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「古池や蛙飛こむ水の音」の句を詠んで華やかな江戸文化人サロン注目の俳諧師となった松尾芭蕉。遂には「風雅の正道」と喧伝され、没後は朝廷から「飛音明神」の号を賜り、偶像化され神となった。しかし、その芭蕉にはもう一つの顔があった。水道工事監督、幕府隠密、イベントプロデューサー。それぞれに危うい博打を打ち、欲望の修羅を生きた「俳聖」の生々しい人間像を描き出す決定版評伝。(解説・小澤實)
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Posted by ブクログ
著者の『芭蕉紀行』も読んだ。芭蕉=隠密説は、彼の出身地が伊賀であることから得心できることだ。江戸時代は日本国内を旅することは、現代の外国旅行と同じだったろう。特に「おくのほそ道」紀行は、隠密旅の緊張感が伝わってきた。また、貞享暦『天地明察』や土芥寇讎記『殿様の通信簿』といった既読本につながる話題が出...続きを読むて、更に芭蕉を身近に感じられた。
この本を手に取ったとき、私は入院中だった。緊急入院だったので必要最小限の私物しか持って行っておらず、家族も仕事等で面会に来れない状況だったので、病院の売店で何か読む物はないかと探したのだが、なかなかピンとくるものがなく、正直、ないよりはまし程度で購入したのである。 ところが、いざ読み始めてみると、面...続きを読む白くてどんどん読み進めていた。芭蕉が「何のために」東北へ赴いたのかというのは、中学の時の国語の授業で「奥の細道」を読んだ時もちょっと疑問に感じていたところはあったので、最近言われている「芭蕉隠密説」はなるほどと思うところがあったのだが、この本はもちろん単なる都市伝説などではなく、嵐山先生は芭蕉の作品の中に、また当時の時代背景からも、とても丁寧に論を展開しておられたので、最後まで本当に興味深く読んだ。 解説で小澤實氏が「本書を読んで、隠された旅の目的によって、数々の名句や『おくのほそ道』という作品の価値は変わるものではないと思うに到った。逆にその作品の陰影を深めるものという感じがしている。」と書かれているのだが、本当にその通りだと思った。仕方なく手に取った…はずだったのに、また読み返したい本に出会えた。とりあえず「おくのほそ道」の現代語訳を読んでまたこの本を読み、最終的には原文にチャレンジしたい。
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