ブッツァーティのレビュー一覧

  • 神を見た犬
    イタリアが生んだ奇才の作家ブッツァーティが書く不可思議なお話を集めた短編集。

    テーマは多岐に渡るが、全てにキリスト教的世界観が通底にある感じがして日本のホラーや怪異とは全く違うのが面白い。
    特に聖人が出てくる話が多く、さすがカトリックの中心であるお国柄だと思った。
    どの話も面白いが
     ・アインシュ...続きを読む
  • 神を見た犬
    新聞記事のような癖のない文章でつづられた幻想的な短編小説集。傑作選ということで、どれもこれも印象深い作品ばかり。スイスイ読めて鮮明なイメージが残る不思議な作風だ。表題作の「神を見た犬」では、椅子の下に置いたパンの描写だけで色々思わせて涙が出た。これ含めて、昔ながらのキリスト教徒の精神世界を感じさせる...続きを読む
  • 神を見た犬
    ブッツァーティ『神を見た犬』。全22編が収録されている。
    かなり好み。幻想的な事や物語を、ジャーナリストとして長年記事を書いていた腕を生かし、平坦かつ事実を伝えるような文章で書くので、あたかも現実的に起こった物語のよう。
    わたしが特に気に入ったのは、天地創造、コロンブレ、7階。
    不条理や破滅などへ向...続きを読む
  • 神を見た犬
    ブッツァーティは初めて読んだけどとても良かった。
    恐怖・不安・不条理をえがきながらもあまり暗く辛い気持ちにはならず、幻想的でありながらも実生活に寄り添っていて絶妙だった。

    一番好きだったのは『コロンブレ』。
    これは本当にカフカに通ずるものがあるとおもう。

    他は『アインシュタインとの約束』、『七階...続きを読む
  • 神を見た犬
    ブッツァーティは初めて読むが、非常に良かった。
    幻想的、と帯には書いてあったが、どちらかと言えば、昔話の様な雰囲気があり、不思議な気持ちになる。

    だが、様々な強迫観念や死への恐怖と生への執着(とまではいかないかも知れない)、そして理不尽さが描かれている。

    表題作について。
    神を信じない村に現れた...続きを読む
  • 神を見た犬
    「天地創造」神と天使が生物をつくりあげる際、人間は不恰好で厄介ごとを生み出すと却下となるが...
    生み出しちゃったね。

    「アインシュタインとの約束」アインシュタインがある路地で死の天使に会う。今は重要な発明の最中だと1ヶ月、死を延ばしてほしいと願う。三回延ばし、ある発明を完成させた。その発明に死の...続きを読む
  • 神を見た犬
    短編集で不条理を描いたもの。星新一に系統は似てるけどそれをもっと文学的にしたような。人の持つ社会的心理から返って個人が苦しんでしまう様な様を描いたものが多い。

    1. 天地創造。キリスト教ネタがいくつかあって分かりにくいものもあったけど、これはシンプルで、地球にある一切は神によってデザインされたとさ...続きを読む
  • 神を見た犬
    上手くいかないから不幸なのではない、貧しいから不幸なのではない、それだから不幸なのだと思ってしまう考え方が不幸なのだ。ブッツァーティの小説は読者に主人公の人生の最後に立ち会わせそれを問いかける物語だ。一元的な物の見方を否定し物事に違う観点を与える。10代の頃彼の長編「タタール人の砂漠」で頭をガツンと...続きを読む
  • 神を見た犬
    ブラックユーモアが好きなのでこれらの作品は
    本当に面白かったです。

    実際にはありえないお話なはず、なのです。
    だけれどもきちんと人間の心理を捉えているせいで
    現実にありそうな気がして、恐ろしいもので。

    表題作はまさに人というものの弱さを
    露呈させている作品です。
    人は「枷」がなくなるように望みま...続きを読む
  • 神を見た犬
    人間臭い、気軽な神が登場し、日常から非日常へと知らぬ間に誘われ、ときには残酷なオチをつける。
    日本の読者なら、少し長い星新一を読んでいる気分になるのでは。

    非常な日常観察力(グランドホテルの廊下、小さな暴君)、純粋な想像力の飛翔(呪われた背広)、人生の危うさ(マジシャン)という本を読む楽しさを思い...続きを読む
  • 神を見た犬
    モノトーンの哀切きわまりない幻想と恐怖が横溢する、孤高の美の世界22篇。日常的、現実的な事柄を摩訶不思議な幻想的な世界として描き出す独特の世界観。漫画家でもある著者の文章の運びがまるで漫画の1コマ1コマを見ていくように進んでいき、読み手の想像力を膨らませてくれます。少し宗教色が強いお話もあるけれど、...続きを読む
  • 神を見た犬
    イタリアでは有名な童話作家らしいが日本に来ているものが少ないのが残念。モヤリと残る終わり方、それぞれの短編が実に皮肉っぽく面白かった。
  • 神を見た犬
    どちらかと言うと避けてきた「幻想文学」と言うジャンル。歯医者の待ち時間の寄った本屋で手に取って、「古典」の響きに惹かれて手に取ったんだけど、ジャンルとしてはほぼ初体験に近かったが、食わず嫌いはあかんで、と思い知った一作。特に「七階」の空恐ろしさは秀逸。一度でも内科に入院した事のある人間には…。表題の...続きを読む
  • 神を見た犬
    『タタール人の砂漠』で有名なイタリアの作家であり画家でもあるブッツァーティの短編集。『タタール人の砂漠』と同様、幻想的と評される作風で不条理さや不安感、安定のなさ、不思議、奇跡などを描く。それは現実的ではないがゆえに逆説的にリアリティをともなっている。本人はカフカ的と呼ばれることを嫌がっていたようだ...続きを読む
  • 神を見た犬
    帯には「奇想」とあるが,童話や寓話のような話が多い.またキリスト教の影響が色濃いなあ.といっても,敬虔ではなく皮相的.
  • 神を見た犬
    短編集ですが、この中の「病院というところ」を読みたくて購入しましたがどれも秀逸です。
    日本でいうなら星新一さん作品がお好きならきっと気に入ることと思います。
  • 神を見た犬
    小説というよりは、寓話集。というか昔話集、と言いたい趣きすらある。
    というのもマックス・リューティの所謂「昔話3回」の方程式があるからだ。
    またカフカに比されるのは作者としても不本意だろうが、しかたない、と「変身」および短編数作しか読んでいない者でも感じざるをえないくらい、カフカチック。
    というか同...続きを読む
  • 神を見た犬
    味のある短編集。
    イタリアの星新一。

    七階、の心理描写は素晴らしい。
    護送大隊襲撃、表題作の
    神を見た犬も素晴らしい。
    他の作品も読みたい。
  • 神を見た犬
    すごい。ブッツァーティは汲めど尽きぬ後悔も吐き気を催す徒労感も、こんなにも目の前に届けてくる。僅か数頁の内容も含むこの22作の短編集は、いずれも文体も内容もリーダビリティ溢れているのに、遊園地のフリーフォールばりにすとん奈落へ落としていく。これぞ不条理、生きるのって楽じゃないよ。しかしながらその落下...続きを読む
  • 神を見た犬
    神、巨大な科学兵器などに対する畏怖が人を操るという話が多く面白い。
    アインシュタインと悪魔の話が好き