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「日光奉行所の武芸について検分して参れ」。公儀武芸帖編纂所頭取の新宮鷹之介は、支配役の若年寄・京極周防守から将軍の命を伝えられた。将軍家斉の気遣いに感謝しつつ鷹之介は、ご褒美旅で土産話でも持って帰ろうと、役儀で初めての旅に出た。奉行所の視察を終え、帰り旅の途中鷹之介は思わぬ騒動に巻き込まれることに――。濃厚で読み応え抜群の、シリーズ第七弾。
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Posted by ブクログ
躍動感があり、人情味が溢れ、読み応えのある作品。岡本さとるさんの「鉄の絆」、若鷹武芸帖シリーズ№7,2020.11発行。
成長ぶり著しい鷹之助
新宮鷹之助は、日光奉行所の武芸を見聞して来るよう命じられて、日光の旅へ出るのであった。新宮家の若党、原口鉄太郎と中間の平助が鷹之助の供をすることになった。 日光からの帰府の途中、今市宿で鷹之助達三人は猪鍋を食したのだが、好奇心の強い鷹之助が猪を捕る猟師の技術を見てみたいと言い出した。宿で訊ねる...続きを読むと、この辺りの山間にある長田村に土橋忠三郎という鉄砲の名人がいると、教えて貰った。 忠三郎は、嘗て幕府の鉄砲方で鉄砲磨き方同心と仕えていたのであったが、鉄砲撃ちの衝動を抑えきれず、妻子を捨てて長田村の猟師万造に弟子入りをしたのだった。そして、万造亡き後長田村に残り、日ごろ山を歩いて猟を続けていた。猪や熊を一発で仕留める確かな腕前を持っていた。 長田村ではちょっとした騒動が起こっていた。根太七という百姓が熊に襲われて死んだ事件だ。事の発端は、村の管理下にあった入会地の一部は、根太七が所有者であると言い出したことにあった。外所者が入らずしかも迷信のようなものを信じる村故に、根太七の死亡が山神の祟りだとか呪いだとかで片付けられた。しかし、鷹之助はそれを撥ね除けて死因を探るのである。しばらくして鉄太郎と平助、土橋忠三郎と共に、根太七の縁者の喜助を犯人として捕まえて、見事に事件を解決するのである。 この物語を読んでいると、時に私は時代感覚の錯乱を覚えたのだが・・・ しかも鷹之助の目覚ましい成長ぶりには目を瞠るものがある。非常に頼もしいし、頼りがいのある頭取に変わっている。鷹之助は江戸の頃の成熟した自信みなぎる人物なのだろう。 私もまたいつの間にか時空を超えて、将に今こそ自信を持って生きていけと言われるような気がしてならない。元気を貰える物語である。
#アツい #感動する
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