片山亜紀のレビュー一覧
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女性と小説というテーマを掘り下げ、数世紀にわたる小説を読み解きながら女性と貧困、女性と家事・育児などの目線を交えて語られるフェミニズム批評。
女性は男性を2倍に写す鏡の役割を務めてきたため、男性たちが優越感を与えてくれる女性を手放さないという第二章には笑ってしまった。ほんとそう。いまでさえ。
こ...続きを読むPosted by ブクログ -
女性が小説を書くためには、「年収500ポンドと自分ひとりの部屋」を持たねばならない、という主張をどう受け止めたらよいか、終始迷いながら読み終えました。
訳者の解説によれば、年収500ポンドはおよそ年収500万円と読みかえて差し支えないらしい。
年収500万円相当の労働とは、どんな仕事であれかなりの...続きを読むPosted by ブクログ -
「戦争を阻止するためにはどうしたらよいか?」と問う手紙に対し、〈教育のある男性の娘〉という立場から回答する体裁のエッセイ。どうやら『自分ひとりの部屋』の続編に当たるらしいが、わたしはそれを未読の状態で読み始め、そんなことを気にせず読み終えた。
著者は手紙の問いに、小説や詩歌、伝記、統計情報を参照...続きを読むPosted by ブクログ -
この先の人生で何度も読み返すことになると思う
「文学の中で男性が女性の恋人としてしか表象されず、他の男性の友人ということもなければ、兵士でも、思想家や夢想家でもないとしたらどうでしょう?……文学は甚大な損害を受けることになります」
こんな簡単な理屈でさえ信じ続けることは難しい、部屋でひとり、自分は...続きを読むPosted by ブクログ -
女性であることの意味、男性と女性が同じフィールドで戦っているという意識はいらないのではないか。
セクハラなどと短くして軽く扱うな。
余裕があれば女性は上手く生きていけるのか、それとも最低限の余裕にプラスする必要があるのではないか。
性別よりもその人が何をでき、何を乗り越えてきたのか。能力主義からの脱...続きを読むPosted by ブクログ -
面白かった。
過去の女性たちがいかに創作の世界から、貧困と社会の圧を理由に排除されてきたかのかの話。
自分ひとりで金を稼げないと家からは抜け出せないし、そうしないと自分の執筆や思索に集中するための邪魔されない部屋も持てないから、お金は大事なのだろう。
成功している男性作家が基本裕福で学びに触れる機会...続きを読むPosted by ブクログ -
「女性が小説を書くだって」
「ナンセンス、書けるわけがない」
という会話が普通だった時代がある。そんな時代の中でも先人を切る方々がいたおかげで、徐々に女性が創作活動にも携われることが可能になってきた。
本書が出版されたのが1929年、著者であるヴァージニア・ウルフさんがケンブリッジ大学で行った2回の...続きを読むPosted by ブクログ -
なんだろう、頭に全然入ってこない
お金と自分ひとりの部屋が必要
これは、今の日本となってはそんなもの男ももってないよ、と思う
でも、日本語訳がよくないのか?言葉が頭に馴染まなかった
三章の終わり、シェイクスピアの作品には、本人を見出させるような歪みがない、というようなことが書いてあったけど、...続きを読むPosted by ブクログ -
なんか気難しそうで(失礼)敬遠していたウルフだけど、ユーモア精神のある素晴らしい講演だと思う。小説の「誠実さ」についてということが心に残った。しかし私はシャーロット・ブロンテのことは少し擁護したくなった。「私が私であること」のなかには、憤懣も、責任感もあって、それがシャーロット自身であったのなら、そ...続きを読むPosted by ブクログ
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2019.7.3
1920年代と今の日本、百年経ったけどそんなに変わってないですよ、と彼女に伝えたい 言いたいことは言えるけど、その発言にいまだあまりちからはないよ 45歳で最も評論や作るものに脂がのるって考えると、物を書くというのはとても息が長く素晴らしい職業 あまりにもすばらしい文章なので思わず...続きを読むPosted by ブクログ -
