芝田文乃のレビュー一覧

  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    「これでもうわかっただろう、大統領のために働くというのがどういうことか」

    この言葉に集約されている。
    大変面白かった。同じ著者の「踊る熊たち」も素晴らしい本だった。ポーランド人である著者だからこそ書けた内容だと思う。
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    独裁者に気に入られつつも、いつ殺されるか分からない恐怖に怯える

    独裁者のこどもが腹痛をおこし、急ぎ病院に連れて行く話や、仲のよかった友人が実は自分を密告していたり

    もう小説のようなエピソードがたくさん

    一方で独裁者の優しい一面を語る料理人もいる
    決して歪んだ認識というわけでなく、おそらく正しい...続きを読む
  • 火星からの来訪者
    楽しみにしているレム・コレクション。第二期は順調に出版されていて誠に喜ばしいです。
    実質のデビュー作である表題作含め非SF短編も含む初期作品集。書かれたタイミングは戦時中でありしかも場所は現在も禍中にあるリヴィウ。ドイツに占領されていたりポーランド領だったりソ連だったりと過酷な経緯を辿る街で、また今...続きを読む
  • 踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々
    今年一番、すすめたい本。

    前半はブルガリア・ロマの熊使いの伝統の終焉の、人と熊と。自由は社会の設定ではないのだと感じる。しかし社会の設定は自由な社会を設定しようとする。これは社会の過渡期なのだろうか?そう考えるよりも、自由は能力のように上達させるものなのだろう。

    日本に限らないと思うが、自由は置...続きを読む
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    ファーストインパクトは著者のポートレート写真だった。
    「一度料理人になりかけた」というジャーナリストの佇まいは、満面の笑みでもカバーしきれていないほどの強面。こんな人物に訪ねて来られたら、嫌でも口を割らねばなるまい…。
    だが本書でインタビューを受けるのは「独裁者」に仕えていた元料理人たち。強面の来訪...続きを読む
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    サダム・フセイン、イディ・アミン、エンヴェル・ホッジャ、フィデル・カストロ、ポル・ポト。
    独裁者たちが何を食べてどんな顔を見せていたかを、彼らの専属の元料理人たちが語っている。
    彼らは今もあまり過去を喋りたがらない。食事で何か問題が起きれば自分の命が危ないというギリギリの現場だったようだ。当時一般の...続きを読む
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    かつて独裁者だった人物、イラク共和国のサダム・フセイン、ウガンダのイディ・アミン、アルバニアのエンヴェル・ホッジャ、キューバのフィデル・カストロ、カンボジアのポル・ポトの料理人のインタビュー集。

    料理人になった経緯と仕事をしていたときの心理と主人の失脚後の人生は様々。大体は「いつ捨てられるのか、い...続きを読む
  • 踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々
    前半が熊使いにまつわる話、後半は共産主義から資本主義に移行して戸惑う人々の話。後半の章ごとに冒頭に差し込まれる前半の言葉が心模様を端的に表している。100%の社会など存在しない。ソ連解体に伴う意識の変化を通じ、社会の成り立ちの基本を見直せる良書。
  • 踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々
    鎖の付いた鼻輪を付けられて、男の指示に従って二足で立ち上がり、見せ物として”踊る熊”。動物虐待に他ならないこの伝統は、ブルガリアにおいてかつて脈々と受け継がれていたー過去形を使ったのは、ブルガリアが共産主義から資本主義社会へ展開した後、動物愛護団体によって全ての熊が庇護され、この伝統は消滅したからで...続きを読む
  • 火星からの来訪者
    全作、当時のレムの置かれた背景からか
    戦争の影響を強く感じる
    かつ
    終わり方がどれも詩的、抽象的なので
    面白いからどうかと言われると
    面白くはない
    でも深く読むと、深く読める文章なんだと思う
    そこまで深掘りできなかったけど。
    ソラリスを積読してるので
    読めるかなー、、と少し不安になる
    初期の作品とい...続きを読む
  • 地球の平和
    (SF)どうせ自分には読み取れないよくわからないと覚悟しつつも、世界観に浸りたい欲望で手に取り、やっぱり難しかった。というか頭が情報処理をしないんだよな。 でも他の作者の作品に比べると読み側への愛情?気配りは感じられる。
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    独裁者の身近にあって、その食事を作る人たちの証言をまとめた話。
    独裁者達の孤独、独裁者達に仕えることの緊張感が、どの話にも濃密に漂っていました。
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓
    独裁者の料理人
    厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    著者:ヴィトルト・シャブウォフスキ
    訳者:芝田文乃
    白水社
    *著者はポーランド人ジャーナリスト

    サダム・フセインは何万人ものクルド人をガス処刑するよう命じた後、何を食べたのか?200万人近いクメール人が飢え死にしかけていたとき、ポル・ポトは何を食...続きを読む
  • 火星からの来訪者
    WW2という時代背景の不条理さが非SFを含めてレムらしさを堪能

    日本人は勇敢な人々だが、ただそれだけなので尚のことだ。「桜の花に包まれた鉄の拳。」この世の物事よりもあの世の物事に近い宗教、つまり個人の品性を高めはするが、民族にとって大きな害となる世界観。
  • 地球の平和
    レムの最後の作品。
    あまりにも複雑であちこちち話が飛ぶのでわかりにくい。
    ところどころは極めて鋭いのだが、過去の泰平シリーズとは一見似ているようだが、主題の見えなさが全然異なる。
    正直、期待外れ。