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「人間創りに参加してほしい」カウンセラーのJJは年齢性別さまざまな4人の引きこもりを連携させ、あるプロジェクトを始動する――!
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Posted by ブクログ
面白かった。作家と出版社の関係で物議をかもした作品。文庫化されて良かったと、率直に思った。 引きこもりのカウンセラーをしている男が4人の引きこもり(ヒッキー)とあるプロジェクトを始める。そのプロジェクトが意外な方向に動いていく。結末はある程度予想がついたのだが、ちょっとしんみりさせられる
ひきこもりたちとカウンセラーが組んで いくつか仕事をしてみる話 ひきこもりという現代社会な素材を いかにキャラクタ属性として表現するかという 少し前の電撃文庫にありそうなライトノベルのつくり それをこの作者の火力で仕上げた作品 ひきこもりに対して現在的な見方とかがあるわけではなく 何も解決していなく...続きを読むとも この話の登場人物たちはひとつ達成したここちになることで めでたく終わる 肩透かしなはずなのにそうあまり感じさせない幻想性が 作者の技と思わせる読後感
ひきこもり専門のカウンセラーが、クライアントのひきこもりたちと協力して「不気味の谷」を越えるCGを作っちゃう、ていうお話。 作者と元々の出版社との間にゴタゴタがあっていろいろと話題になったんだけど、そういうの関係なく、純粋に読んでて楽しい本だと思う。 ていうか、夢中になって読んでしまった(^^) 登...続きを読む場人物みんな魅力的なところがすごく好きで、特にひきこもりたちをサポートする伝説のハッカー、ロックスミスがお気に入り。 ロックスミスの正体は結局わからないままだから、勝手にコンビニ店員の白雲(はくうん)さんだと妄想して、セージとのラブストーリーを脳内で展開( ´ ▽ ` )♡
お墓参りの往復に文庫本を持って出て、面白くて一気読みしました。没頭していて気付いたら終点駅に到着していました。こんな事は滅多にありません。終点駅が最寄駅でよかったです。帰宅後も続きを読み、翌日には読み終えました。ものすごくおもしろかったです。 万人受けするタイプの、物語の構成に重きのある、メッセー...続きを読むジが伝わりやすく共感しやすい、テンポの良い、小説です。 津原さんは初めて読んだのですが、伊坂幸太郎さんや恒川光太郎さんや佐藤正午さんと同じタイプの作家さんです。ページを捲る手が止められなくなります。 津原泰水さんにハマったので他の作品も読んでみようと思います。
早く寝なきゃ、なのにページを繰る手が止まらない。あぁ今夜も夜更かしだ…。 久しぶりにそんな読み方が出来た。 軽快だけど軽過ぎず、適度に読みやすい文体。 変に道徳的過ぎないのも好ましい。全ての登場キャラクター達に純粋な意味でのハッピーエンドは無い。それぞれに甘辛ミックスな現実がある。 だけど最後には...続きを読む一筋の希望の光が。 スレてしまった大人でも心が温かくなる、爽やかな青春冒険譚。
登場人物が全員魅力的。章が変わるごとに移っていく視点が吸引力となり、一気に読み終わった。 ラストも爽やかでよかった。
いわゆる「ひきこもり」を、全く弱者として扱わない。 誰もが特別で、トライする限り可能性は無限にあると、肩ひじ張らずに示してくれる。 読み終わって感極まり泣いた。 超同調社会の現代の日本で、この本の出版が立ち消えになっていたら、厭世観が加速するところだった。 早川が出版してくれてよかった。
4人のひきこもりと凄腕ハッカーらを奇妙なプロジェクトに参加させ翻弄するカウンセラーJJ。 ストーリー展開はテンポよく軽妙で予測不能かつ牽引力がある。 なにげないしぐさや細部の描写がすばらしくドキリとした。 『11』を読んだときにも感じたのだが、文体に著者特有の「読みにくさ」を感じるのはぼくだけだろう...続きを読むか。
