【感想・ネタバレ】ある市井の徒 越しかたは悲しくもの記録のレビュー

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Posted by ブクログ



中公文庫
長谷川伸 「ある市井の徒」

作家になる前までの半生記。生き別れた母との再会で終わる構成


副題「越しかたは悲しくも」の意味は「過去に後悔することが多いが、生きていれば 誇らしいこともある」と捉えた


一家が離散して、スリ、遊女、詐欺、人殺しが 近くにいる環境のなか、そちらに行かない人生、踏みとどまってきた人生は 誇らしい生き方だと思う。読書と夜学により人生が少し好転しているように見える


著者の「与えても求めない」生き方は 祖父の影響〜自分の家に入った盗人に槍を突きつけてお金を与えて逃したり、囚人を土工として雇い、看守と囚人の便所を分けて、囚人の便所にお酒の入った筒や煙草を置いたり


「子供のときの写真を見ることが出来た大人は幸福である、その大人が幸福だと思っても思わなくても、幸福であるのに変わりはない」


























































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2023年04月14日

Posted by ブクログ

人気作家の自伝かと思いきや、前半生のことしか書いていない。新聞記者から作家になるあたりについては書かれていない。
とはいえ、明治中期から大正にかけての世相を描いている部分は面白い。
土建屋の父や職人(といっても渡世人と言いたくなる感じの人々)と一緒に渥美湾の埋め立て事業をしに行き、地元の人々と剣呑な関係になって夜中に襲撃されたり、和解したと思わせつつ狙撃されたりするあたりが一番面白い。
友人と一緒に遊女屋の遊女たちを1人ずつ連れ出して自由廃業させたりするくだりも面白いかな。
 
それと、よくラーメンの歴史について書くときに言及される、明治中期の横浜南京街の遠芳楼の「ラウメン」について書かれているのはこの本である(102頁あたり)。

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2019年12月22日

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