オクテイヴィア・E・バトラーのレビュー一覧

  • キンドレッド
    1976年に生きる黒人女性が高祖父の生きる時代にタイムスリップしてしまう。
    その時代は人種差別が〝当たり前〟の時代。
    自らの祖先からの差別に耐え、元の世界に戻れるのか。
    SF作品の枠に収まらない深い含意があちこちに。
  • キンドレッド
    「私は最後の帰還の旅で腕を失った。左腕だ。」こんな衝撃的な一文から始まる、タイムスリップ物のSF小説(著者は、ファンタジーだといっています)。

    時は、1976年6月9日のロサンジェルス。新居に引越してきたばかりの、白人を夫に持つ黒人女性。彼女は夫と荷解きをしているとめまいに襲われ、南北戦争のはるか...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    「血を分けた子ども」kawade.co.jp/sp/isbn/978430… 前情報ゼロで読んだら想定外のジャンルだった(何回目) 知ってたら手に取らなかったからうっかり読めて良かった!社会問題や実際の事件に想起した作品もあるそうだけどとにかく想像力が爆発してる。トーンはディストピアなのに不思議と愛...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    SF。短編集。
    SFでない純文学的な作品やエッセイもあり。
    地球外生命体と人類の奇妙な関係を描いた2作品、表題作と「恩赦」のインパクトが凄まじい。世界観に圧倒された。
    「夕方と、朝と、夜と」も雰囲気は違うが、とても面白い。
    エッセイも良い。
    傑作。今年読んだ小説のベスト3には入る。
    アフリカ系女性の...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    『筆者の解説付きで二度おいしいSF短編集』

    筆者の様々な体験、問題意識を主題として描かれたSF短編集。テーマは多岐に渡り、全体的に暗い雰囲気の中にも温かさが感じられる、経験したことのない様々なSFの世界が楽しめた。
  • キンドレッド
    “わたし”であるデイナはまだ無名の黒人女性作家。夫のケヴィンは同じ作家で白人。二人は1976年のロサンゼルスに住む若い夫婦。
    しかし、突然デイナは目眩を感じ崩れ堕ちる。そして気がつくと見知らぬところにいた。
    そこは19世紀のメリーランド州。南北戦争前、黒人奴隷を多く抱えたトム・ウェイリンが経営するあ...続きを読む
  • キンドレッド
    黒人女性が奴隷制下の19世紀へタイムスリップ。読んでいて辛くもあったが、その中に入り込み漠然としか分からなかったその当時の空気に触れたような感じがした。多くの人に読んでほしいと思う。
  • キンドレッド
    待ち焦がれてた文庫化。
    単行本発売時に読んだけど、薄らとしか覚えてなかったので再読。
    改めて衝撃!生々しく伝わる奴隷制時代の描写。
    歴史的な名著!と再認識。
    バトラーの別の作品の翻訳化に更なる期待。
  • キンドレッド
    長らく絶版で古書価格が高騰していた本作。河出書房さんのお陰でようやく読むことができた。1976年のロスに白人の夫ケヴィンと住む黒人の主人公デイナが、1800年代初頭の過去へタイムスリップし、自分の祖先であるルーファス少年を救うところから始まる。ルーファスが命の危険に晒されるとデイナが過去へ呼ばれ、逆...続きを読む
  • キンドレッド
    19世紀初頭へのタイムスリップを70年代に描いたSFということで、現代を生きるわたしにとっては二重の新鮮さがあった。

    冒頭思わず惹き込まれる設定から続くのは、予想よりはるかに辛くままならない旅路。命を助ける未来の存在なのだから…と甘い期待をしたが、事態は変わらずハードな展開を見せる。人の希望を打ち...続きを読む
  • キンドレッド
    人が人を買うという、圧倒的に非常識な常識が存在していた時代。その時代に現代より強制タイムスリップ。それも自分は買われる側のリスクを持つ人種として……。

    今も根深く存在する人種差別。どうしたらなくせるのか? それを考えてしまう時点でもうダメなのだろう。いつの日か差別と言う言葉が死語になることを切に願...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    全体としてとても面白かったけど、どれかピックアップして読むなら『血を分けた子ども』と『恩赦』がスリリング。

    以下はいくつか作品のまとめと感想。

    ●血を分けた子ども
    テラン(人間?)が、トリクというでっかい虫みたいな生き物に、奴隷的に囲われながら暮らしいている世界の話。過去は一方的な支配だったらし...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    短編集5編、エッセイ2編、新作短編2編
    表題作のゾッとするような生理的に無理と感じる宇宙人との共存、生殖。そしてそこに生じる理解と絆のようなもの。人間に似た宇宙人ではなく全く思いがけない形で現れるバトラーの宇宙生命体に驚き、そのコンタクト相互理解の不毛と少しの希望が絶望感を救ってくれた。
    SFとして...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    過去の短編とエッセイ、新作短編をまとめた本。
    表題作はネビュラ賞、サイエンス・フィクション・クロニクル賞、ローカス賞、ヒューゴー賞を受賞した、バトラーの短編の代表作。

    エッセイ二篇はどちらも「書くこと」について書かれていて、特に『書くという激情』はプリントして持ち歩きたいぐらい沁みる。大事なのは「...続きを読む
  • キンドレッド
    1976年アメリカに生きる黒人女性が、奴隷制が存在していた1819年へとタイムスリップします。それも何度も現代に戻ってきては、いつともわからない瞬間にタイムスリップをくり返します。

    いかに黒人といえど、20世紀後半に生きていれば奴隷制は学習するだけの過去の制度。それを想像を絶するほどの痛みをともな...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    SL 2023.3.18-2023.3.20
    SFは自分で世界を創り出せるからなんでもアリだなと思っていたけど、この短編集では、その創り上げた世界は作者の考え、主張、訴えたいことが根底にあり、しかも今の時代の出来事を下敷きにしているんだと気づいた。
    地球外生命体や遺伝性疾患、伝染病によって、極限状態...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    途中まで読みました。SFをしばらく読んでない身としてはなかなかハードな一冊でしたが、久々に空想の世界に旅立つことができました。またここに戻ってきたい。
  • 血を分けた子ども
    ヤマシタトモコ先生が読まれていたので読んでみた。
    久しぶりにSFを読んだので、最初は世界観や人物関係を理解するのに苦労した。
    表題作の「血を分けた子供」では特に読み進めるのが難しかったが、少しずつ不思議な社会システムが理解できたところでテーマである愛が浮かび上がってきて圧倒された。
    自己破壊的な遺伝...続きを読む
  • 血を分けた子ども
    「血を分けた子ども」★★★
    「夕方と、朝と、夜と」★★★★
    「近親者」★★★
    「話す音」★
    「交差点」★★
    「前向きな強迫観念」★★★
    「書くという激情」★★★
    「恩赦」★★★★
    「マーサ記」★★★