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民俗学者、国文学者にして釈迢空の号で知られる歌人、そして小説家でもある折口信夫。多方面にわたる業績は「折口学」と総称されるが、全貌をひととおり眺めるのは容易ではない。本書ではその生涯をたどり、関東大震災、二・二六事件、敗戦から占領へという日本崩壊への危機感がこの稀有な思想家を生み出したことを示す。さらに、折口の思想をナショナリズムとの関係性から読み解き、真の保守主義とは何かを問う。
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Posted by ブクログ
関東大震災や二・二六事件、太平洋戦争と戦後の日本社会の変容といったできごとに対して、折口信夫がどのようなしかたでかかわってきたのかということを論じた本です。 本書では折口を「保守主義者」と規定していますが、折口にとって守るべきものは、日本の政治や国家などではなく、人びとの社会生活だったと著者は論じ...続きを読むています。そして、彼の生きた時代のなかで、人びとの社会生活の危機がしだいに大きくなり、そのような事態に対処するために、折口は日本の古代へとさかのぼろうとしたと著者は考えています。 ただし折口は、その当時の政治的状況のなかで彼の提案がどのような意味をもつのかといったことについて検討をおこなうことなく、むしろ彼自身の心情から直接に現われ出たものとして表明されたとみなされます。折口のそうした振る舞いは、日本の人びとの社会生活を愛惜する彼自身の学問的態度と密接な関係をもっていました。 しかし著者は、そうした折口の日本に対する愛が、日本社会の内部に暮らす者の立場から示されたものではなく、折口の提唱する「まれびと」にも相当するような立場から示されていることを著者は主張します。 折口のとらえがたい思想の一面を、彼の生涯と日本がたどった歴史的状況とのかかわりという観点からとらえようとする、興味深い試みだと感じました。
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折口信夫 日本の保守主義者
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植村和秀
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