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Posted by ブクログ 2024年03月31日
ぐいぐい引き込まれるストーリーとは言いにくく、主人公の思索が多いため、ページ数のわりに読み進める時間を要したが、非常に充実した読後感であった。
物語を排除して見つめるということは、科学に携わる者にとっても実はかなり難しい。文庫の解説が素晴らしい。
しかし、紹介文がすごいネタバレであることよ。スト...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月01日
池澤夏樹3作目。
火山という自然現象を軸に、過去と未来を行き来し、科学の力とそれを超える超自然現象と交感し、物語と神話について考察しながら作品が進んでいく。
どうしたらここまで人間総体を遠くから眺めるような視点を持つことができるに至ったのか分からないのだけれど、本当にすごい作家だなと思った。
科学的...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年10月08日
うさぎは、分かっているのに不思議と罠に
つかまってしまう。
文中に出てくるこの一つのエピソードが、
まさに、説明の付かない人間の「衝動」を
うまく表していると感じます。
身の危険を以っても鎮められない自身の
内なる衝動に身を任せる主人公の姿は、
読者にも同じような高揚感を抱かせます。...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年08月04日
「自然」に関する、池澤夏樹らしい作品。
「自然」と、人の語る「神話」が対になって登場し、言葉を超えたものの存在を訴えかける。
小説は、まさに言葉によって作られた物語だ。それが神話を否定するのは、自己矛盾だ。
だけど、さらさらとした筆致は空気に触れると溶けて、言葉の印象を残さない。場面は淡々と切り替わ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年07月19日
長い手紙。長いだけで直接的なメッセージがない、そんな手紙が読まれるシーンはなんだか村上春樹の「ねじまき鳥」が思い出されました。(いきなり関係ない作者出してすみません)
この作品では前述した手紙をはじめ江戸時代の女性の物語や「シェヘラザード」用のエピソードなど物語の中で物語が突然、そして何度も語られ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年01月22日
世界を理解するためにはどのような態度をとるべきかのヒントになる。自らに都合のよい部分を切り取ってつくりあげた物語や神話に(宗教もそうかも)、居心地の良さを求めるか、あるは己の好奇心を原動力とする自然科学的探究の行動を実践するのか。後者を選ぶときにはプリニウスや野ウサギの運命のような過酷さを受け入れる...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年08月26日
火山学者である頼子は、広告の仕事をしている門田と出会い、彼にある嫌悪感を抱く。門田はあまりにも軽率に言葉を濫用している。彼の仕事は頼子に言わせれば「贋の物語、贋の神話を作って、それを新製品にもったいぶってくっつけること」であり、彼自信が言葉や妄想で真実や本当の気持ちを覆ってしまい、ずいぶんと不誠実な...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年06月12日
本を読むときに、作家がどのレベルで人間を見ているかということを感じるのはとても重要で、そのレベルがわたしと一致しているかわたしの求めるものでない限り、読書というのは多かれ少なかれ空虚なものになりがちだとおもう。池澤夏樹の人間に対する向き合い方はすごく好き。好感が持てる。それに加えて、この本では自然の...続きを読む
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