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一人ひとりが〈私〉意識を強く持ち,他人とは違う自分らしさを追い求める現代.分断された〈私〉と〈私〉を結びつけ,〈私たち〉の問題を解決するデモクラシーを発展させることは可能なのか.人々の平等意識の変容と新しい個人主義の出現を踏まえた上で,〈私〉と政治の関係をとらえなおし,これからのデモクラシーを構想する.
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Posted by ブクログ
政治思想史、政治哲学研究者による、現代社会における諸問題を概括した新書。本当にこれはすごい。 多様な社会学的文献を引用し、今日本で起こっていること(政治の混迷、プリナショナリズム、自分探し、主体性の賛美等々)がどのような文脈の中で起こってきたことなのか、具体例に寄り添いながら丁寧に書かれている。 ...続きを読む信仰が失われ、家族制度が崩れ、不平等が明確には意識されない、〈私〉という個人に重きが置かれるこのポストモダンの世の中でニヒリズムに陥るのか、それとも未来に希望を持って生きて行くのか。 目指して行くべき明確な方向性がない中、どのように模索するのか、そもそも模索を放棄するのか、個人的にずっとモヤモヤしていただけに、解決策が得られたわけではないが、モヤモヤの社会的文脈を改めて見直すことができた。 はじめに、の文章がいいので一部引用したい。 消費者の「自分らしさ」意識を満足させるための商品が、次から次へと生み出されています。とはいえ、それらは綿密な市場調査によって割り出された、類型化された「自分らしさ」に他なりません。「あなたらしさを演出する、定番アイテム!」などという吊り広告を見ると、なんともいえない気分になります。
本書は「平等」という概念を再考察した上でデモクラシー論に結びつけたものである。 現代における「平等」とは、誰もが自分らしく生きることであり、そのために他者からこのように見られたいだとか、社会にあのようなものをもとめているとか、そういったものがやがて収束していくと政治の話になっていく、というのが大まか...続きを読むな内容である。 本書の内容は、一方で現代社会で人々が漠然と抱いている意識をうまく描写している点でも評価できる。そういったミクロ的な視点からデモクラシー論に展開しているため、本書で語られているデモクラシー論もまた説得的である。
・「自分らしさとは」 ・「近代」の目標の一つは、これまで人々を縛りつけてきた伝統の拘束や人間関係から人々を解放することだった。 ・与えられた人間関係を、自分で選んだ関係に置き換えていく過程が近代化 ・「聖なるもの」が見失われてしまった現代において、価値とされるものはもはや「私」しかない
トクヴィルの「平等化」という概念を出発点にして、近年の政治学・社会学の知見を踏まえつつ、平易な筆致でコンパクトかつ包括的な視野でまとめた良書。 デモクラシーつまり民主制とは、社会のありかたないし政治というものを、私たちが決める制度である。だからタイトルは、私が私たちの社会を決める時代という、ごく当...続きを読むたり前の事を言っているようにも見える。 しかし、「私から私たちへ」と繋がる回路が、現代は困難を迎えているというのが筆者の視点である。しかもそれは近代の出発点から埋め込まれていたという。筆者はトクヴィルの「平等化」という概念から〈私〉というものを特徴づける。 「〈私〉は、一人ひとりが強い自意識を持ち、自分の固有性にこだわります。しかしながら、そのような一人ひとりの自意識は、社会全体として見ると、どことなく似通っており誰一人特別な存在はいません。」(まえがきⅷ) つまり〈私〉とは、私が独特であるという固有性/独特である私という凡庸さ、という二つに引き裂かれた存在だと言える。〈私〉とは、他者と比較しながら私自身によって私を定義することを強いられる。 もちろんこの〈私〉という定義は、ある意味古典的ともいえる認識である。しかし「〈私〉時代」とタイトルにあるように、また本書の第一章の始めが「グローバルな平等化の波」とあるように、世界規模で〈私〉化が展開されているのが、現代なのである。 本書は「平等化」「〈私〉」を鍵概念として、世界また日本における平等意識の変容(第一章)、「社会的不平等の個人化」とも特徴付けられる現代の個人主義の意味変容(第二章)、現代日本の政治における私ー公の短絡とナショナリズム(第三章)を分析していく。 そして第四章において、熟議民主主義的なプロセスの効果として現れる「共感」(スミス)を他者への回路として、「希望の分配のメカニズム」としての社会を再構築することが企図される。
「現代社会の特徴を捉えるには、〈私〉という視点は欠かせない」という視点からのデモクラシー論。おそろしく説得力がありました。トクヴィルに関する他の本も読みたくなりました。
