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ゴスペル,ヒップホップなど,アメリカ黒人のつくりだした文化は,なぜぼくたちを惹きつけるのか.歴史をさかのぼり,彼らの伝えてきた歌や物語を読み解いてみよう.そこは「悪い」が「よい」を意味し,小さな者が大きな者をギャフンと言わせる世界.困難を笑い飛ばし,常に楽しみを作り出してきた魅力的な世界へようこそ.
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Posted by ブクログ
アメリカ黒人音楽を俯瞰する。内容は軽いが、黒人文化の持つ精神性、良い悪いで悪いが良いという前提条件がきちんとわかったことだけでも十分な書籍。
ゴスペルソング、ブルーズ、ヒップホップ等々、アメリカ黒人文化のルーツをさかのぼり、彼らの歌や物語を読み解いていく内容。著者の最新書「アメリカを歌で知る」を読み終えた後、ルーツ音楽をもっと知りたくなって手に取りました。 マイケルジャクソンの歌を例にあげての黒人文化の背景に関すること、動物民話に込めら...続きを読むれた思い、トウモロコシの皮むき歌・ハンマーソングの成り立ち等、ジュニア新書という凝縮された紙幅なのに、とても中身が濃くいろいろと知ることができました。巻末で紹介されている「読んでみよう!」をはじめ、これまでに知らなかった音楽との出会いもあり、とても得した気持ちにもなりました。 その国の文化を知る上で、歴史的な背景や人々暮らしや願いを知っていくことが改めて必要だなと思います。特にアメリカ黒人文化においては、差別の歴史を踏まえることが大切ですね。大好きなユニット「やぎたこ」さんのライブのMCで語られる話にもつながって、次の6月の大阪でのライブがさらに楽しみになりました。 お勧めの一冊です。
現代のアメリカのポップカルチャーを牽引するのは、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人たちが虐げられながらも手放さなかった独自の文化に由来するものばかり。アフリカン・アメリカンが作りだした歌や物語の裏にある生き延びるための思考法を学ぶジュニア新書。 先に後藤護の『黒人音楽史』を読みはじめたのだ...続きを読むが高度な話が多く、基礎的な知識が足りないので補助線になる本がほしくて手に取った。結果としてこの本はぴったりだった。 現代の目からはアウトローに見える昔話やブルーズの歌詞が、白人の論理から逃れて生き延びるための術であったこと。キリスト教に改宗し敬虔な人も多いが、やはりアメリカにおけるキリスト教は白人を救う宗教であって、黒人は「罪人」を自称し悪魔にシンパシーを感じていたこと。ゴスペルの父と呼ばれ、黒人で初めて音楽の著作権を管理したトーマス・ドーシーや、弱き者のペルソナを被ったブルーズを別の次元へ進ませたロバート・ジョンソンのこと。 R&Bの男が受け身すぎるというのはラジオ「RHYMESTER 宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の名物企画「R&B馬鹿リリック大行進」などでも話題になっていたけど、黒人男性が白人社会でまともな職に就くのは難しく、家政婦などの仕事がある女性が家計を支えていたせいだと説明されていたのは今まで聞いたなかで一番説得力があった。家計を支える女にフラれる=死、という式が儚すぎて笑ったけれども。 日常と死の近しさ、そして暴力との近しさが彼らの表現を過激にしていく。もちろん暴力を奮われる側、理不尽な死を強いられる側だったからこそフィクショナルな世界でそれを転覆しようとしたのである。やがてその方法論はさまざまなマイノリティたちの共感を得て、レベルミュージックからポップミュージックに変わっていった。だがグラミーでの黒人アーティストの扱いを思うと、やっぱり今でもレベルミュージックなのだろう。
奴隷解放で黒人は幸せになったと単純に考えていたが、その理解が粉砕された。アフリカ系のオバマが大統領になったということがいかに偉大であるかということを改めて感じた。差別が解消されるというのは長い時間、想像以上に長い時間がかかるということを、改めて実感した。
