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結婚式の最中に、新郎が刺殺された。しかし、被害者の新郎と加害者の間には、何のつながりもない。加害者を犯行に至らせた、驚くべき理由とは? という表題作をはじめ、名門高校の受験をめぐり、不幸の連鎖にずぶずぶとはまってしまった家族を描く「姦の毒」など、人の心の闇を照らしだす、初期発表の傑作短編6編を収録。殺しても、なお続く……負の連鎖!
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Posted by ブクログ
実に素晴らしかった!! この本は、6編からなる短篇集なのだが、いずれも人間の心の闇というテーマで統一されている。 『夢の虐殺』は、毎日ひたすら繰り返される、没個人の社会生活に嫌気がさしたサラリーマンが主人公だ。彼は、一旦は、今の生活を捨て、かつて思い描いていた夢を実現させようとするのだが・・・。 ...続きを読む よく、サラリーマン生活を捨て、自分らしく生きる!!それがよいのだ!!と言ったテーマの本をみかけるが、この話はそういった類の本より、もう一歩踏み込んで書かれている。 会社の歯車として働き、決して一個人としては認識されることのない生活を送るサラリーマンが、今まで培ってきたもの(社会的地位、家庭など)全てを捨て、夢に生きるということは、困難であること。 没個人という反面、自分の力によって生きるか死ぬかが決まるのではなく、会社に守られ、ほどほどの生活を保障されていること。 こういったぬるま湯的環境に長年身をおいた人間にとっては、夢に生きることは不可能であること。 このような事実に、主人公は気付かされるのである。 世間には、「好きなことを仕事に!!」とか「会社の歯車ではなく自分の力で生きる!!」といったことをよしとする風潮があるが、実際好きなことでお金をもらおうとすれば、かなりの突出した才能がいるだろうし、自分がしたいこと=自分にできることとは限らない。また、自分の力で(例えば起業などをする場合)何かしようとするのにも、やはり才能はかかせないし、様々なリスクを負うことにもなる。 こういったマイナスの側面には目を向けず、プラスの部分ばかりみて、それが全てだと思っていると、思わぬ陥穽にはまることになってしまうだろう。 他にも、『姦の毒』や『黒い合併』など、奥行きの深い作品ばかりだったd(・▽<)
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森村誠一
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