Posted by ブクログ
経済学見るだけノート
経済とよく使うワードだが、体系的に学んだ事が無く知識にヌケモレがあるのでは?と懸念。改めて、学んでみようと本書を手に取った。
結果:経済の歴史(バブル経済やサブプライム問題)など名前は知っているが、発生した経緯など理解していない事について初めて理解できた。
※著者:木暮太一
慶応大学卒。富士フィルム→サイバーエージェント→リクルートを経て独立。
現在、作家、一般社団法人教育コミュニケーション協会代表理事
大学時代に経済学の解説本を自作し分かりやすさから学内で爆発的にヒット。
ポイント:
Chapter 1
・01:そもそも経済学って何?
→経済学の目的:資源をどのように効率良く配分しているか?を分析、仮説立てて理論づけること。
1.基本概念
a.資源分配
b.トレードオフ
・02:人が物を買う際の大前提①
→効用:購買する際、意識の裏側で働く意思決定の大前提は"満足感"(主観)
・03:人が物を買う際の大前提②
→選好:購入する際、各々の尺度で評価下すこと。(予算制約に制限される)
・04:1杯目のビールがおいしい理由
→限界効用:もう1単位追加して消費することによる効用(満足度)=2杯目のビール
→限界効用逓減(ていげん)の方法
単位が上がる程、効用は下がる。=2杯目、3杯目と増える毎に効用(満足度)は減少
・07:コーヒーと紅茶(代替材,補完剤)
→代替材:ある商品の代替になるモノ。特に価格変動によって代替へ移る可能性上昇。(コーヒー高騰→紅茶(代替材)の需要up)
→補完材:ある商品の価格変動が、もう一方の商品の需要を増減させる関係。(DVDブーム→DVDプレイヤー(補完材)需要増加)
・09:給与upで増えるモノ、減るモノ②
→上級財:実質所得が上がると消費量が増え、実質所得が下がると消費量が減るモノ(高級ワインなど)
→下級材:実質所得が上がれば消費量が減り、実質所得が下がれば消費量が増えるモノ(廉価ワインなど)
・10:物が安く買えた時に起こる現象
→所得効果:所得が増加することで相乗的に消費増大をもたらす
→代替効果:商品価格の変動で買う量が変わる(例:安くなると消費が増加する)
・11:安く買えるのに買わないものもある
→ギッフェン財:価格が上がる事で需要も上がる、価格が下がると需要が下がる財(必需品の高騰→高くても必需品だから買う→他に買う予定のものを買う余裕無くなる→必需品の購入に資金回す→需要増加)
→ウェブレン財:価格が上がる程、需要も高くなる財(高級ブランド品など)
・12:うれしさも立派な経済学
→消費者余剰:消費者が許容できる金額より実際の価格が低かった場合の差額に対する喜び価値
Chapter2
・01:そもそも企業って何?
→企業の目的:長期的な利潤の追求
・02:生産量と生産費用(コスト)の最適バランスとは?
→生産関数:資源(人、設備)要素と、生産物量との技術的な関係
→限界生産力逓減の法則:ある1つの生産要素(資源)を追加しても、初期段階ほど効率的な生産が行われなくなり、生産の拡大幅は次第に小さくなっていくこと(ワーカー1人で100個生産出来る。2人追加し3人にしても300個にならない。他資源要素(設備など)の制限で労働力を活かせない等)
→費用関数:生産に必要な最低限の費用を表したモノ。曲線で表すと→費用曲線(ワーカーの残業時間を伸ばしても、ある一定から生産性が下がる等)
・03:給与はどう決められている?
→限界収入:商品を1生産した時に得られる収入
→限界費用:商品を1生産した時にかかる費用
・04:商売って誰でも参入できる?①
→完全競争市場:
1.市場に多数の参加者がいること
2.商品の質が同じであること
3.商品の情報を参加者が持ってること
4.誰もが商売に参入/退出可能
→不完全競争:独占状態などアンフェアな市場(完全競争が成り立たない)。各個人が価格に対して支配力を持つ状態等
※独占/寡占企業
・05:価格って誰が決めてるの?
→市場均衡点:消費者が効用を最大化する需要量と企業側が利益を最大化する供給量が一致する点(需要曲線×供給曲線)
→プライステイカー:市場で決まった価格を受け入れるしかない経済主体
※ブライスメイカー:独占市場で支配的に価格をコントロールする企業(08:独占〜)
→やみくもに価格設定しても消費者がついてこれないので供給量調整し価格を変動
・09:寡占業界ってどんな企業ある?
→同質財:作り手毎の質に違いが出ない財
→差別財:質に差が出る財
・10:寡占業界はゲーム?