完全に整理し切れてはいないと思うが、現代日本の閉塞感を端々でうまく捉えている本だと思う。 結局戦後の日本を支えてきたのは、アイデンティティから福祉までを丸抱えするという企業の家族的経営であり、それが失われた現代にそれに代わる人々に対する受け皿が現れていないことが現代日本人の不安を煽っていると考えら...続きを読むれる。 企業が従業員の生活を丸ごと面倒見るというモデルが国際競争のためにもはや維持できない以上、それに代わる社会保障は国か社会が支えるしかない。 ここでいう社会とは行政のような強制的制度を用いない互助会であったり、地域コミュニティがあたると思うが、アメリカのNPOや教会のような役割を日本の地域はまだ果たせていない。その背景には、元々企業をはじめとする特定の中間団体に属しウチとソトで態度を変えてきた日本人が、地域を軸とする人間関係に仲間意識を抱けていないことに原因があると思う。 また、ではかと言って国が社会保障を引き受ける北欧型の社会保障が成り立つかといえば、地域と同様、国民全体を対象に富の再分配を行うようなビジョンを描き、人々を納得させられるような人間が少ない。結局右肩上がりの戦後日本では、よく言われるように限られたパイの再分配という真の意味での政治は必要なく、成長する経済の果実を地域間のバランスが崩れすぎないようにそれなりに地元に誘導すれば良かったからだ。 しかし、この陥穽から抜け出すために必要なものはいったい何なのか。 今流行りの新党だろうか。社会企業家だろうか。ビジネスマインドを注入したシンクタンクだろうか。地方の創意工夫だろうか。 正にこの本が示すように、どうやってばらばらになった個人を再びデモクラシーの回路へとつなげていくことができるのか。それとももはやいわゆるデモクラシーは必要なく、ビジネスの論理の応用(社会企業家等)や新たなIT技術によるコミュニケーションの変容(ツイッター等)で解決可能な問題なのだろうか。 思うのは問われているのは正解(What)ではなく、やり方(How)であるということ。そのとき一番大事になるのは意志と共感を得る力、いわゆるリーダーシップというものだろう。 そう考えると、そもそも物事を動かすのにまず必要なのは強制力がない中で人々を巻き込んでムーブメントを起こす力=リーダーシップだ。行政や政治が強制力を持ってことにあたれるのは、ムーブメントが一定の手続きを経て権力の正統性を与えられた場合のみである。 その意味で、社会が大きくパラダイムを変えるときに官僚やコンサルタントのように正解を求めるだけでは何も生み出せないのと同じなのだろう。 となると、次の課題は、いかに大衆の支持を得るかということになるが、その際、いかに元々あった信念を曲げず、わかりやすく人々に伝え、支持を得るか。何より、ボランタリーにリーダーシップを発揮することがその人個人の競争戦略上不利になることが多い社会で暮らしている場合、めげずにリーダーシップを発揮することは経験上非常に難しくつらい。 それを乗り越えられるだけの何かが必要だ。
トクヴィルの「平等化」の時代・・・人々の平等化が実現し、安定したじだいのことではなく、人々の平等・不平等が意識化し、結果的に声をあげるなどすることで既存の秩序が動揺していく時代のこと。 近代の個人主義・・・伝統的な共同体や宗教などの束縛から解放され、自らの自分の運命を決められるようになった個人化の...続きを読むことを指す。 現代の個人主義・・・社会的不平等の個人化など否定的な個人主義の側面が強い。
近代化がある程度達成されることで、人びとが自分を他者と平等であるような存在だと考えるようになり、そのために自他の違いについてますます敏感にならざるをえないことが、現代の社会のさまざまなひずみを生み出していることを、トクヴィルをはじめ現代の多くの社会学者たちの議論を参照しながら考察している本です。 ...続きを読むウルリッヒ・ベックによって焦点が向けられて以来、さかんに論じられてきた再帰的近代化の一つの側面を、わかりやすくていねいに論じています。著者は、単に問題の所在を指摘するだけでなく、それに対する処方箋を提示することもみずからの責務だと考えているようですが、結論としてはやや弱いと感じられます。また、かならずしもそうした処方箋を示す必要があるとも思えません。 とはいえ、全体を通じて関心を惹かれた論点がいくつもあり、興味深く読みました。
【読書その74】SMAPの「世界で一つだけの花」のように「ナンバーワンよりオンリーワン」。一人ひとりが私という存在を強く意識する社会。その中にあっていかに「私たち」の問題を解決するデモクラシーを実現するか。郵政選挙での自民党の圧勝時の中曽根元首相による「粘土が砂になった」という言葉は極めて重い。
階級社会から平等社会への移行期に民主主義を見つめたトクヴィルを起点に、グローバルに平等意識が拡張された「私」時代の21世紀の日本及び世界でのデモクラシーの在り方について論じた好著。デモクラシーは権力の場に空虚を配置したフラジャイルなものであると同時に、それが故に常に内省を促すシステムであること、そし...続きを読むて、個人主義が蔓延する現代で、各人の尊厳をリスペクトしつつ、「私」のイシューを「私たち」社会のイシューにして行く、ある種対話の場の重要性を提起している点に共感を覚えた。
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〈私〉時代のデモクラシー
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宇野重規
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