読みながらたくさんメモをとった。女性として生きる上でも、文章を書く上でも、心に刻んでおきたい言葉であふれていたから。シェイクスピアの妹は今でもわたしたちのなかにいる。〈現実〉を見据えて生きたい。暮らしていけるだけの自分のお金を得て、鍵のかかる自分ひとりの部屋で。Posted by ブクログ
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フェミニズム古典。非常に読みやすく示唆に富んでいる。
「私が簡単に飾らずに申し上げたいのは、何よりも自分自身でいることの方がはるかに大事だということです。他のひとたちに影響を与えようなどと夢見るのは止めてください。」人生の箴言Posted by ブクログ -
女性論、文学論として忘れたくない一冊。
5章までは意識の流れ的に思索の過程がつづられ、6章でまとめての見解が述べられる。
著者はすぐれた精神は両性具有であること、そして人の心に伝わり、人の色々な想念を生み出し、色々な能力を呼び覚ます文学(精神の系譜?)には、精神の男性的部分と女性部分の共同作業がか...続きを読むPosted by ブクログ -
個人的なことは政治的なこと
この見たことあるスローガンに繋がるウルフのこの本(訳者あとがきで知った)、語り口が柔らかくわかりやすいのでかなり読みやすかった。読めてないウルフあと『船出』くらいかな…久しぶりに小説も読みたくなった。
やる気がどうしようもないときにまた読み直したい。Posted by ブクログ -
当時の方にしては先進的な考えだとは思うんだけど、結局男女二元論の中で生きた人のご意見だなあと斜に構えてしまった。
でも経済格差の低い方は教育格差を乗り越えられないし、教育格差の低い方から詩人は生まれない、というのは目を背けちゃいけない、なおかつ変えてかなければならない事実だよな、とも思う。
それに、...続きを読むPosted by ブクログ -
「どうしたら戦争を阻止できるか?」という男性からの質問の手紙に対し、いち女性として返信するという体裁で綴られた、戦争と女性をめぐるエッセイ。
戦争は男性が引き起こすもの、そして戦争を防ぐには女性の教育と自立が必要だと説くウルフの筆致からは、男性社会において貶められてきた女性たちの歴史と、戦火が迫り...続きを読むPosted by ブクログ -
読むべくして読めた気がするし、また月日が経って読むときはもっと深く感銘を受けると思う。
ひとりの人間が考えたいこと、想いたいこと、それらはどんな人であっても簡単に手放したり、奪われたりするべきものではない。
ひとりの部屋とお金、それは実際に必要なものであり、また心の中にひとつあるべき、生命力を絶や...続きを読むPosted by ブクログ -
まずは、ヴァージニア・ウルフを読んだ私に大満足。タイトルにも魅かれた。
多様性が叫ばれる今。
1928年に書かれたこの本。
100年近くが経過しているのにもかかわらず、年500ポンドと自分ひとりの部屋を持てない女性は多い。そんな中で、とにもかくにも少なくとも自分ひとりの部屋でワインを飲むことができて...続きを読むPosted by ブクログ -
1928年にケンブリッジ大学の女子カレッジで行なわれた講演をベースにした、フェミニズム批評の古典的作品。「意識の流れ」による叙述のため、読み取りにくい部分もあるが、訳注と解説が充実していてとても助かる。
「自分ひとりの部屋」というタイトルは、女性が小説を書こうと思うなら、生活にゆとりのあるだけのお...続きを読むPosted by ブクログ -
本書の内容を簡潔に紹介するならば、女性の文学との関わりの歴史を辿りながら、女性の地位向上のために、ウルフがその考えるところを、特に同性である女性に向けて、あるときは率直に、あるところでは文学的な虚構を混じえて、語りかけたものである。
女性が小説や詩を書こうとするならば、〈年収500ポンド〉と、...続きを読むPosted by ブクログ