→ゲーム理論:相手企業が自社の行動にどういう対応をしてくるか予想し、どうすると自分は1番得をするか考えること
→ナッシュ均衡:競争企業も自社も最適な戦略をしていてお互い硬直している状態
・11:寡占業界はなぜ協力しない?
→囚人のジレンマ:各々が合理的な行動しようとすることで、両者にとって望ましい結果を逃してしまうこと。(仲間の囚人同士協力し黙秘すれば双方メリット得られるものの、看守の裏切り(仲間を)提案にジレンマを感じ結果裏切ってしまう)
・12:競争相手が同じだと手を組みやすい?
→フォーク定理:無限界(長期的)の繰り返される囚人のジレンマ・ゲームにおいては、互いに協力する(例:カルテル。逆例:1回限りだから裏切れる)
Chapter 3
・01:そもそも市場って何?
→神の見えざる手:市場とは消費者と生産者が自分の利益を追求して行動すれば、やがて自然に均衡して適正価格が形成される(アダム・スミス"不国論")
※18世紀情勢から市場は国が統治するのではなく、個人の自由に任せることで均衡、成長すると考えられた(特級階級による支配ではなく産業革命によるブルジョア(資本家階級)の台頭)
・02:市場のベストな状態とは?
→パレート最適:ベストな配分を表すこと(欲しい人の元に欲しい物がいき、不要な人からはそのモノが離れる)
・03:市場とは常に不安定なもの①
→外部不経済:ある企業や消費者の経済活動が、市場を通さずに他の経済活動に不利益や損害をあたえること(例:公害)
・04:市場とは常にふあんていなもの②
→共有地の悲劇:共有資産を誤って無限と認識し、無計画に浪費してしまえば、いずれ市場が破綻する危機に直面する可能性がある
→モラル・ハザード:道徳的危機(例:保険に加入した安心からリスク行動をとってしまう状態。保険補償が増加すれば、保険料値上がりというデメリット可能性あるにも関わらず)
・05:市場の不安定は克服出来る?
→コースの定理:交渉による利益が存在するなら、それが動機となって市場の失敗が解決される(民間企業同士が話し合いによって解決するのであれば、市場の失敗は起きないとされる)※ロナルド・コース(1991年ノーベル経済学賞)
・06:実は誰もが市場に関わっている
→公共財:下記性質を持つ財(例:公園、道路、街灯、橋、消防、警察等)
1.非競合:誰が使っても他の人の使用が減らない
2.排除不可能:どんな人でも利用できる
※コストは租税で負担(誰もが負担している。但し、非納税者も使用できる)
Chapter 4
・01:お金はどの様に回っている?
→市場経済:経済の基本、個人(家計)と企業とで行ったり来たりする(企業+商品販売→個人−商品購買→個人+企業で労働→企業−個人へ給与支払い)
・02:国が豊かになる指標はどう測る?①
→GDP(Gross Domestic Product):国内にいる人がどれだけ儲けたか?という付加価値の合計数値/年(例:売上−コスト=利益(GDP)/年)
※GNP(Gross National Product):国民総生産:以前日本で使用されていた指標(世界中にいる日本人/企業の付加価値合計)
※GDPに含まれない:
1.キャピタルゲイン(株,土地等,生産活動によって創出された付加価値ではないから
2.家事労働(計測出来ないため)
・05:物価指数ってよく聞くけど何?
→消費者物価指数(CPI):消費者視点である時の物価を100とし、今の物価がその時よりどれだけ変化したか数値化したもの(例:梨 100円→110円=CPI 100→110
→企業物価指数(CGPI):上記の企業版(企業間売買の価格水準)
・08:経済成長には政府の存在が欠かせない?
→ケインズ経済学:需要と供給の差を調整するのは、価格ではなく数量(1929年世界恐慌に対する対策)。それまで、アダムスミスの神の見えざる手理論により市場は売り手買い手間の活動で均衡するとされていたが、世界恐慌より政府の介入を注目。特に価格ではなく数量の調整として下記2つを行う。
1.金融政策:中央銀行が行う金利調整や債券購入
2.財政政策:政府が行う公共事業、税の増減、社会福祉手当等
・09:経済における政府の役割とは?①
→財政政策(不況):柱となるのは減税と公共投資
→ニューディール政策:1930年代に世界恐慌克服のための経済政策(米国,フランクリン・ルーズベルト大統領)ルーズベルト就任前、アメリカは市場への介入に積極的ではなかった。また、この政策よ効果は限定的(恐慌前まで景気回復せず)だが、戦後の資本主義に影響を与えた
・10:経済における政府の役割とは?②
→乗数効果:実際に政府が使った額以上に国民所得が拡大する現象(例:減税→10万収入増→8万を消費→その8万手にした人は6万を消費→その6万を手にした人は4万を消費→繰返し(0になるまで)累計20〜30万の所得増を齎す)
※日本(高度経済成長期)3年で3倍の乗数効果(現在,2倍未満,貯蓄や返済に使用される)
・11:景気の悪さはどこで測る?
