岡山天体物理観測所で副所長を務めた著者の、星との対話を綴った日記。
アヴォカドさんよりお薦めしてもらった本です。
この画像を見てもわかるように、表紙がとっても綺麗。
しかしこの本、もともとは筑摩書房より昭和47年に発行されたのを、中央公論新社が2004年に文庫にしたもの。
だから、この本で書かれ
...続きを読むている「当時」は昭和40年代。私が生まれる20年も前のことなのだ。
当たり前だが、星の観測は夜に行われる。
夜を徹して星の観測が行われることもあるというのだから、天体に関してはさっぱりの私は驚いてしまった。
時には、2日3日連続して徹夜することもあるという。
しかし、それを描く石田さんの筆はあくまで穏やかで、温かく、そして真摯だ。
1月1日の日記の始まり方からして、その雰囲気は始まっている。淡々と仕事をこなす様子にも、力まず慌てず、仕事に対する誠意と、天文台を訪れる人々とのユーモアを交えたやりとりがにじみ出ていて、何気ない日々がとても豊かなものであるように感じられた。
星の観測をずっと続けるというのは、それこそ星が見えている間はずっと目を離さずにいるということなのか、それともデータを取っていて、数秒とか数分置きに星の動きを見るということなのか、そこらへんが少し気になる。
実はこの本でも、科学的なことは全くわからず私はずっと「?」状態だった。
けれど、著者の石田さんが「ラプラスの伝記を研究したい」と言って天文学科に入った(!)人であるくらいだから、星の描写や人々との交流もフィジカルで丹精な文章で綴られているので、科学的なことがわからなくても、「星を観測する仕事」の日々が覘けて楽しめた本であった。
やっぱり星と宇宙にはロマンがあっていいな。大きすぎて、人間がちっぽけに見えてしまえるところがいい。