【感想・ネタバレ】ひるめしのもんだい(「椎名誠 旅する文学館」シリーズ)のレビュー

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Posted by ブクログ

椎名 誠の【ひるめしのもんだい】を読んだ。

懐かしき我が青春の椎名 誠である。懐かしいって言っちゃ失礼か。

なにを隠そう僕は高校二年生の時に椎名 誠の【インドでわしも考えた】という本を読んで、「物書き」

という職業をはじめて意識し、「作家」になりたい!と思ったのである。

いうなれば今こうして、つまづき、転がりながらも夢を追っているきっかけが椎名 誠なのだ。

椎名流に言えば「ズバズべギンギラ光線」にあっという間にやられてしまったわけです。

この【ひるめしのもんだい】は1990年の1月〜12月まで週刊文春に連載されたエッセイ。ちなみ

に椎名さんは今現在も週刊文春に【風まかせ赤マント】というエッセイを連載中である。

なんなんでしょうかね?この人の独特な着眼点は。よくそんなことに目が行って、そんなこと考えられる

なぁと感心しきりでございます。

表題作の「ひるめしのもんだい」は僕らのようなサラリーマンにはとても笑える内容。「何時頃、どこで

何を食うか」という問題を真剣に語るのである。

まず、目の前に「生蕎麦」という暖簾をさげた蕎麦屋があったとするとそこにひとりで入るという事が難

しいと言う。知らない店だからどんな味なのかわからないと言うのだ。そしてふと交差点の先を見ると向

こうにも「更科」などと書いた蕎麦屋が見えたりする。以下本文より抜粋。

『―どうもこの店よりもあっちの方がうまいのではないか、とそこでフト思う。フト思いつつ目の前の店

を眺め、再び更科の方を眺めると、もう圧倒的にむこうの方がうまそうに思えてくる。交差点を渡り、更

科そばの前にやってくると、どうもそこは客の気配がない。さっきの店の方がざわついていて活気があっ

た。客がいない、というのはつまりここはおいしくない、ということではないのか。あまり客がこないの

で、来週あたり店をたたんで長野の実家に帰ろうとしているのではあるまいか―。疑心はすばやく暗鬼を

誘い込み、その店の奥でいま丁度店をたたむ打ち合わせをしているところではないか、などと思えてく

る。フト、舗道のすこし先を見ると焼き肉屋の看板が見える。そうか焼き肉定食という手もあった

な・・・と思う。あったかーいゴハンに、焼けたばかりのカルビ、ロースなどを特製タレにたっぷりつけ

てフハフハ言いつつ食べていくのも、平凡な日々の昼食としてはかなり充実したものではないか―とフト

思う。とにかく店の前まで行ってみようと歩いていくと、その隣に「スパゲティ」の文字がチラリと見え

る。―そうだなあ、昼間から一人でビールも飲まず焼き肉定食を食べている、などというのもわびしいな

あ、と思い、方針を急遽スパゲティの方向に切り換えてそのドアをあけようとすると、ガラスごしに中に

高校生ぐらいの女の子が七、八人、わあわあ言いながら食べているところが見える。この手のけたたまし

さの中でスパゲティを食べるのはたまらない。やはり中年は中年らしく、「生蕎麦」の方でおとなしくう

つむいて「モリソバ二枚」などを食べ、静かに「ハアーッ」とため息などついているべきかもしれない。

そう思って振り返るのだが、もうさっきの店からずいぶん遠くまで来てしまっているのに気づくのだ。気

がついた時はああふるさとはあんなはるか・・・、という心境で、なんだか自分はとりかえしのつかない

ことをしてしまったような気になる。』

わかる、わかるよ、椎名さん。思わず笑ってしまいつつも、思えば僕だっていつもラーメンにするか蕎麦

にするか、吉野家に行くか、はたまたカップラーメンで済まそうかホカ弁にしようか迷うのだ。

そんな日常のシーンが椎名さんの手にかかれば見事な椎名ワールドに変貌を遂げていくのだ。

他にもラーメン屋などによく飾られている芸能人のサインについて考察する「色紙エレジー」や、どうぞ、

どうぞと気を使い合う「全日本おしゃく問題」など抱腹絶倒のエッセイが満載の作品であった。

いや〜椎名さん、やっぱりあんたは最高ですよ。久しぶりに【わしら怪しい探検隊】シリーズ(椎名誠と

その仲間たちが繰り出す旅のエッセイ集)が読みたい気分になりました。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

『週刊文春』に連載されていた「新宿赤マント」をまとめたものシリーズ第一弾。1990年1月4日号~12月13日号分が収録されている。なぜ急に椎名誠作品を今さら読みたくなったのか?というと、この週刊文春の連載が終了していたことを最近知ったからだった。「ひるめしのもんだい」が発売された当時、単行本を買って読んだはずなのだが、ほとんどのエピソードを覚えていなかった。。従って、初めて読む本のように新鮮な気持ちで読み進めることができた。改めて思ったことは、椎名誠のモノゴトの考え方に共感できる部分がいっぱいあるなということだった。例えば、杓子定規で融通の効かない役人にコノヤロ化するところとか、コトの本質や背後の意味を一切考えず、決められたことをやりぬくことに恭順する日本人にむむむ化したりなど。メガネスーパーが天龍を全日本プロレスから引き抜いて、プロレス業界に参入してきたのはこの時期だったのかと懐かしい記事も。この団体が提唱していた部屋別制度は結局上手くいかなかったし、やがて業界から手を引くことになるのだけど、時代というかタイミングが早すぎたのかもしれない。今、こういうスポンサーが出てきたらプロレスも面白くなる可能性があるのにな、とちょっとだけ思ったりした。

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2014年02月22日

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あらすじ
日本全国を飛びまわる著者が、めし関係にはじまる人生の重大瑣事、過激な立腹、密かなる娯しみをぎっしり語る風雲エッセイ。週刊文春連載“新宿赤マント”待望の文庫化

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2019年11月05日

Posted by ブクログ

こうゆうエッセイの椎名誠さんは本当にリアルで、身近に感じられる。
中学生のころに夢中になって読んだ旅行記とは違い、生活での悩みや規則に対する疑問などが強く印象に残った。
少なからず自分も同じ思いをしていてほっとしました。笑

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2018年11月17日

Posted by ブクログ

非常にしょうもない、でもおかしいことをつらつら並べたエッセイ集。
話の内容が多岐にわたりすぎていて何ジャンルとも言えない・・・

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2012年02月03日

Posted by ブクログ

新宿赤マントシリーズ。週刊文春に連載されていた時代は1990年。ちょうど自主制作映画『ガクの冒険』を撮影していた時期。日本全国あるいは世界各地を飛び回りながら、どうでもいいような、でもなにか気になるような面白エッセイを書いている。

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2009年10月04日

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