この装丁で軽い話かと予想したが、なかなかちゃんとした時代小説になっていた。
この装丁が時代小説好きに受け入れられると良いのだが…。
陸尺の桐生は自らを「風の桐生」と名乗るほどの腕を持っていたが、陸尺仲間と芝居小屋との諍い、また歴史的な洪水に見舞われた事から生活が転落してゆくが…。
深川芸者の粧香、大
...続きを読む名の玄蕃守、その姉の梅渓院、そして玄蕃守家臣の小弥太が、それぞれに絶妙に情の深いキャラクターを描き桐生を取り巻いていく。
人生の転落から再生へと向かう姿は、小説を読む醍醐味の一つでもあり満足な読後感となった。