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泉鏡花文学賞を受賞した傑作中篇集。
語り手の「私」が、自分の子供のころの母親の思い出を語りだす。と思いきや、突然思い出を断ち切るように、二十歳ごろのうらぶれた京都旅行の話が始まる。線路で泣いている仔犬を救おうとした話、田舎の郵便局で働く巨漢の元力士、千年前の源平時代の領主の話、裸の大将・山下清の話、そして行き着くのは百年前にハワイに移民した日本人の話――自在に空間と時間を往来する、「私」を巡る五つの物語。
タイトルになった〈往古来今〉とは、「綿々と続く時間の流れ。また、昔から今まで」を表す中国の四字熟語。時空がなだらかに転調していくこれまでのスタイルを踏襲しながらも、新しい挑戦に挑んだ意欲作である。
解説・金井美恵子
Posted by ブクログ 2015年12月08日
磯崎憲一郎作品のほんの一部しか読んでいないけれど、この作家の「時間」というものの捉え方、特に「過去」というものを見つめるまなざしはとても特徴的だと思う。一種の「温かさ」というか、「目線」や「視線」というよりも「まなざし」と表現すべき、人の肌の温度や意思のようなものを感じる。
まるで自分の子どもを見つ...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年05月21日
「過去の話」
旅行というのは日常からの逃避で
その意味では一種の祝祭で
擬似的な冥途旅と言うこともできる
それに行った人は、つまらない日常のありがたみを思い
新たに生きる活力を得るわけだ
そのまま帰ってこられない旅もあるんだけどな、本当はな
「アメリカ」
四次元的な直感能力を発揮して
生粋のアメリ...続きを読む
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