考えさせられる所も多く、何度も読みたい本のうちの一つで間違い無いでしょう!!

個人的には下巻巻末の「附録」から先に目を通すと内容が入って来やすいかと思います。自分はそうしました。

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2023年11月07日

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『風の谷のナウシカ』や『スターウォーズ』の元ネタともなった名作古典SF。
社会制度、宗教、生態など、世界観の構築が奥深い。
新訳版は昔に読んだ旧訳版とは全然印象が違う。前は重厚な大河SFという感じだったけど、新訳版は痛快娯楽SFとして読める。

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2021年11月08日

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ネタバレ

ムアッディブとして皆に認められフレメンの指導者となったポールは、スティルガーや再会したガーニーらととも砂漠の民を率い、ハルコンネンへの復讐、バーディシャー皇帝との対峙を果たす。自分の行動が伝説となる事を自覚しながら、未来の聖戦を避けるために行動するポールだが、自らの選択が正しいのか苦悩する。一応本作はこれで完結。本編の後にデューンの生態学・宗教、ベネ・ゲセリットの考察や用語集があり著者が本気で惑星アラキスの世界を作り上げていた事が窺える。フランク・ハーバートの創造した緻密な世界観を堪能させてもらった。

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2021年11月02日

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上・中・下の三分冊で刊行された新訳版の下巻。壮大なるSF叙事詩が開幕した感のあるラスト。いやー面白かった、とこれからが楽しみ、とがいっぺんに味わえる贅沢な読後感だった。本作に影響を受けたであろう作品のタイトルが古今東西メディアを問わずいくつも思い浮かぶ。途方もない、伝説の大作小説なのだなと改めて実感
反面、自分としては気に入っているリンチ監督の映画版が、いかに無理やり詰め込んでいるかということがわかり愕然とした。現在公開中の映画がどうなっているのか確認していないが、これは2時間とかの尺ではとうてい収まりきれる物語ではなく、ロード・オブ・ザ・リングのように何部作かに分けてほしい気がする。
映画化の流れに乗ってこのまま続編の刊行も希望するがはたして。

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2021年10月17日

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ポールがムアッディブとクウィサッツ・ハデラックとして覚醒してからの物語。とにかく面白い。正直面白すぎて言葉を失ってるくらいに興奮してるからとりあえず読んで欲しい。早く続きが読みたいので、次巻以降の翻訳もお願いします!!!

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2021年10月13日

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皇帝と対面するシーンはが1番の見どころ。

巻末の解説も良かった。よく作り込まれていて納得されられる。

ただ語録集は上巻に入れてくれ

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2021年10月10日

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「DUNE 砂の惑星〔新訳版〕」(フランク・ハーバート : 酒井昭伸 訳)〔上〕〔中〕〔下〕を読んだ。
ハヤカワ文庫さん、新訳版を出すのであれば、新作映画特需の為でなく、「砂漠の救世主」「砂丘の子供たち」までは続けて出して欲しい。
矢野徹版を何度も何度も繰り返し読んだファンとしてのお願い。

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2021年09月09日

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圧倒的な世界観!これぞSFの金字塔!
あまりに緻密に練られた設定だったので、単に本を読むのではなく、まるでポールと一緒に旅をしており、史実を追体験しているかのような錯覚に陥りました。

そして何より個人的に刺さったのが欲望渦巻く権謀術数の世界!
様々な作品で描こうとされるものの、一歩設定を誤ると浅い印象を与えかねない諸刃の剣という認識があったので、変に冷めてしまわないかドキドキしながら読んでいたのですが・・・これだけ熱狂的な人気を博している理由を垣間見た気がします。

ただ、この物語は設定が深すぎるが故に、初めて読む人には少々難解に感じられるかも。。。実際、自分は設定を理解するまで、「???」となる瞬間が何度もあったので、下巻巻末の付録を見ながら読み進めることをお勧めします・・・笑

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

独特な文化圏を持つアラキスとフレメンたちを知ることが、実在する部族で暮らす人々の文化を知るような体験に感じ他の小説にない貴重な経験だった。SF要素の他、宗教観についても説明が細かいが、博識な作者の知識に追いつけず意味は理解できなかったが雰囲気は楽しめた。全ての設定説明がしつくされた後半は文章はすっと頭に入ってくる。だが後半は唐突に終わった感がある。

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2024年03月06日

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ずっと読みたかったけど敷居が高かった。
新訳なので読んでみたら映画のおかげもあって
びっくりするほど読みやすくて分かりやすかったです。
でもあれだけみんなが絶対と思っているユエの炎の良心をどうやって
ハルコンネンが解いたのかとか、
どんなふうにポールは産砂を殺して水を得たのか、とか
ポールの息子はどうやって亡くなったのかとか
ハワトはいかにして自分の間違いに気づいたのかとか
ベネゲセはクゥイサッツ生み出してそれで何がしたかったのかとか
描いてないのがもどかしかったです…とりあえず続編読むわ。

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2023年11月01日

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ポールの成長と覚醒が凄まじい。
そしてこの上中下でストーリーは終わらない(知らなかった)。

