たまたま本を探していたときに「伊東歌詞太郎」さんの文字が目につき、小説を書いていたんだと興味を持ち購入。
伊東さんは、youtube「歌ってみた」動画で知っていましたが、まさか小説家デビューしていたとは知りませんでした。
早速読んでみると、歌詞を作っているというベースがあるためか、わかりやすい表現で
...続きを読む、世界観に溶け込めました。
塾講師だった主人公が、あることがきっかけでクビになり、その後、ある人物から家庭教師として働いてみないかと誘われます。全6章+αという構成で、章ごと(第1章を除く)に様々な事情を抱えた家族に出会い、解決していく物語になっています。
作者の得意分野だったのかわかりませんが、塾講師など今まで経験してきたことを活用して、小説に生かしている印象がありました。章ごとの冒頭に出てくる東京の紹介は、多分作者の呟きじゃないかと思うくらい、リアルで面白かったです。
最初の章の方は、いい余韻を残したまま、終わるのですが、後半になると、ちょっと雲行きが怪しくなります。ディープさが増していき、主人公の悔しさ・怒りが滲み出てきて、胸が苦しかったです。それまでスカッと明るかったのに最後の方で、グッと暗い感じになったので、その落差がなんとも言えなかったです。
また、家庭教師としてスカウトした人物が気になったまま、終了したので、続編があるのでは・・・という終わり方でした。
まだ、小説としては、一冊しかありませんが、ぜひ続きを書いて欲しいなと思わせてくれました。