フビライ・ハーンは、現在この世界にいる、いや、今までにこの世界にいた王の中で最も偉大な王。モンゴル帝国の都ハンバリク(中国名:大都、現在の北京)。
ザイトゥーン(泉州)。膨大な胡椒が運び込まれている世界最大の港。高価な宝石や大粒の真珠を積んだインド船が次々とやってくる。アレクサンドリアの100倍の
...続きを読む数の船が入港している。
プレスター・ジョン(キリスト教徒の王)はモンゴル高原の覇者だったが、チンギス・ハーンとの戦いに負けて戦死してしまい、プレスター・ジョンの王国もモンゴル帝国に併合されてしまった。
ジパング。中国の南(マンズ)から東へ1500マイルの大洋中にある。とても大きな島。住民は皮膚の色が白く、礼節の正しい優雅な偶像教徒。独立国であり、自らの国王を戴いている。黄金がいたるところで見つかり、人々は誰でも莫大な黄金を所有している。この国に行ったことがある大陸人はおらず、商人も訪れないため、豊富な黄金はかつて一度も国外に持ち出されていない。国王の宮殿の屋根はすべて純金でふかれており、床も指二本幅の厚さの純金で敷き詰められている。また、バラ色をした大きな真珠が大量にとれる。真珠を死者の口に入れて弔う習慣がある。
フビライ・ハーンはジパングの富を聞き、二人の重臣(アバカンとヴォンサニチン)に命じてジパング征服に乗り出した。モンゴル軍はザイトゥーン(泉州)とキンサイ(杭州)から出港し、途中、暴風雨で多くの船を失ったが、3万のモンゴル軍がジパングに上陸した。モンゴル軍はジパング王の国旗をつけ、ジパング軍になりすまして首都に入城した。ジパング人は自国軍と間違えて、モンゴル軍の首都入城を許した。モンゴル軍は首都を7ヶ月にわたり死守したが、ジパング軍に包囲されてしまった。モンゴル軍は「命を助けてくれれば」という条件でジパング軍に降伏した。これを聞いて怒ったハーンは遠征軍を指揮した二人の重臣を処刑した。ジパングは最後までハーンに従わなかった。
ムトフィリ王国。南インド。良質のダイヤモンドが豊富にある。そこでは谷底にあるダイヤモンドを採取するため、生肉の塊を谷底に投げ込む。すると谷底にあるダイヤモンドが生肉に突き刺さる。白い鷹がやってきて、谷底の生肉をくわえて谷から出てくる。鷹が地面に降りたところで、近づいて行って脅かすと、鷹は生肉を置いて立ち去る。生肉に突き刺さったダイヤモンドを回収する。※船乗りシンドバッドの物語と類似。
マルコ・ポーロ『世界の記述』1300