エリザベスムーンのレビュー一覧
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自閉症の男性が主人公。自閉症とは言え、自分に合った職業があり、フェンシングの趣味ももち、それなりに満たされた暮らしをしている。
彼の一人称で話が進む。彼が音楽を理解して感じるやり方や、他の内面世界は、一般的な自閉症者のイメージと違ってとても豊か。感情的には落ち着いていて、合理的で美学も感じるような世...続きを読むPosted by ブクログ -
「21世紀版『アルジャーノンに花束を 』」と言われている作品ですが全然違います。アルジャーノン的な話だと思って読むと、1/3くらい読んだところで不安になってくるので、別物だと思って読みましょう(笑)
※ここからネタバレあり※※
私が感じた大きな違いは主人公・ルゥは、ただ、マイノリティである、...続きを読むPosted by ブクログ -
自閉症者が健常者とのコミュニケーションで感じるちょっとした違和感や、自閉症治療前後の自己の同一性に対する疑問などがうまく描かれており、とても興味深かった。Posted by ブクログ
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SFとは思えない作品で評価が人によって分かれるのは仕方がないと感じ、あのムーンの作品である驚きがある
表紙 6点岩郷 重力 小尾 芙佐訳
展開 7点2003年著作
文章 7点
内容 765点
合計 785点Posted by ブクログ -
進駸堂書店×早川書房コラボカバー作品。
自閉症者枠で高度な仕事についているルゥが新たな治療の被験者となることを選ぶまでの彼の世界があまりにも豊かで瑞々しく、深く、そして美しすぎて、ずっとその世界にいて欲しいと思ってしまう。けどそれはあくまで部外者の気持ち。
ノーマルなルゥとして新しい人生を歩き始めた...続きを読むPosted by ブクログ -
自閉症の治療が開発されたとき、彼らは何を決断するのか。結末はとても意外だったし、主人公ルゥを応援するような気持ちで読んでいた私には切ないような気がしたが、彼の生活を体感してきたかのような物語のあとではルゥの決断以外にあり得ないような気もする。それが彼にとって幸せだったのか、読み終わってからも分からな...続きを読むPosted by ブクログ
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もしも自閉症の完全な治療が可能になったら。
最先端の臨床試験と精神遅滞の主人公をとりまく世界を描いた小説、と聞いたら多くの人はダニエル・キイスの名作『アルジャーノンに花束を』を連想することと思います。
「あんたは、健常者の友だちといつもいっしょにいる」エミー
「隠喩だと言うなら―鯨は砂漠...続きを読むPosted by ブクログ -
21世紀版『アルジャーノンに花束を』なんて嘘である。
作者の狙いは自閉症者の視点から人間社会を描くことのようだからである。
近未来、自閉症が幼少期の治療により治癒する時代。ルーはその治療の恩恵に浴せなかった世代で、コミュニケーション技術のトレーニングにより、社会参加はできているものの、「正常者...続きを読むPosted by ブクログ -
自閉症であるルウは症状と付き合いつつ、仕事に趣味と自分なりに充実した日々を過ごしていた。しかしある日ルウは、彼の職場の上司から、自閉症治療の実験台になることを要求される。
語り手となるのは自閉症患者のルウ。この語りが非常に繊細です。普段自分たちが会話している中では考えもしていないようなことがル...続きを読むPosted by ブクログ -
もしくらやみに速さがなく、そこに停滞するものだとしたら、光はくらやみの場所を奪ったことになるのかもしれない。
そんなことを考え始めると、結末がまた違う形で見えてきた。
ルウは好きだし、その選択も否定はできないけど、トムに共感してしまうなあ…。Posted by ブクログ -
全600ページ。
フェンシングとか、
脳神経とか、
クラシック音楽とか、
宇宙とか。
他の人とのコミュニケーションが少しだけ苦手で、
他人の言動をちょっとだけ気にしすぎて、
極めて素直で真面目で純真な主人公の話。
"自閉症"って病気の名前がそもそもどうなのかとも思うが、
"ノーマル"って言い方がそも...続きを読むPosted by ブクログ -
帯に「21世紀のアルジャーノンに花束を」とあった気がする。
そのうえでレビューをすると、こちらの方が上だと思う。
幼少期であれば治療が行えるようになり、自らの世代以降には患者がいなくなった自閉症の主人公が送る日常、治療法が発見された時の彼の選択、そしてそのエピローグ。
「光が届く前に暗闇があるので...続きを読むPosted by ブクログ -
ネビュラ賞受賞作。
自閉症の幼少期において治療可能になっている近未来。
自閉症者最後の世代であるルウが様々な困難を乗り越え、決断していく姿に打たれます。
訳者の方の力量が素晴らしい。
「アルジャーノンに花束を」の訳者、小尾美佐氏にも拍手です。
くらやみの速さはどれくらい?
天文学の...続きを読むPosted by ブクログ -
今まで読んだ中で
一番痛いと思った小説。
光より常に先にある暗闇は
光速よりも速く進むって、
光がいくら速くても暗闇はいつも先に。
だから光を追う限り
終局に辿り着くことはない。*
世界に入り込んで、
わたしは、
そのままのルウを愛してた。Posted by ブクログ -
「タイトル」と「表紙イラスト」と「自閉症というワード」に反応して購入しました。
悲しい言葉がポツポツ並んでいても、かすかな希望の感じられる…そんな印象を持ちました。文庫一冊にしてはかなりの長文ですが、引き込まれる様にして一気に読む事が出来ます。それほど魅力的な一冊(^-^)Posted by ブクログ -
間違いなく今年読んだ本のベスト10に入ります。アルジャーノンと比較されがちですが、こっちのほうが数段いいです。
ダウン症が治る時代、そこからエアポケットのようにこぼれおちた人たちがどういう選択をするのか・・・最期まで読まずに本を手放せません。
Posted by ブクログ -
SFです。ですがいわゆる宇宙だなんだというものではなくあの 『アルジャーノンに花束を』 の21世紀版、と評されたネビュラ賞受賞作です。解説の人も書いていましたがどんな人でも程度の差はあれど多かれ少なかれ世の中や他人とうまく折り合いをつけるのにぎくしゃくしたり悩んだりしているもので、そういう視点からす...続きを読むPosted by ブクログ
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自閉症者の自我、というか、感性というか、自意識というか、とにかく彼らがどのように感じ、人と関わっているのか、それは知る由もないのだが、本書を読む限り、健常者になるよりも今のままでいても充分幸せだったんじゃないかと感じさせる。
果たして、どちらのルウが本当に幸せなんだろう?Posted by ブクログ -
アルジャーノンとはちょっと方向性が違うけど、自閉症の人々の感性とかものの見方とかへぇ…って感心した。
どう頑張っても「自閉症の人」って扱いをされてしまうし、わたしだって「自閉症の人なんだな」って思ってしまうし、もう自閉症は自分のアイデンティティだよっていうキャラクターもいたけど「自閉症」から逃れら...続きを読むPosted by ブクログ