金城孝祐のレビュー一覧

この小説は、絵画的な美を思わせる快楽発生装置である。
作者は美大卒業とのことであり、冒頭の印象的な書き出しがそれを思わせる。この本の帯の書評も、「こんなにもわけがわからないのに、…」となっているのだが、本当に訳がわからない。
それは、この本が巧妙な伏線、伏線回収と、書いてある内容の無駄の無さ、密度の...続きを読む濃さ、そしてビジュアルに美しいことが演出しているのだろう。
とにかく感じることが求められる本であることは間違いない。

空想科学哲学小説。確かな知識に裏打ちされているけれど、それが目指すところは結局は意味不明。事象のひとつひとつが意味ありげだけれど、それが象徴するものはどこまでいっても不可解。あまりに奇天烈な物語なので退屈はしない。退屈はしないが、興味を魅かれることも特にはなかった。
こういう「まず頭の中をぐちゃぐち...続きを読むゃにしておいて、それを再構築するとカタルシスが得られる。」みたいな手法は好きではない。

ただ、「世界との接触の仕方」で何かが変わる、ということはあると思った。