ペンに茶碗にお箸に楽器、どんなものにも正しい持ち方はあるものですが、この本が紹介しているのはズバリ「生きものの持ちかた」。
持ちかたを指南してくれるのは「生きものカメラマン」「ペットショップオーナー」「獣医師」といった、まさにその道のプロたちです。
家で飼ってるかわいい生きもの、外で出会ったきれいな
...続きを読む生きもの、突如遭遇した毒を持つ生きもの…とっさの時にどうしたらいいかわからず、遠巻きにしているしかなかったあなたもこれさえあれば大丈夫。自分の身を守り、生きものを傷つけることもなくスマートに対処することが可能です。
悠々と「いざ持たん」の精神でいきましょう。
例えば蝶。子どものころの私は、親指と人差し指で羽をつまむようにしていました。どうしても指が鱗粉まみれになってしまって、悪いことをした気持ちになったものです。この本で紹介されている蝶の持ち方は、人差し指と中指で羽を「はさむ」というもの。見た目はやけにスタイリッシュですが、この持ち方だと皮脂がつきにくいので、鱗粉がはがれにくく、蝶に優しい持ち方なんですね。
あるいはシマリス。かわいらしいけどその歯は強くて鋭く、油断して持って噛まれると大変なことに。じゃあどうやって持てばいいのか…なんと、首の後ろの皮膚をつまんでぶら下げるように持ってしまいます。なんだかかわいそうにも見えますが、この皮膚の部分は少したるんでいて、リスくらいの体重なら持ち上げても痛くないのだそう。
あるいはサソリ。大きなハサミと尻尾の先の毒針が危険なこんな生きものには、できれば触りたくない…しかし本の「もしも親友の寝床にサソリが入っていくところを目撃したら、どうする?」という文章を見て、「確かに…」と考えさせられてしまいました。このサソリの持ち方は、まさかの「毒針をつまむ。」一番危険なところを抑えてしまうというわけです。
もちろん、無責任に生きものを捕らえていくことは褒められたことではありませんが、「触れない」「わからない」として、生きものに無知・無関心な大人ばかりになっていくのはどうか、という著者の声にもうなずけるものがあるなあと思いました。
…とはいえ、ヤスデやゴキブリを持っているページには目を背け気味になってしまいましたけど。(「その手の中の生きものを頭の中ではコオロギあたりに変換しておくことが大事」というコツが可笑しかったです。)