ナショナル・ジオグラフィック「一生に一度だけの旅」シリーズの1冊。
世界の市場をめぐる、色鮮やかな旅。
写真260点はいずれもカラーである。
ご当地感満載の取り取りの品が目に眩しい。市場のざわめきまでも写し混んだような写真からは、売り声や値段交渉の会話が聞こえてきそうだ。
写真が多いのでさらさらっ
...続きを読むと読めそうだが、見た目よりも読み応えがある。
アフリカ・ヨーロッパ・アジア・アメリカに大別し、それぞれ10カ国以上の市場を取り上げている。紹介されている市場の総数は240以上。
国の位置を示す地図、どんなものが買えるかを記したメモ、主な市場の名称、その国の市場に関する各論、ある商品をテーマにしたコラム、そしてもちろん美しい写真。
地理の副読本としても適した本だろう。
・ナイジェリアで売られているプランテンバナナ、これは料理用のだな(『バナナの世界史』)。
・先日呼んだレシピ本に出てきたひよこ豆を北アフリカで発見。
・アフリカでよく売られているオクラはカリブ諸島でも売られている。温かいところでよく育つということかな・・・?
・ポルトガルの市場で見られるバカリャウ(塩漬け鱈)はノルウェー原産だそうだが、同じものがブラジルでも売られている。植民地時代に定着したものか。
・イギリスの食事は往々にして評判がよくないが、近年、ずいぶん向上しているのだそうで、市場にもそれが垣間見られるようだ。
・インドはさすがにスパイスが多い。カレーに使われるスパイスはカーストや地域によっても異なり、100人いれば100通りのカレーができるのだという。
・ミャンマー女性がする独特の化粧、タナカ。白いペースト状のものを塗りつけるもので、原材料はゲッキツと呼ばれる樹木の木片だ。
・表紙の舟はタイの水上市場。船上に火気を持ち込んで、トムヤムクンを鍋で売る舟もある。
・日本を代表するのは築地。海藻や漬け物も紹介されていて、なるほど、外国から見ると、その辺が特徴的なのかも知れない。
・何でも食べる中国は、ゲテモノも含めてさすがの品揃えだが、ペルーもなかなか興味深い。カタツムリやワニなど、川やジャングルの珍獣が食べたければこちらへ。
・パナマ帽というのは元々はエクアドルの名産なのだそうだ。パナマ運河を造る際、エクアドルから多くの労働者が出稼ぎに行き、誤った名称となったらしい。
拾っていくときりがないが、さまざま興味深く、見るたびに新しい発見がありそうだ。細切れ時間にもどうぞ。