初期の農耕社会は狩猟採集民より生活水準は低下した。
狩猟技術の向上で、獲物が減少し農耕に移行せざるを得なかった。
イースター文明は魚の取りすぎで人口が80%近く減少した。
統一成長理論=現代の経済成長とマルサスの時代の停滞を統合する理論。
産業革命のころは4歳から働かされた。小さな手は繊維工場の機械
...続きを読むの詰まりを取り除くのに好都合。
工業化の進展で子供に可能だった単純作業が自動化され、児童労働の恩恵が減った。同時に教育を受けさせる価値が高まった。工場法で1833年に9歳未満のこどもの労働は禁止された。
人口転換=1870~1920年ごろに出生率が30~40%低下した。
食糧難の時代に平均結婚年齢が上がり独身者が増えて出生率が下がり、豊かな時代には逆になって出生率が上がるのが普通だった。
人口転換の理由は、子供に教育投資をする利益率の上昇が原因。乳幼児死亡率が低下、子供の教育が普及、その結果、教育の利益率が上昇し出生率が低下した。
きつい肉体労働の重要性が減少、男女の教育と所得の格差の減少。
女性の賃金が上昇すると世帯の予算制約が緩和されて子供の数が増える=所得効果。
子供を増やす、または早く結婚させることの機会費用が増加し、少子化晩婚化に向かう=代替効果。こちらのほうが勝った。
収入の格差は、労働生産性の違いを反映している。格差は縮まらない。国際貿易の拡大は工業国と非工業国に非対称な影響を及ぼした。工業国は人的資本への投資に見返りがあるが、非工業国には少ない。そのため、貿易の利益は、工業国では教育に、非工業国では多産と人口増加に使われた。イギリスとインドの例。
貿易の前提条件は、統治機関が機能すること。
韓国と北朝鮮は、以前はともに独裁国家。韓国は私有財産の保護や農地改革を実行。北朝鮮は大規模な国有化と中央集権化。非民主的な体制でも、インフラや人的資本への投資、市場経済の振興によって経済成長できる。中国やベトナムの例。
イギリスで産業革命は黒死病によって農業の労働力が不足して農奴の取り分を上げたから。東ヨーロッパは西からの農業生産物の需要が高まって地主の力は強力になった。
地理の影響
家畜が存在しない地域(アフリカ)は人口が少ない。ツェツェバエが家畜に睡眠病を運ぶ。その後の経済発展の道筋を決めた。
資源が豊富だと、資源の呪い、が生まれる。人的資本集約型の産業が人が集まらないために育たない。
イギリスの産業革命は石炭も重要な要素だが、中国にも石炭はあったのに工業化は遅れた。
マルサスの時代は土地が農業に適していることは人口に対して恩恵だったが、近代にはその部門から工業部門への移動を妨げることで繁栄の障害になる。
領土が限られていると権力と権威に歯止めがかかる。大きいと権力も大きくなり、技術や文化の発展を制限できる=中国の歴代王朝やオスマン帝国の例。
ヨーロッパは小さな国が独立して陸続きなので、制限が加わると隣国に逃げる。=コロンブスが資金の出し手をお止めてポルトガル、ジェノバ、ベネチア、イングランドなどに声をかけた。
中国は、王朝が航海を禁止することで発展が妨げられた。オスマン帝国は印刷技術導入の遅れも知識階級が知識を独占しようとしたから。
ヨーロッパでは政治的な分裂が、競争を生み技術と文化が発展した。
中国では、大河川を利用するダムや灌漑設備が必要でそのために、巨大な権力の誕生が必然だった。ヨーロッパでは大河川がないために、降雨を頼みにしていた。米は大規模農業が適しているが、小麦は個人的農業でも生産可能。
ヨーロッパの海岸線は入り組んでいて商業用の航路が生まれやすい。アジアには朝鮮半島以外に半島が少ない。
中国は大河川を利用した地理的連結性がある。中央集権化が進み中世には有利だった。産業革命には逆効果。競争や文化の流動性のほうが大事だった。
植民地が独立しても成長を遅らせるような収奪型の制度を維持した。豊かな作物が育つ地域は人口密度が高く収奪的な制度に向いていた。
未来志向の文化=作物がよく育つ地域では未来への投資に実りが多い=ますます収穫が高水準になる。
「欧州社会調査」「世界価値観調査」によって解明された。長期的思考の強い人がそこに移住するということも考えられる。
稲と小麦は、アジアの相互依存文化とヨーロッパの小麦文化に影響している。小麦は米ほど協力を必要としない。
クワを利用する土壌は男女の役割分化が進む。スキや熊手を使う農業では男女が共同で行う傾向がある。
気候変動が激しい地域では、損失回避型よりも冒険型のほうが利益が大きくなることがある。気候変動が穏やかだと、損失回避型の行動のほうが利益がある。「総合社会調査」の世論調査と過去1500年の気候データの組み合わせからわかる。
性別の作業区別がある文化では言語も性別の区分がある言語が生まれる。社会階層の区別がある社会はそれを反映させた言葉が生まれる。作物が豊かな地域では未来志向が生まれ、言語にも迂言的な未来時制の言葉が生まれる。
土壌が大規模プランテーションに適していると収奪的な制度が生まれやすい。地理は格差を生む大きな要因。
「オハロⅡ」と呼ばれる遺跡は23000年前に農耕が起きていたことを示す。
メソポタミアで農業革命が起きた理由は生物の多様性と家畜化可能な動物が豊富だったこと。
オセアニアやアメリカは、人類の到達が遅くすでに狩猟技術が発達していたため、大型哺乳類は早く絶滅させられた。
アメリカやアフリカは縦に長い=気候が違う。ユーラシア大陸は横に長い=気候が似通っていて栽培技術を移植しやすい。
戦争の歴史では強者は病原体を保有していた。アステカ帝国やインカ帝国は病気によって滅ぼされた。
農業社会では人口密度が上がると首長制国家が現れる。税収が必要。税は初期は穀物。イモでは不便。穀物が収穫された土地では複雑な階層社会が生まれた。都市国家に発展した。
農業革命を先導した国のほうが現在貧しいのはなぜか。
農業の比較優位は、工業化を遅らせることになる。人的資本の形成(教育)や工業技術の進歩が遅れる。
ロックンロールの誕生は黒人文化と白人文化の融合から。
連続的創始者効果=移動するにつれて多様性は失われる。アフリカから出国した人類は、遠くに行くにしたがって多様性がなくなる。適度な多様性が経済の繁栄にもっともつながりやすい。
貧しい国を繁栄させる政策提言(ワシントンコンセンサスなど)は、偽の飛行場を作ったタンナ島の復活の儀式と同じ。前提条件が整っていれば自由貿易は規制緩和、民営化、財産権の保護は意味があるが、社会の結束が弱い、賄賂が横行している環境では無意味。
格差のおおもとはグローバル化と植民地化の非対称な影響。さらにいえば植民地化以前の不平等に基づく。