ジョン・ヴァーリイのレビュー一覧

  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    全部よかった。テクノロジーの進化に対し適応していく人間の意識や社会の変容を、感傷的にロマンチックに綴る、ハズレなしのSF短編集。翻訳もよいのでしょうが文章が柔らかく軽やかで読みやすい。生々しさと熱を感じさせながらも、冷徹な視点が貫かれています。
    「逆行の夏」水星で暮らすぼくの元に、月からクローンの姉...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
     ジョン・ヴァーリイはどうしているんだろう、と思っていた矢先の日本オリジナル短編集の登場。1970年代から80年代に独特な未来世界でSFファンの魂をつかんだ作家だ。代表作の〈八世界〉シリーズは地球が異星人に侵略され、月や火星など八つの世界で人類が生き延びているという設定。身体改変技術が発展し、衣服を...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    SF。短編集。
    「逆行の夏」「さようなら、ロビンソン・クルーソー」は既読。
    全体的に高品質。美しい。あとエロい。
    特に、目と耳に障害を持つ人々だけの世界を描いた「残像」が素晴らしい。とても感動した。
    奇妙なSFミステリ、「バービーはなぜ殺される」もミステリファンとして高評価。
    あと、帯の円城塔さんの...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    ポップな表紙絵とは裏腹にハードな世界観のSFが多く収録された短編集。
    ビターな余韻の作品が多いが間違いなく良質である。

    『PRESS ENTER ■』に描かれたコンピューターの姿、『残像』に描かれた人間の姿、どちらも感慨深い。
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    円城塔に煽られて。ヴァーリイ初読。

    1作目『逆行の夏』を読んだところではあまりピンと来ていなかったのだが、3作目『バービーはなぜ殺される』あたりからじわじわとハマっていった。SFではあるが文学であり、今こことは異なる地平の世界において、人々は何を感じ、どうやって生き、何を愛するのかという愚直な筆致...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    「まさかヴァーリイをご存知ない。なにも失くしたことがないならそれでいいけど。」

    すみません、読んだことありませんでした。ということで、円城塔氏の帯文に煽られ購入した本書は、ジョン・ヴァーリイの短篇集「逆行の夏」。ヴァーリイといえば、1970~1980年代に活躍し、サイバーパンクの先駆け的存在として...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    表題作はボーイ・ミーツ・ガールものというか家族ものというかで、まあ普通かな?という感想だったのだけど、収録作「残像」と「ブルー・シャンペン」がすごく良かった。特に女性にお勧めしたいSF小説。
    「残像」。視聴覚障害者だけが暮らすのコミューンに辿り着いた作家志望の中年男の異文化コミュニケーション体験談...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    テープとか出てくるブツは、いまから思えば
    前の時代と感じることもあるけど、書かれたのは30~40年前。
    未だ実現されていない(実現途上)というだけでなく、
    感覚として、技術だけではなく扱っている世界やテーマが、
    現在の世界の、まだ未来か、現在進行という感覚を覚える。
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    円城さんが帯を書いていて、上田早夕里さんがいつぞやのSFマガジンで好きな作品として挙げられてたブルー・シャンペン収録ときたら読まない選択肢は無かった。
    傑作選らしくどのお話も面白かったけど、一番好きだったのは「残像」かな。
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    特異な世界観と、どことなくセンチな余情が残るSF短編集。物語の雰囲気をつかむまでに苦戦した短編もあるにはあったのですが、その世界観や人間関係であったり、あるいは「ここでない世界」に対しての、切ない思いが印象的です。

    収録作品は6編。

    表題作『逆行の夏』はストーリーはもちろん、SFならではの描写が...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    古本で持っている「ブルー・シャンペン」に収録されている作品の一部も含めて、新たに編集されたヴァーリィの短編集。
    サイバーパンクの先駆けとも称される、身体改変や自我のデータ化が当たり前となった未来世界を描き出しつつ、そこに流れているのは孤独と諦観。如何にも日本人受けしそうな作風ですねー。

    鴨的にはセ...続きを読む
  • 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
    生きることに慣れすぎていたせいか、人生を終わらせる決定的な一歩を踏み出すことができなかった。待てばいいのだ。人生はわたしにひとつ喜びをもたらしてくれた――また別の喜びがあらわれるかもしれない。
    (P.251)