FF15本編がとんでもない出来だったので後付でなんとかしましょうという一連の流れの最後に位置する本。
本来はDLCで語られる予定だったが、それまでのDLCの売れ行きが芳しくなかったのかディレクターのとんずらに前後して開発が中止されてしまった。
本にしておくのは勿体ない出来で、この内容がゲームで実現し
...続きを読むなかったことが悔やまれる。
ほぼ全てが後付で語られるため、ゲーム原作の小説によく見られる本編の設定を上手く活用した描写などは皆無に等しい。
一方で、メインキャラの内面の掘り下げや心情の説明は丁寧で、本編では説明不足過ぎてヒロイン感の無かったルーナもちゃんと愛着が湧くようになっていた。
展開についても、真のラスボスの登場からかつての敵と手を取り合い最後は世界を救うという熱血王道的展開で、ベタではあるもののそこへ至るまでの納得感は十分にあり、過去のFFシリーズと比較しても楽しめる出来だと感じた。
しょうもないお涙頂戴じゃなくてこういう熱く滾る場面でこそメインテーマを使ってほしかったと改めて思った。
なかには、本編では感動的に描かれていたシーンに砂をかけるような展開もあるので、気に入っていた人たちには衝撃的な内容かもしれない。
個人的には、親友の死を回避する方法を特に模索せず、10年間という長い月日をただ死地へ送り出す準備に費やしたことがずっと疑問だったので「ノクトの死は全くの無駄でバハムートが後でキッチリ滅ぼしま〜す」という後付展開は胸のすく思いがした。
本編をコケにすることを躊躇わずに、暗く閉ざされたイオスの地の新たな希望を描く一冊。
FF15のシナリオがつまらなかったよという人にはぜひ読んで、存分にスカッとしてもらいたい。