関口正司のレビュー一覧

  • J・S・ミル 自由を探究した思想家
    ミルの思想については、正直なところ理解した、とは言えません。
    ただ、ミルが小さなときからスパルタ教育を受けたこと、男女平等の考えてをもっていたことは、わかりました。
  • 自由論
    19世紀英国の思想家であるミルの代表作になります。本書は題名の通り「自由」について論じている本ですが、冒頭にも書かれているように、各人の市民的、社会的自由はどのように定義されるのか、を論じています。端的にいってしまえば、最終章に書かれている2つの格率が結論になります。第1に「個人は彼の行為が彼自身以...続きを読む
  • 自由論
    内容の割に大変読みやすく、名著だと思った。
    あくまで合理主義の観点から考えているとはしつつ、ベンサムのような機械的な考え方ではなく、個人にフォーカスした人間的な考え方をしている点が受け入れやすかった。危害原理に対しては、パターナリズムや道徳の観点から反論も考えられると思うが、現代の自由論の基礎をなす...続きを読む
  • 自由論
    タイトルだけ読むと個人のあり方に関する書物という印象でしたが、個人にとどまらず、21世紀も色褪せない社会や組織のあり方について深く多面的な洞察による数多くのヒントが書かれていました。何回も読みたい名著です。
  • 自由論
    完全な真理に到達するまでは可謬性を伴ってしまうとしても、多様な意見のぶつかり合いが必要だということなのです。基本的に世の中では一部の真理を含んでいる意見というものが多いわけなので(逆に言えば全て正解ではない)突飛な意見に見えるとしても実は聞くに値します。そのような訳でカントが「啓蒙とはなにか」の中で...続きを読む
  • 功利主義
    マルクシズムが終わってポストモダンもなんかよくわかんないまま終わってコロナとか戦争とかで結局ナショナリズムなの?ってとこにきて唯一機能し得る政治哲学は功利主義なんじゃないかって思ってる。てか下の世代の意識高い人の発想を聞いてると大抵無自覚に功利主義できなんだよね。
    ベンサムの功利主義への批判の半分く...続きを読む
  • 功利主義
    人間の生きる目的(幸福の追求)における「幸福」は決して普遍的ではなく、社会や他者・自身の思考の変化にも影響されて変わり続けていく
    幸福への手段である正義や道徳も避けがたい矛盾や変化を孕んでおり、絶対的な正解などはあり得ない
    だからこそ幸福についてあらゆる視点から考え続けていくことが重要なのだというこ...続きを読む
  • 功利主義
    初岩波白。

    正義にはそもそも色んな種類があって、その時々にちょうど良い正義を取り繕ってなんやかんや取り組むぜみたいなところには確かにそうかもなと思った。ぶっちゃけ見方次第で事の是非なんかどうとでもなる気がする。

    質的快楽についても、たとえば、セックスと研究のどちらがより価値のある快楽かと問われて...続きを読む
  • 功利主義
    ジェレミ・ベンサムによって創始された最大多数の最大幸福を第一とする功利主義を、同調者であったジョン・スチュアート・ミルが解説する一冊。
    幸福と不幸の兼ね合いによって正誤を判断する思想を功利主義と認識していますが、幸不幸は主観的であり客観的に計測することは不可能です。
    高尚ですが曖昧さによって脆い骨子...続きを読む
  • 自由論
    他者危害の原則という考えは自分自身も非常に影響を受けた。他人に危害を加えない限り、当人の行為は自由に尊重されるべきである、というフィロソフィーは現代においても通ずるものが多々あると思う。

    ただこの理論思っていた以上に複雑。多岐に場面・シチュエーションが想定されていて、行為が尊重されるかどうかが論理...続きを読む
  • 自由論
    他者危害原則(Harm principle)の出典として有名な言わずと知れた名著。自由論についてゼロベースで論理的に述べられているのが特徴。以下に、本書を実際に読んで印象的だった点を三つ述べる。

    ・ミルの自由侵害の範囲は法的刑罰のみを指していない。そこには政治的抑圧のみならず社会的専制、つまり世論...続きを読む
  • 自由論
    意見が世論や宗教に抑圧されず、議論が開かれていることの大切さ、個人を尊重する意義などが論じられており説得力があった。

    実例はイギリス政治やキリスト教などであったが、本質はどの時代でも通ずる内容であった。
  • 自由論
    すべての人は他人の自由を侵害しない限り、望むことを何でもする自由がある。国家は他人による自由の侵害から各人を守り、共同体を外国の侵略から守る役割のみをもち、それ以上の権力行使は認められない。ハーバート・スペンサーSpencer『Social Statics』1850

    自由とは人間の独創性と多様性が...続きを読む
  • 自由論
    「最近、ミルの『自由論』の翻訳でよいものが出た」と聞いたので、読んでみました。
    1850年代に書かれた本ではありますが、現代でも十分に通用する内容だと思いますし、リベラリズムやネオ・リベラリズム、リバタリアニズムを考える上でも参考になると思います。

    個人的には、ミルの『自由論』は、進化論との相性が...続きを読む
  • 自由論
    ミルの自由論を読んだのは学生時代以来。現代語訳になったためか、歳をとったためか、それほど突っかかることなく読み終えた。

    他者に危害を加えない限りは自由である、というミルの根本原則など現代にも通用する点は多い。やや個人の判断力に信頼を置きすぎな印象はあるが、全体として納得感のある内容だった。宗教との...続きを読む
  • J・S・ミル 自由を探究した思想家
    J.S.ミルの新しい本が出てるなんて。と思ったら、没後150年なんですね。
    著者のミルへの愛を感じました。
    ミルってだいたいベンサムとセットで出てくるし、「功利主義を修正した人」「他者危害原則」、もしくはノージックのオマケ的な扱いが多いです。
    まるで清水書院のセンチュリーブックスのような雰囲気の評伝...続きを読む
  • 自由論
    2020年の訳なのでかなりよみやすい。津村のよみなおし世界文学のおすすめ本の1冊で、文学書ではないが読みやすい。実例はキリスト教に関する者も多いがそれ以外のものもある。実例があるところはわかりやすい。常識の範囲で論を追っていけるので理解しやすいと思われる。
  • 自由論
    本書の主題は社会の中での「自由」について。つまりは、社会が個人の行動を規制することができる状況において、何が個人の自由の領域であるか。言い換えると、社会は、個人の不可侵の領域として、どんなことをしてはいけないか。また、そのためにどんなことを推奨すべきかということを論じた本。
    1859年初版。

    その...続きを読む
  • 功利主義
    ミルが晩年に、功利主義の考え方についてまとめた本です。功利主義は、現代においても誤解や先入観によって批判的に捉えられることが多いですが、当時(1860年代)のイギリスにおいても、同様でした。本書は、想定される批判を潰していくという形式を取っており、当時の風当たりの厳しさを肌で感じ取れます。

    ミルは...続きを読む
  • 功利主義
    「功利主義」という名称から自己中心的な意図を感じ取っていたが、それは全くの誤解であった。解説でも触れられていたが、功利ではなく効用、全体の幸福の最大化が「功利主義」で正としているものだと理解した。
    けれども全体の幸福とはなんだろう。周囲の幸福のために個人が進んで損害を被ることは功利に向かうのだろうが...続きを読む