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新聞記者一筋だった笠間は、同期との競争に負け、販売部への異動を告げられる。記者職への断ち切れない思いを抱えつつも、自分の仕事に邁進し、販売部でも存在を発揮し始める。一方で、ずっと忙しい父親との関係に、二人の息子・翔馬と翼は悩んでいた。しかし葛藤を抱きつつも、翔馬は父と同じ、新聞記者という道を行くことを決める。働くことは何なのか。父親として息子に残せるものは何か。普遍的な親子の絆を描いた、傑作長編!
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Posted by ブクログ
スポーツ新聞の記者だった笠間哲治は、販売を担当する即売部へ異動を命じられます。人事に関わるしがらみを抱えながらも即売部での職務に専念する中、哲治は職場で倒れ、帰らぬ人となります。哲治には当時高校生の長男翔馬と、小学生の次男翼がいました。職場人間で、家では父親の人物像も薄く、しかも長男翔馬とは思春期独...続きを読む特の男同士の距離感からすれ違いを抱えたまま、哲治が亡くなってしまったのです。 時が経って、長男翔馬は同業他社のスポーツ新聞社に、そして次男翼は父がかつて務めたスポーツ新聞社に勤めることになります。そこにはかつての父をよく知る父の同期が彼らの部署の管理職として、父の後輩が今では彼ら兄弟の上司として彼らと関わり、翔馬と翼は父の仕事に対する姿勢や人間性を改めて感じて仕事に向き合うというストーリーです。 全体が9話のオムニバスとなっており、各話ごとに2年~3年の月日が経過し、全体として約20年ぐらいの月日を追っています。第一話の時代設定は1995年、第9話の時代設定は2010年となっており、ちょうど時代が昭和から平成へ移り変わり、平成が終わりかけるぐらいまでの時期に重なります。 笠間哲治は第2話で亡くなってしまうので、本書ストーリーの中で親子が直接心を開いて会話を交わす場面はほとんどありません。息子2人が父と同じ職場を選び、そこで父を知る職場の人たちから間接的にメッセージを受け取るような構成ですが、複線の巧みさ、ストーリー展開のテンポ良さに、ついつい引き込まれました。著者は元新聞記者です。だからこそ、本書の舞台となるスポーツ新聞社での日々の仕事の様子のディティールが秀逸で、そこで繰り広げられる妬みや、怒り、哀しみ、取材から紙面を構成して新聞が作り上げられていく過程と、時間に追われる緊迫感などリアリティーが損なわれず、その舞台に上記の親子の関わりを見事に織り込んだ長編でした。選手が主役となるスポーツ小説でもなく、企業が舞台の社会小説でもなく、人情もの小説というわけでもないですが、それらの要素をうまくまとめ上げる力量は、さすが元新聞記者の著者ならではと感じました。
元新聞記者の方だけあって、新聞社の各業務の内容に精通した内容。それぞれの仕事にプライドが合って、そこに親と子の関係性が相まって話が展開する。 え?主人公が?っていう展開にびっくりしてしばらく事態をのみ込めず暫く読み進めることとなる。 家族が、そして会社関係者が一人の男の生きざまに影響を受けていくとこ...続きを読むろが魅力的な本。
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