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時代を超え、遠い憧憬を呼びさます鏡花の傑作短篇、初の画本化!
異界を覗く愉悦と甘美な慄き!
言語のみを媒介として組み立てられた、
鏡花の自我の奥底にひそむドラマの構造が、
私の目にありありと映り、その超現実的な
言語体験を私もまた痛切に共有し得るという、
芸術作品の秘密は何であろうか。
澁澤龍彦
(『偏愛的作家論』より)
尾崎紅葉のもとで小説修業をし、作風は、川端康成、石川淳、三島由紀夫、澁澤龍彦らに多大な影響を与えた、
泉鏡花の幽玄華麗な文体が煌めく名作短篇。
金沢の年間約2万人、開館以来、約40万人が訪れた、泉鏡花記念館で開催予定の
「泉鏡花×金井田英津子『絵本の春』原画展」公式画本。
こちらが覗けば向こうからも、というわけで魔の小路を覗いた
少年は美しいあやかしに微かな毒意を秘めたいたずらをされます。
鏡花の少年は常に無垢で純粋な魂の標号のような存在ですが、
それが無惨なもの悪意あるものと対置されるとき、私にはちょうど
手で作った窓のような装置となって束の間の幻想を見せてくれるように
思われました。 ―「あとがき」より―
Posted by ブクログ 2023年04月26日
★新坊や、可恐い処だ、あすこは可恐い処だよ。
絵が凄い。それだけでも持っておきたくなる。
あやしい小路があり逢魔が時なは貸本屋の札が貼られているのが見えたりするのだが占いをやってる小母さんは一度死んで甦ったことがあり身体も大きくなかば魔に近い存在なので平気でそのせいか少年だった頃の「私」もなんと...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年02月06日
鏡花の妖しく美しい世界を画家である金井田英津子さんのスタイリッシュでノスタルジックな画が響き合い、より不思議な世界を作り出しています。逢魔ヶ刻、魔の小路を覗く少年。娘の時に一度死んで通夜の三日の真夜中に蘇った大女の小母さん。今はなき曰く付きの組屋敷。全てが薄暮にくすむ世界で妖しさだけが絢爛に輝く。憧...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年04月13日
怪奇幻想ホラーは古典の方が怖いと改めて実感する。屋敷町の荒れ果てた裏小路、十歳くらいの「私」が土塀の一ヶ所にくっついて庭の中を覗いていた。占い師をしている小母さんがやってきて、恐ろしい伝説を聞かせてくれた。「あの組屋敷の侍が巳巳巳巳、巳の年月の揃った若い女の生肝で治るというので、侍は人買いから若い女...続きを読む
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