今回はいつもと様変わりして、複数の一人称が用いられる。
主人公のカーソンと犯人であるグレゴリー、この二人の視点から事件が描かれて行く。
サイコ殺人ながら犯人は分かっているので、いかにして捜査陣が犯人に迫るのか、そして何故犯行を行うのか動機探しが話しの主眼となる。
とはいえ、ジャック・カーリィの作
...続きを読む品だからここにトリックがあって、最後には話の構図が一変するように出来ていて、いたるところに伏線が張られている。
このシリーズはいずれ2度読みを楽しめるな。
完結ながら示唆に富む文章は相変わらず見事の一言で、このページ数ながら読みごたえがあるし、陰影に富む人物描写も魅力的で幾多のキャラが浮き彫りにされ物語に花を添える。
この文章だけでもすごいレベルなのに、サスペンスとしても一級品として成り立っているのがスゴイ。
お馴染みのメンバーが揃って、さらには新キャラも登場して、ラストには話の新たな展開も示唆されているので次回作も楽しみ。
しかし唯一残念なのは、巻末の作者のディスコグラフィを見ると、シリーズの翻訳が飛んでいる!
未訳も多いし…。是非全部翻訳してい欲しい!