アパート経営とは縁が無い生活をしていますが、かつては会社員が借金をしてまでアパート経営をしていた時代があったのですね。
そういえば、かつて本屋さんに多くの「アパート経営」に関する本が並べられていたと記憶しています。
アパートを借りる身になって考えてみると、若い時に自宅を買う迄の仮の家のようなもので
...続きを読む、場所や大きさに少しくらい不便を感じていたとしても短期間と割り切ることができると思います。
しかし最近は、働き方も多様になってきていることに加えて、若い人の人口が減ってきている環境下で、賃貸住宅を借りる場合の要求が昔よりも上がってきているようです。
この本の著者によると、このような変化は、アパート経営をする人にとってはリスク以外のなにものでもなく、土地があって「お金」まであるならともかく、借金をしてまですべきものではないと解説しています。
特に、アパート経営をする人にとっての保険のような「一括借り上げシステム」が意味するところを詳しく解説してあり興味が持てました。
以下は気になったポイントです。
・住宅の供給過剰や少子化による人口減でもアパート経営が成り立つのは、古いアパートから新しいアパートへ入居者が移っているだけ(p4)
・経営者は評論家であってはならず、つねに商売の最前線にいて、市場での嗅覚や直感を頼りに行動を起こす実戦派であるべき(p29)
・拓銀の場合、バブルの波に乗り遅れたために過大融資に走ってしまった、他の金融機関がすでに担保にしている土地に劣後順位で担保を設定したので不動産会社からの資金回収が難しかった(p36)
・住宅地の平均価格は、東京23区で平成20年までにかけてミニバブルがあった以外は、すべて下がり続けている、東京も20年以降は下がっている(p37)
・銀行は総量規制がされた後も、ノンバンクという隠れ蓑を使って、土地神話を信じる人たちに貸し出しを続けた(p39)
・液状化現象とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が、振動により液体状になる現象で、その結果、比重の重い構造物が地面に埋もれたり、比重の軽い下水管等が浮き上がったりする(p43)
・朝の静かな3時間(朝4時起床)は日中の6時間に匹敵するほど、頭が冴える(p45)
・東日本震災後に、スカイツリーは問題が無かったが、東京タワーは頂上のアンテナが曲がってしまった、隣り合った高層ビルの揺れ方が同じでなく、最上階同士がぶつかりそうな揺れ方であった(p46、48)
・今回の大震災後に、タワーマンション(30階以上)建設は下火になる可能性がある、実際に中古マンション市場にタワーマンション物件が多く出始めている(p52)
・賃貸経営の商品化における際のキーワードは、土地の有効活用・相続税対策・老後の施設年金、である(p70)
・どんなに時間的な余裕や学習力があっても、個人ではできないシステムとして、空室や家賃滞納リスクに備えた「一括借り上げシステム」がある(p81)
・一括借り上げシステムは、例えば、アパートの人気が非常に高く、毎年のように家賃をつりあげても満室になるような場合でも、管理会社からオーナーに毎月支払われる賃料は、一括賃借契約に定められた額になる(p83)
・平成22年の人口減は12.3万人(出生:107、死亡:119)であり、2007年から4年連続、10万人を超えたのは初めて(p93)
・実際の世帯数が伸びているのはマイナス材料、アパートを必要とする人の大半が入居を済ませてしまい、今後の入居率が下がると予想される(p100)
・マルコーの倒産により、更生管財人は借り上げ契約を解約して賃料支払をストップしたが、借金をしていたオーナーは当然、ローン返済を余儀なくされた(p128)
・一括借り上げシステムの特徴は、1)もらえる賃料は徐々に少なくなる、2)管理料は家賃の1割程度とられる、3)固定資産税等は変わらない、4)家賃をさげないための高額リフォーム必要、5)賃貸経営会社が倒産すれば契約失効(p131)
・専門業者なら4000万円のアパート建設費用が、大手の賃貸経営会社が入ると8000万円程度になる、これは一括借り上げ契約のリスクヘッジをするため(p132)
・空き家の総世帯に占める割合は、過去最高の13%で、その多くが賃貸住宅であり、全体の54%を占めている(p140)
・金融や経済予測と異なり、人口予測はほぼその通りになる、2008年の年少者割合:13%から、2030年:9.6%、2050年:8.3%となる(p143)
・家賃が3割下がって、入居率が3割下がると、0.7x0.7=0.49で、家賃収入は半額になる(p170)
・アパート経営をするオーナーが知っておくべきものは「実質利回り」であり、表面利回りから必要経費等を差し引いたもので、おおむね表面利回りの半分になる(p175)
2011年10月9日作成