失った部位すら再生できるほどの治癒魔法を持っていながら、その治癒魔法を使った代償が強制発情という難儀すぎる体質のマルゴ。
体に負担のかかる強い力を使うと、本能的に種の保存をしようとするからとのことだが、女性の場合は特にこの代償はリスクが高かろう。
事実、マルゴは人前で発情してしまったがために信頼して
...続きを読むいた相手に冷たい目で見られたというトラウマを抱えていた。
ゆえに治癒魔法を人前で使えない、使えないゆえに無能扱いされてしまうという悪循環。
その悪循環は、戦場で一人の魔法騎士を助けたことで断たれることになるが。
マルゴに助けられた魔法騎士オーブリーも希少な力を使える代償が必要な体質。
彼の場合は視力の低下だったため、マルゴの強制発情で体を重ねたにも関わらず、その相手が分からないままというもどかしいことに。
彼も過去のトラウマのせいで女性に不信感を持っている女性嫌い、の筈が、目が見えないまま体を重ねた相手のことは忘れられず(相性がよろしかったのだろう諸々と)見つけ出そうと躍起になるという。
友人の王子がつい横槍を入れたくなるほどの変わり様。
ただマルゴは彼の命を助けるためとはいえ、結果彼を襲ってしまったことを破廉恥な行為だと自覚しているから名乗り出る筈もなく。
オーブリーはオーブリーで女性嫌いゆえに女性免疫がなく、意外にヘタレで初心なところがあり、よりややこしい事態に。
何が言いたいかというと、お二人さんがもどかしかった。
非常にもどかしかった!
オーブリーは結局マルゴと再会直後に本能的勘でマルゴこそあの時の彼女だと気づいていたようだが、気付いていてあの態度は何なんだよというほどの純情かつヘタレっぷり。
ヘタレというか、貢ぐだけ貢いで、甘やかすだけ甘やかして、肝心なことは言わないという感じ。
マルゴもそりゃ戸惑うよという。
それでも、例え身分差という壁も障害になろうと、結局マルゴも彼に惹かれてしまう。
二人の惹かれっぷりは、こう運命の相手、番と言ってもいいほどだった気がする。
お互い、もう相手以外いらない、みたいな恋。
始まりは、まあ何ですが。
二人のもだもだした恋愛をそばで見させられた友人たちは、さぞやハラハラしただろう。
特にマルゴの親友と豪語していたアデールは。
途中まで完全にアデールがマルゴの騎士だった気がする。
ああいう子を親友にもてるなんて、非常にうらやましいぞマルゴ。
ただあの代償付きの治癒能力まではうらやましくないけれど……最終的には、その能力も折り合いがつく形で終わってよかった。