紙の動物園

紙の動物園

1,353円 (税込)

6pt

〈ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞受賞〉ぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた……。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師の「ぼく」との触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる短篇集

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紙の動物園 のユーザーレビュー

15の物語が収められた、SF短編集。
いかにもSFらしい話もあれば、純文学っぽい話もあり。でも、どれもすごくいい!
中国移民の二世である息子と母との心の隔たりと悔恨を、「動く紙の動物」というファンタジックなギミックを使って、素晴らしい物語へと織り上げている「紙の動物園」。
縄文字(縄の結び目で文字を表したもの)を知る部族の長と、それを遺伝子ビジネスに利用しようとするアメリカ人との騙し合いが描かれ、文化人類学SFとでもいうような独特の世界観が楽しめる「結縄(けつじょう)」など、どれも粒揃い。読み終えたあと、しばし空想にふけりたくなる、そんな話がたくさん詰まっている。

しみじみとした叙情性とともに、孤独や諦念のようなムードを感じるのは、ケン・リュウという作家自身が中国からの移民であるというところが大きいのかもしれません。
SF好きにはもちろん、物語を愛するすべての人に勧めたい良作です。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    表題作の『紙の動物園』が、あまりにも素晴らしい作品だったので、読み終えていませんが感想を書いてしまいます。
    歴史に翻弄される人間の悲哀、深い愛情行動、辛い人生の救い、それらが合わさって、非常に深い物語に仕上がっています。
    一生に一度は読むべき傑作です。他の短編も読んできます。

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    2023年12月25日

    Posted by ブクログ

    中国系アメリカ人作家の短編集。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞受賞の表題作ほか、全15篇を収録。

    「紙の動物園」「もののあはれ」「月へ」「結縄」「太平洋横断海底トンネル小史」「潮汐」「選抜宇宙種族の本づくり習性」「心智五行」「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」「円弧」「波」「1ビ

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    2023年12月17日

    Posted by ブクログ

    作品が凄いし、これを違和感無く翻訳した翻訳者も凄い。難しい話が語られているのに、何となく理解できる世界観を作り出せるのが本当に素晴らしい。何とも言えない切なさや刹那さ、、、言葉にできないものが物語として描写されている。本当に頭の良い人が書くとこういう物語になるのかもしれない。難しい話を解るように語り

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    2023年04月03日

    Posted by ブクログ

    最初の表題作でボロボロ泣いてしまった。一方、途中にはSF慣れしていない自分にとって難解な話もいくつかあり、再読の必要性を強く感じています。SF的なモチーフをふんだんに使いつつも人の心と心の触れ合いに重きを置いた優しい眼差しの作風に、なんとなくカーヴァーを連想しました。「紙の動物園」「もののあはれ」「

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    2021年07月28日

    Posted by ブクログ

    散々話題になって、2010年代SFのベスト10にも選ばれて、ようやく読んだケン・リュウの『紙の動物園』
    確かに面白いのだけど、それ以上にSFというジャンルに吹いた新しい風というか、雰囲気を感じる短編集だったように思います。

    表題作の「紙の動物園」は特に傑作だと評判は高かった気がしますが、本当に評判

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    2020年07月15日

    Posted by ブクログ

    中国で生まれ、幼年期を同国で過ごした著者。そのため表題作をはじめ、多くの作品には東洋文化の影響が色濃く反映されており、同じ文化圏の私たちには特に心にグッとくるものがある。お気に入りは「もののあはれ」「太平洋横断海底トンネル小史」「円弧」あたり。すでに多数の短篇を、しかも驚異的な速さで書き上げているみ

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    2019年10月18日

    Posted by ブクログ

    短編にもかかわらず、一話一話に読み応えがある。SFでありながら(だからこそ)人間の体温と心を感じる。その時々の自分の状況によって、響く作品が変わるため、手元に置いておきたい一冊。

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    2019年01月19日

    Posted by ブクログ

    まず、気合いの入った装丁からして出版社の意気込みが伝わってきた。そして、その気合いも当然だなあといった内容。結構情緒的なものが多いし、著者が中国系(というか中国で育って幼少期に米国平民)なので伝奇SFっぽいものも数点。なかなか良い。ただ、これは中国じゃ出版できないだろうなあ?と思ったモノはやはり翻訳

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    2018年10月14日

    Posted by ブクログ

    しまった…これも人生後半に取っておくべき一冊でした!
    テッド・チャン信奉者であるという点でもうハズレじゃないのは解っていた・・そして先生に勧められたので、これはもう読んでおこうかなと。昨年出版された文庫版は、こちらの短編集からの再収録なので、こちらのトールサイズを読んだ方がお得です。
    以下気に入った

    0
    2018年02月14日

    Posted by ブクログ

    散々話題になっていたSFをようやく読みました。ふだんSFをそれほど読んでいないのですが、読むと面白いのですね。それはアイデアが開花する瞬間を目の当たりにする面白さとでも言いましょうか。そしてこの短編集でもその面白さを思う存分堪能したのです。
    ひとつのアイデアから広がる世界。動き出す折り紙の動物、結び

    0
    2018年01月26日

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