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いま宇宙は真冬であり、わたしは宇宙最後かもしれない星に向かっている――宇宙を漂う放浪者がその滅びゆく美しさを想う表題作など10篇を収録。『三体』などの中国SF翻訳者・紹介者としても活躍する短篇の名手ケン・リュウが贈る日本オリジナル短篇集第4弾
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Posted by ブクログ
さすが名手のクオリティ。特に最後の「歴史を終わらせた男」は、その内容からケン・リュウという作家が誤解されることを心配した選者がこれまであえて収録していなかったというだけあるインパクトの強い作品。著者の引き出しの多さが存分に楽しめる好編。
読むのがつらい作品も。つらいというのは読みにくいとかつまらないとか言うのではなくて、かつて日本がしてきた史実を突きつけられるようで。 星新一っぽい『古生代で老後を過ごしましょう』○
読書備忘録620号。 ★★★。 う~ん。私の感性が衰えたのか・・・。 叙事詩的な雰囲気をもったケン・リュウのSF短編集にあまり感じるものが無かった・・・。 何篇かに触れる。 「宇宙の春」宇宙には春夏秋冬があるというお話。 「ブックセイヴァ」作者が必ず入れてくる図書もの。 「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒...続きを読むの豹」なんか知らんけど文明が滅んだ後のファンタジー戦争モノ。女性3人が人間と動物の形態をとって戦う? 「歴史を終わらせた男-ドキュメンタリー」過去を覗き見ることが出来る技術開発。大日本帝国陸軍731部隊の真実を暴く。中国人らしい作品。 紙の動物園が素晴らしかっただけに、ちょっと期待してしまった。 自分には合わなかった。 さて次を読みまっせ!
ケン・リュウを読むのはこれで3冊目で、贅沢な言い方をするならば、その読み口に慣れてきてしまったなという気持ちはあった。特に、SFに東洋文化を絡めながらウェットな読み口に仕上げるような作品群において。 その中でも光るものはやはりあって、今回で言えば『思いと祈り』『歴史を終わらせた男』の2編については...続きを読む、今の現実から地続きの近未来をドキュメンタリー形式で描きつつ、いずれもマクロな社会と個人の物語との対比というものをかなり残酷な形で描いていて痛烈だった。 前者は銃乱射事件被害者遺族が、銃抗議活動の一端として、被害にあった娘の人生をVRで追体験できるコンテンツに仕立てたところ、つまるところ「炎上」「荒らし」に晒される顛末が描かれる。後者は731部隊の真相を明らかにするべく、「過去を実際に見る」技術を用いた歴史学者が、客観的な歴史研究と、個人の物語という主観との間で揺れ動く世論に飲み込まれていく。いずれも物語の構造としては近しいのかもしれないが、特に後者。731部隊を中国系の作家が描くとなると、日本人としては身構える部分があるし、実際それを危惧して翻訳を遅らせたとも書かれているが、しかし過度に政治的なわけではなく、絶妙なバランス感で仕上げられていて、非常に読み応えがあった。本書ではこれがベストだった。
縦長のペーパーバックは軽いし気軽に読めていい、という形の感想は置いといて、中国系米国人の作者によるSFが10編入った短編集で、特に期待せず読み始めたが、まぁこれがなんとも目新しいというか独特で、「三体」といい中華四千年の歴史の半端なさを感じさせられる。個人的には「ブックセイヴァ」がベスト。
中国系アメリカ人作家の日本オリジナル作品集(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)その4。1・2集あたりはとても楽しくてワクワクしながら読み進めたのだが、前作、そして本作もだいぶ手こずった。難解そうな作品を後回しにしたのだろうかと思ったりもするが、この作家の奔放な想像力にこちらの老化した脳がついていけないだ...続きを読むけのような気もする。
ケン・リュウのハヤカワの新書は全部買っているけれど、これは私の中で「紙の動物園」に迫るかも。ただ、第二次大戦でアジアを支配していた日本の話が2篇あるので、とても重い。初期の短編集に「歴史を終わらせた男」を入れなかったという判断もわかる。 「マクスウェルの悪魔」 戦時下の沖縄ユタの血筋の日系アメリ...続きを読むカ人、かつ女性で科学者の主人公。 どこの土地でも余所者・敵地人として不当な扱いをされ、戦争も地獄の様相を見せる中、それでも人が拠り所とする故郷について描かれる。 重ねて出てくる「それが戦争ってものじゃないか」が重くのしかかる。 「歴史を終わらせた男」 ここで731部隊の話を突きつけられるとは。 タイムマシンによって直接歴史を見聞きできるようになったとき、「歴史」が過去の死んだものではなく今扱える生きたものとなったとき、当時の出来事をどう見るのか、責任の所在はどうなるのか。 そういうSFを土台にしているけれども、話中で人体実験の現場を訪れた観察者同様、731部隊の話が終わった過去でなく、実際にそこに在った事実として辛い。 もちろん日本が行った反省すべき戦争犯罪だという認識はあったけれど、たかだか100年前に、医療の発展のためにという名実で「必要なこと」として行われ、それが実際に医療データとして利用されていたというのは、こう読むと相当なショックだった。 乗り越えて終わった過去でなく、今もその出来事と連続して今いるのが自分なのだと。 100光年離れた星の、100年前の光が今届くように、過去発せられた光は今の光景であり、時間による差はあまりないのかもしれない。 ロシア・ウクライナ戦が始まり、戦争とはすでに乗り越えた過去のものと漠然と考えていた自分の能天気さを恥じたけれど、発売当時に買ったままだったこの本を今読んだというのも、本に呼ばれたのかもしれないなあ。 「切り取り」 こういう技巧が凝らされた上に、儚さの感じられる物語は大好き。
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宇宙の春
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ケン・リュウ
古沢嘉通
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