タイトルおもしろっ!
と思い、絵もギリギリ読めそうな雰囲気だったので買ってみたのですが
書店のレジのお姉さん、カバー掛けさせてしまってすみませんでした…
まさかカラーピンナップの裏にあんな絵があるとは…
書店でカバーを掛けてもらうと、時々表紙の次の一枚がカバーに挟まってることありますよね
それが、
...続きを読むこのコミックスにカバーを掛けてもらった時に起こってしまったのです
いやー…すみませんとしか言いようがない…
どんなピンナップだったかはここでもちょっと言えません
次からは気を付けましょう、お互い…
作者の葉月先生は、自称アングラ作家だそうです
うーん、なるほど言われてみれば、といったお話が多かったかも
社会的なテーマばっかで
似たような作風の作家を挙げろ、と言われても思い付きません
絵は、鹿乃しうこさんに如月弘鷹さんを足した感じ
ただし、ボカシが一切ない
毛もすごい(びびった)
だからピンナップで困ったんですが…
青年誌っぽいというか…劇画入ってんのかな?
そして収録作品↓
・腐ォロー
主婦目線なので、この時点で珍しい
ヤマシタ作品には女性目線がよく見られますが
あと、紺野けい子さんとか…
まあ、あまりないので新鮮でした
娘が事故で死に、家には自分と娘婿、そして長男が取り残される
こっからが面白い!
「私は息子夫婦と暮らす普通の主婦でいたい!!」という思いから、なんと長男と娘婿をくっつけようと画策するのです
幸いにも長男はゲイ
長男と婿を部屋に閉じ込め、部屋のドアを外からガムテープで塞ぐ
「あれよね 戦死した長男の嫁をそのまま次男が引き継ぐってやつ?つまり、古式ゆかしい日本の文化ってやつよ」
違いますよお母さん!wwwwwwwwwww
2階のベッドがギシギシ軋むのを聞きながら、階下でパックの豆乳をズーッとすするお母さん
そして、ギシギシが止むと、ガムテープを剥がしに行くという
シュールですなあ
でも、このポジションは羨ましいかもしれない
・斜上からキタ腐ォロー
この話はすごいよくできてます
社長を父に持つ龍波は、何をやらかしてもそれを揉み消す父親に反抗心を抱いていた
高校の時に仲間二人と強姦罪を犯したが、捕まったのは仲間二人だけ
転校先の高校で、今度は一人だけで事件を起こし、父親を困らせようとする
その標的になったのが、真面目なクラスメイト・相原だった
頭脳明晰な相原は、家が貧しいために、有名私立大学に行きたくても行けない状況にあった
そこで龍波は、相原を犯して相原を"被害者"にすることで、自分の父親に責任を取らせて相原の学費を出させようとしたのだ
学校での性行為は偶然教師に見つかってしまうが、龍波の真意を知った相原は、「同意です」と言い張る
加害者である龍波の保護者も呼ばれたが、父親は来ない
代わりに、もう何人目かも分からない後妻が来ていた
このお義母さんがすごい!(またか)
真面目な相原が不良の龍波とそんな行為に及ぶわけがない、と問い詰める教師たちに向かって、「今回の論点はどこですか?校内で性行為に及んだ事に対するお叱りと解釈してよろしいんですね?まさか、基本的人権を尊ぶべき公立校の先生方が、性的マイノリティを糾弾されるはずなど、よもやございませんものね」と言って、その場を丸く収めてしまったのだ!
基本的人権を尊ぶべきなのは何も公務員だけではないと思うが、ここはかっこよかった
帰り道、お義母さんは夕陽を見て、「きれいだー…熱くたぎる血潮の色だわー…」と呟く
この1コマだけで、買って良かったと思いました
きれいなんです
そして、彼女は消息を絶ち、同性愛者支援団体の一員として、活動を始めるのだった…←
龍波と相原は勉強して弁護士になり、龍波の義母の力になるため、二人で事務所を立ち上げる
「オレと相原は―まあ夫婦と呼びたいヤツは勝手に呼べ とにかくつるんだまま…」という部分が好きでした
すげーなあ
これがアングラの力!
・良いコの腐ォローの賜物
これは他の作品に比べたら、ちょっと軽い
何故これが表紙&裏表紙なのか…謎だ
直人みたいな頭ゆるい男は嫌いです
成長したケータが普通にかっこいい!学ラン!
・ティラノ腐ォロー
これもまた…言っちゃ悪いが軽い話で
まあ、全部の話にメッセージ込めるのは無理ですよね
久しぶりに帰省したら、父親と自分の元・クラスメイトがヤってましたと
はいそうですか
次ー
・孤城腐ちて
くちて、と読むそうな
この話が一番好きかもしれない
男娼・Kと、エリートオヤジ・池田の話
初めは遊びだったのにどんどん本気になっていく、というのはセオリー通りなんですが、もう、アングラ分泌物とでも呼べるような何かが詰め込んであります
ほとばしってます、何かが
言葉の端々にこう…うまく説明できませんが…渋みたっぷり(まとめた)
あ、男娼て言いましたが、
「わざとか?おまえ、わざと金、忘れてんのか?」
「い~や~ん 今日こそ!おいくら万円いただこうかしら」
このやり取りで分かるように、Kは金を受け取ろうとしません
池田にいつ呼び出されてもいいように、バイトを減らし、やりたい演劇の仕事にも手がつかなくなる
男を取っ替え引っ替えする母親を軽蔑していたのに、イロボケは俺もかと自己嫌悪に陥る
歳や身分の違いも考えて、池田を避けるようになったKだったが、池田がそれを許さない
「役者のスポンサーくらいオレがなってやる」と、Kを繋ぎとめる
大人の余裕、だけじゃない何かがある
「クソガキ」「エロジジイ」と呼び合ったりするのに、読者が見せつけられる愛の大きさに感服!
お幸せに!
↓書ききれなかったこと
・Kはこのコミックスの中で一番美人
一番ツンデレ
・ちょっと下を向いた横顔のKは最強
・『斜上から~』以外の3つの話とリンクしてます
扉絵が全部艶があってキレイです
あと、擬音が独特(ここに書き出す勇気はない)
性描写も台詞も激しすぎるけど、社会派BLとして、一読の価値ありだと思います
読めば読むほど味が出る!