かつて日本にこんな政治家がいたということを、不覚にも寡聞にして知らなかった。
五.一五事件や二.二六事件で政治家の命が奪われるような状況にもかかわらず、毅然として議会にて粛軍の演説を行うような気概は、はたして現代日本の政治家中に幾人いるであろうか。
「近衛公への意見書」中の数項は、あたかも現在の与党
...続きを読む議員のことを指摘してるかのごとくで、いやしくも自信を政治家と名乗るのであれば、ぜひとも読んでいただきたい「意見」が開陳されている。
何より特筆すべきはその文体である。漢文の素養の高さを思わせる簡にして要を得た文章は、70年という長い年月の経緯を伝えて余りある。
兵庫県出石の生んだ後世に誇るべき人物の一人であろう。