しかし、原作が書かれた当時、この想像力は圧巻。
附録が凄い。
ストーリーの中での世の中のバックグラウンドが
ワード解説とともに語られている。
解説と翻訳者によるあとがきもおもしろい。

ハリウッドのストの煽りを受け、
DUNE: PART TWOの公開が来年になりそう…で、
読むモチベとスピードがダダ下がり。
ミッションインポシブルを観に行った時映画館で、
フル IMAXのDUNE2の予告編を観て読む気を取り戻す。

映画はどう・どこまで描かれるのか、楽しみすぎる。
続編『砂漠の救世主 上下』は恵比寿有隣堂に取り寄せ依頼。

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2023年08月10日

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ネタバレ

映画(前編)を見た後に読み始めた下巻。
下巻は上中巻に比べて展開がダイナミックで読みスピードも自然と早まった。大きく期待を裏切られるような結末ではないが、細かく描かれた世界観にひたってストーリーを追うことや、生態系や権力闘争や宗教に想いを馳せるのを楽しむような作品だなと思った。

上中巻で登場するもあまり正体が明らかにされていなかった人物たちを知っていくのが面白いし、散り散りになったアトレイデス家に属する人々の今も知れて、特にモヤっとする点が残るようなことはなかった。最後の付録も、ストーリーの中では盛り込めなかったであろう背景や用語を説明していて、読みがいがある。

ようやくポールと皇帝が同じ地に立っている場面を見れた(読めた)のは嬉しいポイントだった。

また優生学的な要素(おそらくわざと描いたんだろうが)や女性たちへの認識、帝国の統治など21世紀では良くないとされてることもこの中では当たり前なこととして進んでいくが、それもある意味、異世界にひたれる要素のひとつであるし、ふっと離れて見た時に考えさせられる。

アラキスの生態系については、おぉ〜〜!とワクワクすることが多く、文明はすごいという浅はかな感想しか言えないくらいには、フィクションに科学を取り込んでいて、とても面白かった。

世界観は本当によく作られている…と思う。

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2023年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

さて。
物語については上巻の方に大体書いたが。

下巻には附録と称して(日本語訳版)、3つの短い文章が載っており、それぞれが作品の世界の重要なファクターの研究という形をとっている。
一つは、デューンの生態学について。また一つは、デューンの宗教について。最後はベネ・ゲセリットについて。
最初の一つには、スピンオフと読んでも良いようなストーリーがある。
いずれも物語には直接描かれてはいない背景の記述で、どんな経緯があってこの物語に至ったのか、を語っている。
加えて巻末には用語集があり、フランク・ハーバードがこの世界をいかに緻密に構築しているかが伺い知れる。
いずれもこの世界をより知りたい読者にとっては興味深い情報だ。

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2022年01月15日

Posted by ブクログ

これは勧善懲悪の話と素直に受け止めてよいのか…
アトレイデス家の人達は新たな征服戦争を始めようとしている…

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2021年11月14日

Posted by ブクログ

年末年始になると、番組表ぶち抜きの「大河ドラマ」が目に付きますよね(最近減ったかな)。

もちろんテレビ局の「大人の事情」もあるだろうけど、きっと変わり映えしない一年の締めくくりにはスケールの大きな物語で視聴者の心を「リセット」して、来る年への希望を目覚めさせるのでは……なんてね。

ならば、この物語は絶好のリセット「ドラマ」です。

新人類としての力を持った主人公が、虐げられてきた種族が持つ救世主への願望を背景に、砂漠の惑星アラキスを舞台に戦いを繰り広げ、新しい時代へ扉を開こうとする。
宗教、政治、権力、武力、愛情、などなど幾重にも織り込まれる登場人物たちの思惑が、壮大なスケールを背景に爆発するも、本筋はわかりやすい冒険劇としての面白さが満点。
もちろん、宗教問題、レイシズム、マイノリティ問題、SDGSなど、あれこれ考えていただくのに素材はたっぷり提供されているけど、やはりここは純粋に楽しむことが一番。

まるで、宇宙スケールで描く戦国時代的冒険大活劇なんだから(最上級の誉め言葉です!)

ハヤカワSFマガジン12月号にフランク・ハーバード「砂の惑星」シリーズ全編のあらすじが掲載されています。この物語の伏線回収を希望する方は、目指せ全篇読破!(ガンバって~)

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2021年11月05日

Posted by ブクログ

デュニ・ヴィルヌーブ監督の新作「DUNE 砂の惑星」を観て、原作を未読だったことをハゲシク後悔。さっそく上中下3巻を取り寄せ、読んでみたら...コレが面白かったのなんの!!!
なるほど、スターウォーズに繋がる要素もあれば、宮崎駿「風の谷のナウシカ」の世界観やキャラクターに通ずる要素もあり、連綿と受け継がれる地球規模のSFの系譜に頭を垂れたくなる気分。どうして今まで読んでおかなかったんだろう!
願わくば、映画「DUNE」の後編の製作も必ずや実現されますように!

