小松真一のレビュー一覧

  • 虜人日記
    軍属としてフィリピンに配属された技術者が、アルコール製造(燃料として軍用に使った)に奮戦し、米軍上陸により山中に逃れ、捕虜になって日本に帰ってくるまでの日記。戦争中の記録が半分、捕虜になってからの記録が半分といった分量。

    このあいだずっとメモは取っていたそうだが、この形にまとめたのは捕虜になって相...続きを読む
  • 虜人日記
    山本七平氏が絶賛するとおり、この記録が、その当時の状況下で書かれたことに意義があり、そのことが、偽りのない真実をありありとあるいは淡々と伝えることに成功しているのだと思う。私は、左翼の言うことよりも右翼の言うことに賛同してきたが、小松氏の日記を読むと、東南アジア各国あるいは、朝鮮・台湾の反日感情は、...続きを読む
  • 虜人日記
    8月恒例の戦争関連本。戦争に関する小説やノンフィクションはたくさんあるが、この本がすごいのは、(ほぼ)リアルタイムで書かれていること。帰国した兵士や、従軍記者が、思い出しながら、権力を意識したり解釈を変えたりして書くのではなく、その日その日の出来事が、科学者である筆者の冷静で客観的で淡々とした観察か...続きを読む
  • 虜人日記
    『日本はなぜ敗れるのか』の元ネタ。終戦時の手記の内容がいまだに通じるということは、これからも通じるということ。広く読まれるべきということで、あえて文庫本フォーマットで出版されている。内容的にR18+指定であるが、やはり手元に置いておくべきか。
  • 虜人日記
    とても面白い作品でした。これからも、繰り返し読みたい。

    人間の弱さや統率力、敗因など、その明晰な分析に頭が下がる。
  • 虜人日記
    先の戦争の記録については、数多くの著作が世に出ている。
    本書は、技師である著者が、客観的に記述し、そこに的確な
    主観(実感)を交えて記述されており、
    現在の日本の状況を見ても、教えられることは多い。
    山本七平が絶賛するのもわかる気がする。
    戦争体験記の名著。
    一度は、読んでおきたい本の一冊だと思う。
  • 虜人日記
    渦中にいながら、ここまで冷静に記録を残すことができるのは、すごいと思った。
    そのおかげで、我々は何が起こったのかを知ることができる。

    集団としての日本人が、独善的で自らを省みないのは、今でもまったく変わっていないと思う。
  • 虜人日記
    本作は、醸造技術をもつ企業人が軍属としてフィリピンへ派遣され、業務を行い(アルコール製造)、終戦を迎え、捕虜として過ごした筆者の、およそ二年ばかりの日記であります。

    ・・・
    類似の作品に、た山本七平氏による『一下級将校の見た帝国陸軍』がありますが、本作はこれとは大きく毛色が異なります。『一下級―』...続きを読む
  • 虜人日記
    太平洋戦争終盤のフィリピンが舞台。マッカーサーを追い出した後の日本占領時代から、今度はマッカーサーにジャングルへ追いやられ終戦を迎え捕虜生活を経て帰国するまでの陸軍軍属の日記。著者のぶれない人間性に強さと人柄の良さを感じる。いろんな角度から戦争が見えて面白い。
  • 虜人日記
    戦後のフィリピンで戦後捕虜になった方の手記。

    これを読むと、日露戦争以後、いかに日本社会が虚飾、見栄、特権意識にあふれていて、それに気づいていても口に出してはいけないことになっていたかよく分かる。

    今の自分達からは別物と思いたくなるが、脈々と戦前から持っていた驕りを心の奥底に残している気がしてな...続きを読む
  • 虜人日記
    「新しい市場」(三宅)に引用。台湾精糖会社の一流の技術者が日本の敗因を冷静に分析。 日本人は不必要に神経質で、化学的に純粋でないと何だか気が済まない。自動車用にも不必要なまでに手をかけて品質の良い精製をする。米人はどうせ自動車用だと品質が悪くても平気でいる。だから彼らが設計した精製工場は素人だけでも...続きを読む
  • 虜人日記
    人を殺すとか人に殺されるとか想像できるわけがない現代人に向けて、山本七平とかこの虜人日記とかは良いアプローチで反戦の啓蒙ができてるんじゃないかなーって思ってます。
  • 虜人日記
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    部下の傷病兵に自決を強いて、自分達だけ逃げ廻るような部隊の兵は、命令に従って負傷でもしたら大変と、敵が来れば一発も撃たずに逃げてしまう。ところが、傷病兵をよくいたわり、最後まで世話を見るような部隊は、敵とよく戦い、強い部隊と称賛された。...続きを読む