『あさパラ!』や『どっちの料理ショー』などの情報バラエティー番組を担当し、『かんさい情報ネットten.』のメインキャスターをつとめる清水健さんの著書。
清水さんは、担当のスタイリストさんだった奈緒さんと結婚し、1年で妊娠し、幸せの絶頂だった。
しかし、直後の定期検査のときに、胸にしこりがあるから
...続きを読む念のためにという程度の気持ちで検査した結果、悪性の乳ガンであることが発覚する。
それもトリプルネガティブという状態で、5つのサブタイプの中で、最も悪性度が高く進行の早いタイプだった。
そんな奈緒さんは、強い意思で出産を望み、清水さんと二人三脚で無事に元気な男の子を出産する。
しかし、出産後からガンは急速に進行し、112日間の闘病の末、決して弱音を吐かず、優しい笑顔を残し帰らぬ人となってしまう。
闘病を綴った闘病日記というより、清水さんの奈緒さんへ対する想いを綴った一冊だと感じた。
人はどうして、大切にしたい人が死を前にしてから、大切にしたい人を失ってしまってから、その人の大切さを見に染みて感じるのだろう。
『死』というタイムリミットを媒介しない限り、身近にいる人に対して、いてくれるのが当たり前になってしまい、感謝の気持ちや言葉がついつい後回しになってしまったり、いつも近くにいるんだから気持ちは伝わっているものと思い込んでしまったりと、なかなか大切さを伝えきれていないように思う。
清水さんの場合は、それとはまた違っているのかもしれないけど、自分も思い当たる節がある。
大切な人は、いて当たり前じゃない。
タイムリミットなんて意識しなくても、大切さをわかりやすく伝えていこうと改めて思った。