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2021年10月29日

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ネタバレ

過去ー現在ー未来とつながり、伝承のもと友情が信奉に変わり友を失う、産みの母とさえ対立する予感。
こうした繊細さとアラキス事変の派手さ読みごたえが楽しかった。
シリーズの最初のお話というのが衝撃……

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2021年06月18日

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面白くて一気に読めたんだけど、かなりあっさりと終わってしまった。続きがありそうなんだけど、ないんだよね?って感じ。
これは、映画を観るしかない。

追記 翻訳者の酒井昭伸さんの訳が素晴らしい。世界観を見事に再現しているし、とてもわかりやすかった。

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2020年12月27日

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シリーズはまだまだ続くが、「砂の惑星」としては最終巻。

デヴィッド・リンチ版、ヴィルヌーヴ版の映画で散々観ているので、プロットに関してはすでに知っている。

この巻でハルコンネン男爵の甥であるフェイド=ラウサが登場する。
一方ポールは、フレメンの宗教的指導者となっていく。その過程で以前の部下であったガーニーと再会する。
力をつけたポールは、皇帝との最終決戦へと突き進む。

有名な作品なのですでに知っている部分が多い。
ただ、絶大な人気を誇る古典なので、読んでおいてよかった。
1960年代はレイチェル・カーソンなどの影響で環境問題が盛り上がっていた時期であり、本書もその影響を受けているという。

この状況は現在も似ている。地球温暖化や緑化活動といった課題は、主にビジネス方面のトレンドではあるのだが、とにかく、キーワードではある。
映画はそれほど環境問題については強調していなかったが、それでも砂漠の惑星が舞台で、「水は大切だ」といったことを再三にわたって言うのだから、無関心ではないだろう。
このあたりの状況も、このタイミングで映画化を進めた一つのポイントかもしれない。

小説としてはSFでありながら、さまざまな要素を詰め込んでいるのがおもしろい。なによりも、子どもの頃から知っていながら、いまだに読み通していなかった作品をようやく読み終えたということで、個人的な満足感がある。

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2024年04月20日

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フレメンの一員と認められたポールは、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場となっていた。ポール指揮下のフレメンの復讐の時は来た。Duneの管理権を巡り、皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れふたたび惑星へと降り立つ。

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2023年04月22日

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2022/07/12〜2022/08/27
長かった僕のアラキスの旅路も終わった。
最後がちょっと尻すぼみ。

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2022年08月27日

Posted by ブクログ

読み始めてからやや時間をおいてしまった。

異惑星の壮大な叙事詩。SF大作。その世界観、設定に魅了された。
やや回りくどい説明も、古典作品として味わうべきか。

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2022年07月06日

Posted by ブクログ

フランク・ハーバートによるSF大河、第3巻(最終巻)。

預言者"ムアッディブ"として全フレメンの中心的地位を確立したポールは、ハルコンネン男爵家、そして皇帝家へ決戦を挑むための最後の地固めを行う。それは、フレメンの一員として認めてもらうための通過儀礼として、"産砂(サンドワーム)"を操る技を身に着けること、そして、「決闘による一方の"死"によって部族のトップを一人と決める」というフレメンの因習を打破して、フレメン軍の強さを確固たるものにすることであった。"決戦"がいよいよ幕を上げる――――。

・・・なんともモヤモヤが残るラスト。テキストとしての締めは尻切れ蜻蛉感が強く、作中通して命題となっていた「いかに"聖戦"が繰り広げられる未来を阻止できるか」に対する解も、「え、それだけ?」と唖然としてしまうもの。続編のあるシリーズ作品なので仕方のないことなのかもしれないが、本作は本作で綺麗に締めて欲しかったように思う。

評価に違わない壮大なSF大河で、存分に楽しむことはできたのだが、なんとも読後感がイマイチな結果となってしまって残念至極。

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2022年01月23日

Posted by ブクログ

 最後まであまり簡単な本ではなかった。確かに非常にスケールの大きな話ですごいとは思ったが、特に後半になるにつれて話は複雑になって、読みづらくなってきた。それでも新訳版になって読みやすくはなったとのこと、以前はどんなだったんだろう。

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2021年10月08日

Posted by ブクログ

基本的に三人称視点の小説だと思うのだが、誰かの視点に切り替わることがあり、またその視点もいろんな人に変更される。こういう描き方の小説は久しぶりに読んだせいか、少し戸惑った。慣れてしまえば大丈夫。
砂の惑星の民フレメンはイスラム風アラビア語系、入植者たちは西洋・キリスト教系風。物語序盤は入植者視点で、砂嵐に視界を遮られるかのごとく、惑星の全貌は見えないが、政治的な闘争によって引越してきたばかりの屋敷を追われて、砂煙の向こう側へ逃げ込む羽目になる。だんだんと、この惑星に住む人たちの文化や暮らしぶりが明らかになっていく過程が面白かった。
敵役がわかりやすい悪者の造形をしていたり、最後の対決シーンも期待したよりあっけなく終わってしまったのが少し残念。多彩なキャラクターたちも、けっこうな人数があっさり退場してしまった。彼らの物語ももう少し読んでみたかった。

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2021年08月13日

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