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二〇世紀以降、思想・理論ともにさらなる多様化が進む民主主義。本書は、政治学をはじめ、ウェーバー、シュミット、シュンペーター、アーレント、デリダ、ムフなどの思想から、その大きな潮流と意義を捉える。指導者や選挙による競争、市民参加、熟議/闘技、ポピュリズムといった多くの論点から、現代デモクラシー論の可能性に迫る。試行錯誤を繰り返してきた軌跡を通して、二一世紀の民主主義を模索する試み。
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Posted by ブクログ
最近読んだ本数冊に民主主義がキーワードとして出てきたので読んでみた。 民主主義という言葉の曖昧さ、民主主義という枠の中での目標や良いとするものの移り変わりを知れてためになった。 デモなど選挙以外の政治参加についての見方が変わる。 理解はしきれてないので後でもう一回読みたい。
シティズンシップ、とかステークホルダーとか、熟議とか言う名目で、ネイション(国民国家)を否定するような民主主義論がその筋にあふれていることを知って背筋がゾッとした。このようなネイション(国民国家)の否定と戦うためには、ポピュリズム的なモノは有効な武器になるなと再認識。 ああ、「熟議」とか「討論が足...続きを読むせ論調さ」は変更した専門家が偏った情報を与える形で民主党政権が悪用してたな。
割と内容が難しかった。民主主義や政治理論・思想の基礎的な知識がないとところどころ厳しい。 ただ興味深い点もいくつかあった。普段何気なく使っているような用語も、細かくみてみると自分が考えていた定義や意味合いも結構違っていたりする。
20世紀以降の民主主義論について、指導者民主主義、競走型エリート主義、多元主義、参加民主主義、熟議と闘技、現代思想に至るまで、その理論と言説をコンパクトに解説
政治学の視点から、20世紀以降の民主主義観の移り変わりがまとめられています。教育学が専攻である私にとっては、少々難解でした。政治学に関する背景知識があると、読みやすいと思います。 また、この本から、民主主義の捉え方が多様であると気づけました。この多様な捉え方は、政治学だけではなく教育学(特に社会科教...続きを読む育学・シティズンシップ教育学)を専攻する人も知っていて損はないと思います。なぜなら、多様な捉え方を活用し、教育実践の内容・方法を分析することで、実践が目指すまたはもたらす社会の在り方まで考察可能になるからです。 例えば、シティズンシップ教育にて行われる、選挙への投票率上昇を目的とした実践について。この実践の結果、投票率が上がることは一見良いように思えます。ですがシュンペーターの民主主義観から捉えた時に、子ども達が「民主主義=選挙」と学んでしまったら、結果的に「競争型エリート主義」の社会に近づく可能性が高いと分かります。 シュンペーター以外にも、多くの20世紀以降の政治学者の民主主義観がまとまっています。彼ら彼女らの多様な民主主義観を習得・活用したい人にとって、この本はおすすめです。
【民主主義というフィクションのいろいろな説】 学者、思想家の間で唱えられるたくさんの民主主義の在り方のについて、20世紀ごろからの主要な議論が紹介されている。 あとがきに書かれている通り、包括的ではなく、指導者、選挙、参加型民主主義、などの主要な争点について、主だった政治学者に的を当てて、議...続きを読む論を比較しながら書かれていた。 はじめの方で挙げられたポイントは、民主主義と自由主義は元から親和性があったわけではないということ。今では自由民主主義、みたいな形で良く語られるけれど、この違いは、カール・シュミットの同質性・同種性を強調する民主主義の特徴を通して紹介されていた。 これに対立する考え方として、多数の指導者、相対主義を支持するケルゼン。 選挙と市民の役割については、ヨーゼフ・シュンペーターなどを紹介。エリートの競争手段としての選挙。人民の支配は目的ではなく、政治家の支配で民主主義が成り立つ、という視点は、現代広く認識される民主主義とは少し違うなーと思った。 民主主義について、制度的側面を強調し、理論化したロバート・ダールのポリアーキーも、同じくエリート主義的であり、市民の積極的な政治参加は特に必要とせず、定期的に選挙を通して意思表示する政治制度を民主主義とする。加えて、争点法を通した多元主義が実現されるとする。 一方で発展してきたのが、市民の参加の価値を重視する、参加型民主主義。大衆の参加がどう政治の質を担保するかについて、ハンナ・アーレントなどの批判を含め、議論は続くものの、ぺイトマンの議論が紹介され、国レベルのみならず、地域社会、そして職場でも、民主的な参加の重要性を説く。この点では、コールのギルド社会主義、アソシエーション論も少し触れられている。 そして、ハーバーマスの公共性論と熟議民主主義。政治とは、公的領域において、対等なもののあいだの自由なコミュニケーションとし、生活世界(社会文化システム)が、経済的な政策などで浸食される、植民地化される危機に警鐘を鳴らす。 一方で、シャンタル・ムフの抗争的民主主義論は、合意を前提とする議論を批判し、政治的なものとは、経済的なものではなく、本質的に対立的とし、多元性を重視。シュミットの友・敵関係という政治の本質を基本とするものの、敵を自由民主主義の基本的理念を共有する対抗者、と置き換える。 最後の章は、ポスト構築主義、ポスト民主主義などのジャック・デリダ、ランシェルなの議論をを紹介しつつ、ラクラウとムフのラディカル民主主義を続ける。ここで再度、ムフの議論が深められて、偶発性、意味の固定作用としての結節点、シニフィエとシニフィアン、これが社会的なものであること、政治を通して一時的に安定化させることで多元的な連帯が作られうること、これが対抗ヘゲモニー、ポピュリズムの議論につながっていった… 大学時に勉強したことを思い出しつつ、私には完全に分かりえることはないと思うので、このような形でなんともざーっと。 ジョアン・トロントのケアの倫理も、最後の方に紹介されていて、「個」が前提となっている民主主義論に一石を投じていて、少し個人的にギクッとし、この議論については大学時にはなかったので、また読んでみようと思います。 ‥ 理論・思想の話なので、全体的にはとても抽象的でときどき議論の方向性を見失っていたけれども、民主主義、という概念を介した壮大なファンタジーだなーと、養老先生の本を読んだ後だったので、もちろん自分たちのいる社会の話なのだけれども、傍観者並みの距離感でも考えてしまう。 やっぱルソー凄いなー…。
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山本圭
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