アメリカ黒人がつくりだした文化、特にこの本では歌を中心に、奴隷制時代までさかのぼってコンパクトにまとめている良書です。 奴隷制時代、歌は、仕事や遊びを通して伝承されるもので日常のつらさを笑いやハッピーエンドに変換するものであり、そのあとに生まれるゴスペル、ブルースなどの音楽と比較しています。
「スタンド・バイ・ミー」 試練のただ中でそばにいてほしい 精一杯のことをしながら 友人に誤解されても 私のすべてを知るあなたに そばにいてほしい イエスよ 谷間の百合よ そばにいてほしい ブルーズ ロバート・ジョンソン ストレートに心情をうたう ペルソナに同化する
アメリカ黒人音楽の歴史の本かと思って読み始め、まずマイケル・ジャクソンが出てきたので、「そりゃ、ジュニア新書だもん、中高生でも知ってる超有名人から始めるよな」なんて安心しながら読んだのだが。 結果から言うと、私が好きだったアレサ・フランクリンとか、ディオンヌ・ワーウィックとか、アル・グリーンとかまで...続きを読むは、到底辿りつけないほど、根っこから書いてあったのだった。私が知ってるブラックミュージックはせいぜい枝程度だったということがよく分かった。 アフリカから奴隷として連れてこられ、過酷な労働を強いられ、家畜同然の扱いを受け、逆らえば、鞭打ち。殺されても、殺した白人は何の罪にも問われない。そういった事は、本でも読んだし映画でも見たのではあるが、音楽を知ることで、彼らの「魂の叫び」としか言いようのない思いが伝わった。歌は思いを伝えるものではあるが、あまりあからさまだと白人にバレるので、独特の言い回しや、裏の意味が生まれた。 黒人音楽を理解するために、そういった歴史だけでなく、黒人に伝わる民話(もとはグリム童話やイソップ寓話だったりするが、彼ら独自の解釈やエピソードが面白い。岩波少年文庫『ウサギどんとキツネどん』というタイトルで読んだ記憶がある。)、具体的な歌詞と対訳まであるので、ロバート・ジョンソン(1911~1938)で歌と歌手の紹介は終わっている。導入のマイケル・ジャクソンや「スタンド・バイ・ミー」などは別として、「漕げよマイケル」以外は知らない曲ばかりで、検索して聴きながら読んだ。 本当は本ではなく、講演を聴きながら、映像を見たり、音楽を聴いたりして理解するのがいいのだろうけど、それでも、読んで良かった。音楽の本というよりは、アメリカ黒人音楽の「ルーツ」について書いた本だった。まあ、サブタイトルにそう書いてあったので看板に偽りがあるのではない。 スティービー・ワンダーやレイ・チャールズみたいに最近の歌手についての記述はないが、20世紀初頭のブルーズミュージシャンに、盲目の人が多かったのは、妊娠中に栄養が足りなかったから、というのもショックだった。 今流行りのヒップホップなんかとの繋がりがもうちょっと書いてあると、今のブラックミュージックを聴いている若い人もわかり易かったのではないかとは思う。 この後公民権運動など差別と戦い、音楽も変わっていくので、現代ブラックミュージックについてのジュニア新書もあったらいいな。
中高生向けの本のため、内容の掘り下げは物足りないがとても読みやすくてザッと理解できる。 掘り下げは他の書籍や方法で。 奴隷制度の辛い歴史があり、そしてまだ差別も横行していることを考えると、 そこから生まれた素晴らしい音楽や文化を享受させてもらってる立場としては複雑な気持ちになったりもしますが、 フ...続きを読むァッションではなく、歴史も踏まえた上で楽しんでいきたいと思います。 ブルース、ゴスペルの成り立ちや、あと、民話の話も興味深い。
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魂をゆさぶる歌に出会う アメリカ黒人文化のルーツへ
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ウェルズ恵子
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