本書はインバスケット思考、すなわち「捌ききれない仕事がある中で、より成果を上げるための判断方法」について解説された本である。
そもそも仕事とは、全ての業務を100%達成することは不可能であり、またその必要もない。
そしてパレートの法則にあるように、物事は、ごく僅かな一部分が残りに多大な影響を与えて
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つまり仕事で成果を上げるためには、その影響力の高い一部分を見つけ出し、優先度の高いものから的確に対応していくことが重要である。
「どうやって全て終わらせるか」ではなく、「限られた時間の中でどれだけ成果を上げられるか」という発想が大切と言える。
そのための思考法が「インバスケット思考」である。
では、どうすれば正しく優先度を判断できるか?
まず最も大切なのは、自分の優先度の軸を持ち、それをぶらさないこと。
軸がぶれてしまうと、何を優先すべきか判断できず、結局場当たり的な対応になってしまう。
お客が大事ならそれを軸にすればいいし、売上を求めるならそれでもいい。
自分の価値観を持ち、それを保つことが重要である。
そして次に、「見えない問題」を見つけられるようになること。
例えば従業員の態度にクレームが来たときに、問題を「従業員の態度が悪いこと」として捉えたとする。
だがその裏には「従業員の教育をしていない」という「見えない問題」があるかもしれず、それを見逃してはいけない。
そして見えない問題に対処していかなければ、次々と「見える問題」になって降り掛かってきてしまう。
なので表面的な問題に捕らわれず、いかに根本的に対処していくかが重要になる。
加えて、正しく情報収集することの大切さも挙げられている。
一つには、定性情報(主観の混じった情報)で判断すると間違いの原因になるので、定量情報(客観的な情報)に変換しよう、としている。
例えば「近所に安いカレー屋ができた」という情報は主観が混じっており、本当に近いか、安いかどうかは、人によって基準が異なってしまう。
従って「駅から50mの場所に、600円で食べられるカレー屋ができた」という定量情報を入手して、そこから判断すべきである。
そしてもう一つは、複数の視点を持つこと。
判断を間違える人の特徴に、「一つの情報だけで良し悪しを判断してしまう」というものがある。
よって、複数の視点、つまり『鳥の目(全体を俯瞰する)・魚の目(流れを読む)・虫の目(細部まで見ること)』を持つことや、他の案と比較することが重要性である。
自分を振り返ってみても、やはり仕事というのは忙しいもので、どんどん仕事が積まれてるのにさっぱり終わらない、なんてことは日常茶飯事である。
そんな中で本書を手にとってみたが、「全て終わらせる必要はなく、時間内でいかに成果を上げるか考えるべし」という考え方は目からウロコが落ちるようだった。
他にも優先度づけや意思伝達のノウハウが多数紹介されており、色々と参考になった。
同じように悩んでる人に是非読んで欲しい一冊。