西村亨のレビュー一覧

  • 自分以外全員他人
    太宰治賞受賞作というだけあって、最初から最後まで、え、この主人公は私では?と思わざるを得ない作品だった。
    ここまで思い詰めてしまっていると、こわいけど笑える。主人公の彼(私)は一貫して大真面目なのだから。
    タイトルを見て衝動的に購入した後、取り憑かれるように一瞬で読み終わってしまった。
  • 自分以外全員他人
    一つ一つの文章が短く、歯切れ良いので読みやすくどんどん進んだ。題名通り冷えた内容だけど、その考えもわかるので身につまされる。生きるって他人との関係性なのでそれが築けないと、本当に辛い。他の人はできるのにできない自分を責めてしまう。自分がダメだと思うのは他人との比較でしかないのに、どうしても順位がつい...続きを読む
  • 自分以外全員他人
    主人公の生死感が自分と似ていて、共感しながら読んだ。他者を傷つけるのが嫌だから自分を抑圧して生きているところも。他人はどこまで行っても他人。でもそんな他人の中で一握りの知己を得られたら、人生をもっと前向きに生きていけるんじゃないかと思った。
  • 自分以外全員他人
    けっこうな鬱小説でした。孤独な中年男性の、もの悲しい日常が描かれていました。

    主人公は妙に真面目でひたすら内向き。人のことは言えませんが、狭い世界で小さな出来事に大きく心を揺り動かされていました。
    自分を攻撃していた負の感情が、爆発してよからぬ方向に向かったところが怖かったです。

    読むほどに暗い...続きを読む
  • 自分以外全員他人
    「ただ、死ぬならなるべく人に迷惑をかけない形にしたいとは思いますけどね。取り込みとか飛び下りはもちろん、その姿が発見者にトラウマを与えるようなことにならないように。そうゆう配慮の無い自殺はみっともなくてダサいと僕は思います。」
  • 自分以外全員他人
    コロナ下という閉塞感のある社会状況の中、マッサージ師として日々を過ごす主人公。吐き出せずにいる不平不満が心の中から溢れ出す最後の瞬間、これって誰にでも起こり得るような気がして怖くなった。
  • 自分以外全員他人
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    人は自己矛盾をかかえ、他人の矛盾も受け入れて、基本自分本位で生きていくしかない

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    ♛第39回 太宰治賞受賞作
    誰の中にもある、暴れてとめられないもの、心の中の暴れ馬、の正体が書かれてありました。
    読後、暫くの間、サイレンのような叫びが鳴り止み...続きを読む
  • 自分以外全員他人
    繊細すぎるのか、生きづらい主人公が、なんとか耐えて生きているけれど、最後は積りに積もって全てを発散してしまい、暴力行為をしてしまうお話。
    共感できるところはあまりなかったけれど、読み終わったあと、苦しい気持ちになった。
    こういう人たちはどうやって生きていけば良いんだろう…って思う。

    ちょうど、九段...続きを読む
  • 自分以外全員他人
    あらゆるストレスを普段から積み上げて押さえ込んでいるのに、本当にささやかなきっかけで、自分でもダメだと分かっているのに抑えが効かなくて、瞬発的に暴力にはしる事って人間誰しもあるのではないかとしみじみ感じた。
    人よりも正義感が強くて繊細な人の方が生きづらいんだろうなと常々思うけれど、正義感が強くて繊細...続きを読む
  • 自分以外全員他人
    人生の歯車が狂うと、見るもの感じるものが悪い方向に引きずられ、気にかけてくれる人すら理解してくれないと拒絶する。なにかのきっかけでこの悪循環に入りうる恐怖を感じた。
  • 自分以外全員他人
    私生活とキャリアの両方が充実していないと、どんな人でもこれに近い状況になると思う。できる限り寛容な心を持ち続けたいと思った。
  • 自分以外全員他人
    憤怒、苦笑、悲愴、共鳴…人間のあらゆる感情を次々に提供してくる物語。柳田の美点である真面目で繊細、洞察力の鋭さが自身の心を蝕んでいく。駐輪場のスプレー場面は、理性を失うも冷静な柳田を見事に表現。
  • 自分以外全員他人
    まずはタイトル。装丁もシンプルで黒地に白で、こちらに何かを訴えかける。
    主人公は何も持たぬ35歳の中年男性。
    生きることに疲れ死ぬことを目標になんとか生きる。自分勝手な他人、自分は陰日向を歩き、目立たず、主張せず、生きているのに、他人はなんて自分勝手だ…
    主人公は幼少期から人に迷惑をかけない、人のた...続きを読む
  • 自分以外全員他人
    第39回太宰治賞受賞作。ページを捲るたびに苦しくなるそんな小説。バックグラウンドにあるコロナ禍で、人の死が身近になっていたこともあり、主人公が繰り返す「自殺したいのではなく、自分が正しいと思う生き方をしたらきっと死んでしまう」という言葉も受け入れてしまい最後まで読み進みました。全く境遇も性格も出来事...続きを読む