→完全失業率(3%以内ok)
1.完全失業:働く意思と能力ありながらも不況により仕事がない
2.摩擦的失業:季節要因等で仕事がない
3.自発的失業:働く意思がない
※2,3は好景気でも発生(自然失業率)
・12:税と社会保障が国を安定させている
→自動安定化装置:景気の過熱感を抑制する機能(例:所得税,失業保険)
※累進課税:収入増=税増(可処分所得を大幅に増加させない機能)
・13:国が赤字だと良くないの?
→循環的財政赤字:深刻な問題ではない(財政赤字のうち景気の循環によって起きているため。雇用とインフレ安定化の過程)
→完全雇用財政赤字:深刻な問題(雇用も安定しており十分に景気が良いのに支出が税収を上回る)
→基礎的財政赤字:深刻な問題(政策の実行にかかる支出が税収を上回る)
※日本の借金:1,000兆円規模
・14:プライマリーバランスって?
→国民が収めた税金で国家の運営費を賄えてるか?を見る指標(国債などの借金を除外した歳入と借金の利払い等を除いた歳出による収支)
・15:増税と国債発行どっちが良いの?
→リカードの中立命題:経済学上、公債発行と償還が同一世代に限定されている時、増税も国際も同じ(国民が負担する金額は同額で期限が異なる)で、期限が異なる
1.増税:すぐに支払う
2.国債:国が一旦立て替える
・16:少子高齢化なのに経済成長できるの?
→経済成長の要因:
1.労働力
2.資本の蓄積
3.技術進歩
→人口減少だが、デジタル技術の進歩により人口減を補い経済成長する可能性有り
※日本:2008年より総人口減少
(労働年齢人口(15ー65才)は1995年より減少
a.1995年:8,616万人ピーク
b.2030年:6,337万人予想
c.2060年:4,418万人予想
・コラム04:合成の誤謬:部分的に合理的で正しい行動が、全体としてはデメリットのある結果となりえる(部分:倹約→全体:経済停滞,部分:家庭で子供の人数抑える→全体:少子化問題)
Chapter 5
・02:金融ってどうゆうこと?
→金融:資金需要と供給の調整(貸付,預金)
→信用創造:最初に顧客から受け入れた預金額の何倍もの預金通貨を作る(預金100万→90万は企業へ貸付→企業仕入れ先へ支払い90万→仕入れ先銀行へ90万預金→銀行80万企業へ貸付→企業80万回仕入れ先へ支払い→繰返し)
・03:日本銀行ってどんな銀行?
→日本の中央銀行(政策も取り行う銀行)
a.発券機能
通貨を独占的に発行する。通貨安定のため一国の流通総量を調整する
b.銀行のための銀行
一般銀行からお金預かり貸付も行う。金融機関同士の手形交換の振替決済
c.政府の銀行
政府から独立しており、政府の歳入(税金)や国債調達金額を管理(政府の預金管理)
・04:公定歩合ってどういうこと?
→日銀が一般金融機関にお金を貸し出す際の金利
a.不景気:公定歩合下げる→市場にお金を流通させる(金融緩和)
b.好景気:歩合上げる→市場のお金を制限させる(金融引締め)
・05:日銀の政策とは?
→公開市場操作:
1.買いオペレーション:市場にお金供給(日銀が国債を一般銀行から買い取る)
2.売りオペレーション:市場からお金吸上げ(日銀が国債を一般銀行へ売る)
→支払準備率操作:一般銀行が企業へ貸し付けられる金額を調整(一般銀行が日銀の当座預金に入れているお金の準備率を調整)
・金融危機にはどんなものがあるの?
→インフレ:年1-2%インフレはOK(経済が成長していると見なされる)それ以上のインフレになるとお金を信用出来なくなる可能性高
※良いインフレ:需要に供給追いつかない好景気時のインフレ
悪いインフレ:賃金や原材料コスト上昇による不景気時のインフレ
→デフレ:発生要因多岐(土地や株価の下落,消費者の購買意欲停滞,物の供給過多,不景気という思い込み等)
※デフレスパイラル:物価下落→企業利益低下→給与減少→消費減少→物価下落...etc
・10:バブル経済って何だったの?
