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部下の傷病兵に自決を強いて、自分達だけ逃げ廻るような部隊の兵は、命令に従って負傷でもしたら大変と、敵が来れば一発も撃たずに逃げてしまう。ところが、傷病兵をよくいたわり、最後まで世話を見るような部隊は、敵とよく戦い、強い部隊と称賛された。
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今度の戦争は、日本は物量で負けた、物量さえあれば米兵等に絶対に負けなかったと大部分の人はいっている。確かにそうであったかもしれんが、物量、物量と簡単に言うが、物量は人間の精神と力によって作られるもので、物量の中には科学者の精神も、農民、職工をはじめ、その国民の全精神が含まれている事を見落している。こんな重大な事を見落しているのでは、物を作る事も勝つ事もとても出来ないだろう。346
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一路故国へ向かう。十二月三日、人員が一名不足なので調べてみると、投身自殺者が一名あったのが解り、船は半日程引き返し死体を探したが、見つからなかった。戦争中はこのバアーシー海で何万という人が死んでも全く顧みる事がなかったのに、平和となれば一人の為にも一万トンの船を一日無駄に動かす。変な気がする。365
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太平洋戦争で、日本はなぜ敗れたのか。本書で説く「克己心の欠如、反省力なき事、一人よがりで同情心がない事、思想的に徹底したものがなかった事」など「敗因21カ条」は、今もなお、われわれの内部と社会に巣くう。そして、同じ過ちをくりかえしている。これらを克服しないかぎり、日本はまた必ず敗れる。
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