田中裕のレビュー一覧

  • 北條民雄集
    「死のうとしても死にきれない。死にたいのに。違う、俺はむしろ生きたいんだ。自分という(癩病を患った)人間がここに存在していた という証を残したいのだ」

    そんな訴えが聞こえてくるようだった。
    これは北條民雄の魂の叫びだ。
    癩病を発症し、面識のない人間にまで差別、偏見の目に晒された上、隔離病院へ押し込...続きを読む
  • 北條民雄集
    この先死にたくなって3分間本を手に取る余裕があったなら、この本の「断想」か「柊の垣のうちから 表情」の一節を読むと思う。

    「美しい、まだ十五六の少女が現はれる。この少女を直ちに殺すことも、また限りない愛情をもつて抱きしめることも、可能となる。しかも凡ては美しく、なつかしい。」
    「歪んだ表情。
    生硬...続きを読む
  • 北條民雄集
    ハンセン病により隔離病院に入所する「いのちの初夜」から始まり、療養所での生活を淡々と描く私小説。

    絶望の中で生きることへの渇望と、人生の儚さや不条理が切実に伝わってくる、ドキュメントの凄みと圧倒的な重さを感じました。
  • 北條民雄集
    ハンセン病患者がどんな生活をしていたのか。いまでは考えられない生活があってびっくりする。
    気分が沈んでるときに読むと、共感する。自分にぴったりの文がある。
  • マンガ ダーウィン進化論入門
    「種の起源」で進化論を述べたチャールズ・ダーウィン。
    ビーグル号で訪れたガラパゴスに行ってみたい。
    祖父のエマズマス・ダーウィンが書いた「ズーノミア」を今度読みたい。
    神さまが人を作ったと信じられていた、生物が進化してきたことなど信じられないような19世紀に進化論を発表し、非難されるも後世に偉大な叡...続きを読む
  • 北條民雄集
    どんなに苦しもうとも、死ぬまで生きるのだ。

    ハンセン病の診断を受けて全生病院に入院した著者は、その短い生の間にいくつもの作品を残した。彼の作品を"ハンセン病文学"と語ることもできる。しかしそこに書かれている彼の叫びや喜びや不安を、感じたことのないものはいないだろう。ある意味、普遍的で誰でも感じるこ...続きを読む
  • 西田幾多郎講演集
     西田幾多郎といえば、岩波文庫の『哲学論集』全3巻がとても気に入っていて、夜寝る前にときおり再読していると、あの独特の言い回し、「〜でなければならない。〜でなければならない。」といった畳みかけるような呪術めいた文体が催眠効果を持ち、よく眠れるような気のする魔法の本だ。
     その西田哲学の、本書は講演を...続きを読む
  • マンガ ダーウィン進化論入門
    「マンガ ダーウィン進化論入門」

    著者 画・瀬口のりお 作・田中裕 監修・渡辺正雄
    出版 講談社+α文庫

    p87より引用
    “あくまで事実を追及しよう、たとえ何年かかろうと・・・。”

    進化論を作り上げたダーウィンの人生を、
    フィクションをまじえてマンガにした一冊。
    以前紹介したニュートンのものと...続きを読む