発生要因:
1.1985年プラザ合意(為替240→120円)
2.日本円高不況
3.日銀による公定歩合引下げ(5%→2.5%)
4.市場に資金流動過多
5.企業が財テク(投資)活発化→バブル経済1986〜1991年
6.1989年日銀による急激な公定歩合引上げ(→6%)、政府による不動産取引規制、課税強化により金融、財政引締め
7.1991年バブル経済崩壊
・11:なんで日本はデフレになった?
→バブル崩壊による企業収益悪化、消費減少
→政府のデフレ対策
1.円安誘導
2.消費税引上げ
3.インフレ目標
4.土地・資産の保有メリット付与
5.量的緩和
6.財政出動
・12:今更だけどアベノミクスって何?
→安倍政権の経済政策(3本の矢)
1.大胆な金融緩和
→インフレ2%まで量的緩和
2.機動的な財政政策
→リニア,道路橋等の公共投資
3.成長戦略
→民間投資喚起(ロボ,宇宙産業等)
※2018年現在GDPの6割占める個人消費は依然と弱い(デフレ継続)
Chapter 6
・02:貿易の基本的な考え方とは?
→比較優位:貿易上、ある製品について相手国より生産性の高いこと
→比較優位の原則:貿易相手国と自国において、それぞれ比較優位を持つ製品を生産し、逆に優位持たない製品は相手国に生産してもらい輸入することで包括的に生産性は高まること
・04:日本の貿易はうまくいってるの?
→国際収支:2011-2015赤字,2016〜黒字
1.経常収支 (黒字)
a.貿易収支
b.サービス収支
c.所得収支
2.資本収支 (赤字)
株,債券,不動産の貿易収支
a.直接投資
b.証券投資
※アメリカ1980年半ばより貿易収支赤字
→サブプライム問題:金利高いが審査甘い低所得者(サブプライム)向けの住宅ローンが大ヒット(住宅価格上昇を前提に返済能力以上のローン組みしていた)→更に住宅需要旺盛(バブル)→次第に需要,価格とも下落(バブル崩壊)→支払い出来ない不良ローン増加→サブプライムローン多く抱えていたリーマンブラザーズ破綻(約64兆の負債)
・11:フェアトレードって何?
→発展途上国で作られた作物や製品を適切な価格で継続的に取引することにより、生産者の持続的な生活向上を支える仕組み
Chapter 7
・02:経済政策に遅れはつきもの?
→政府行動後、効果出るまで時間かかる
1.認知の遅れ:経済状態を政府が認識するまでの時間
2.実行の遅れ:施行する前に調整などの時間が必要となる
3.効果の遅れ:実行した後に、経済が変わるまでの時間
・04:なぜ消費税は導入された?
→税:
1.直接税:所得税や法人税
2.間接税:消費税や酒税,タバコ税
→消費税:国内の人平等に課税される(使った額に応じて)、
・06:年金支給開始の引き上げが孕む問題
高年齢者雇用安定法:企業は以下の1つ導入が義務となった
1.定年年齢の引上げ
2.定年制度の廃止
3.継続雇用制度の導入(嘱託)
Chapter 8(行動経済学)
・02:2017年ノーベル経済学賞は何が凄い?
→ナッジ効果:最もふさわしい選択肢が選ばれやすい様に提示方法を工夫すること(個人の選択の自由を保障ふる前提,リチャード・セイラー,例:小トイレのハエマーク,税金の支払いが期限通りにされていることの掲示など)
・03:ひとはだんだん良くなる方を好む
→上昇選好:人は時間経過によって満足が拡大する傾向を好む(給料が毎年上がっていくの嬉しい)
→例:イチローは安打数をKPIとした(打てば常に良くなる⇆打率は下がる可能性ありネガティブ感情を招きやすい)+損失回避の法則
・04:掲示の仕方で印象がガラリと変わる
→フレーミング効果:同じ内容でもポジティブなフレーミングで伝えると選択されやすくなる(85%の成功⇆15%の失敗)
・05:人は顕著な特徴だけで全てを判断してしまう
→ハロー効果(後光効果):目立ちやすい特徴に判断をひっぱられる(例:ただの人参⇆地元佐藤さんの人参)
・06:損をしても変化したくないという非合理性:
→保有効果:保有してる物に高い価値を感じてしまう心理的作用(例:愛用してる製品のアップデート版が発売されても手放したくない,試着したものを良く感じて買ってしまう)
→現状維持バイアス:経験した事ないことを回避し現状を維持したくなる(例:仕事に不満あるも転職しない,新しいサービスに手をつけられない(ガラケー→スマホ))
→おとり効果:自分で競合製品(商品群)を作り、顧客にどちらを選ぶか?という選択をさせる(買うか,買わないか?選択ではなく)