ともかく、衝撃だった。同時に、それ以上の歓喜で心も満たされた
妖怪漫画界に、とんでもない才能を秘めた新星が出現れた、その喜びを叫びたくて、今ここに来ている
何をおいても、画が凄い。こう、何と言うのか、“美しい”でも“柔らかい”でもなく、単純に『麗』、この一文字で賞賛したくなるのだ。綺麗では違うのだ。
...続きを読む本当に、麗しいって意味の『麗』
まるで、画集を買ったのか、私は、って錯覚にすら陥った
しかし、こう書くと、話は面白くないのか、と思われてしまいそうだが、話そのものも、人間と妖怪の、どうしても出来てしまう溝を埋める、埋めようと奮闘する、優しい形になっている
コリが酷くなりすぎて、自力で動かすのも痛くなった心に優しく染み込んでくる『何か』が温かすぎて、涙が止まらなくなりそうな篇ばかり
正に、帯に書かれているそれは、1mmのブレも狂いも、誇張も謙遜もなく、『花鬼扉の境目屋さん』って漫画の魅力を表現している。こう言う、イイ文句が書かれている帯が巻かれている、その理由だけで買う価値と読む義務が発生するように思えるのは、私だけか?
もう、どの話も相手をドン引かせる可能性が生じるほど、魅力を熱弁できちゃう(的確に説明できるか、は別問題だけれども)自信はあるが、あえて、一つだけ「これだけは読んで欲しい」と思ったのは、以津真天さんの件。その特性、もしくは生まれから、悪名が高まるか、憐れみだけを受ける対象になりがちな鳥妖である以津真天の意外な一面、いや、今日まで誰も想像してこなかった健気さを、オイカワ先生は独特の感性が滲む画で見事に表わしきっている。ホント、この話、特に69pは私の涙腺を直撃した
先にも書いたが、本当に凄い、『妖怪漫画を描く』才能を持った漫画家が表舞台に出てきた。冗談ゴボウ抜きで、私の中のランキングに変動が起きた