20190814 ヒキコモリ支援カウンセラーのJJが集めた四人の引きこもり、パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは、JJの提案したプロジェクトのためそれぞれの仕事をすることになる。JJの目的は、そして、4人の引きこもりの未来は。 新書版の社長のツイッターが問題になり、出版社が変わって発刊された作品。...続きを読む出てよかった!あいかわらずのシャープなテンポと甘すぎない展開、でも希望のある未来。4人は結局JJに踊らされた部分はあるが、踊って見て良かったと思っているだろう。続きがあればいいのに、でも絶対ないんだよな、でもそれもいいんだよな、と思える作品。
タイトルがどっかで聞いたことがあると思って口ずさんだら、曲調を覚えていた。カバー・イラストにあるのと同じ型のベースを持ったマッシュルーム・カットのポール・マッカートニーが『ヒッピー・ヒッピー・シェイク』と歌っていた。「ヒッキー」が引きこもりの俗称であることは知っていた。扉の裏に次のような文言が引かれ...続きを読むている。 ひき - こも・り【引き籠もり・引き隠り】 仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、六ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態。時々は買い物になどで外出することもあるという場合も「ひきこもり」に含める。(厚生労働省) 読んで、ちょっと引いた。これで自分は、政府から正式に「ひきこもり」に認定されてしまったような気がした。妻もどこかでこれを読んだのかもしれない。本気で自分の夫のことを「ひきこもり」ではないのか、と心配していたことがあった。趣味は読書くらいで、何かをいっしょにやる知り合いというものがいない。ゴルフもカラオケも嫌いで、年に二回、学生時代の仲間と飲むのを除いたら、酒は家で飲むと決めている。 なんだか、人間はずっと家にいてはいけないのか、という気がしてくる。勤めていたころ、雨になると仕事に出てこない人物がいて、理由を訊いた相手に、人間はなぜ家に屋根をつけたと思っているんだ、と返事したらしい。ちょっと変わった人だったが、ちゃんと本は書いて何冊かは売れたようだ。人が快適に暮らす場所として家があるという考えは誤りではない。たまに飛行機が墜ちたり、車が飛び込んで来たりすることはあっても、確率は低い。 好きで家から出ない私のような場合は別として、出たいが出られないというのは辛いものがあるにちがいない。しかし、タイトルやカバー・イラストを見る限り、どうも暗い話ではなさそうだ。津原作品は一冊だけ『エスカルゴ兄弟』というのを読んだことがある。人生を深く考えるにはあまり役立たないが、面白い話だった。全部が全部、そういう世界ではないだろうが、「ひきこもり」をどう扱うのか興味がわいた。 竺原丈吉というひきこもり専門のカウンセラーが、自分のクライアントの中から使えそうな人材をスカウトして「不気味の谷」を越えようとする話。そこに、世界的なハッカーであるロックスミスが加わって、ミッション・コンプリートとなるはずだったのが、どこからかロックスミスを上回る腕前のハッカーが登場して、せっかく創り上げたプロジェクトが思いもかけない方向に漂流しはじめる。 ネット上で「不気味の谷」を超える精度のCGの美女を動かそうというのが、竺原の目論見のようだが、同郷の友人の榊にさえ詐欺師扱いされている竺原のことを、人一倍猜疑心の強いロックスミスは端から信じていない。いざというときには自分の手でどうにでもなるという自信がロックスミスにはあり、独自の動きで牽制しつつ、プロジェクトは進行する。 竺原が考えた四人のハンドルネームは、パセリ、セージ、ローズマリー、タイム。有名なバラッド「スカボロー・フェア」の歌詞から来ている。パセリは苦味を消し、セージは忍耐、ローズマリーは貞節・愛・思い出、タイムは勇気を象徴するという説がある。パセリは白人の父に似た容貌を持ちながら、日本育ちで英語が喋れない。周囲から浮く美貌もコンプレックスになっている。絵はかなりの腕前。セージは技術はピカ一だが会社勤めに不向き。中学生のタイムは熱血教師の指導があだとなり学校で嘔吐する癖がついた。ベースを弾く。 パセリの原画をセージがポリゴン化し、タイムがセリフをつけた「アゲハ」を動かすのがローズマリー(ロックスミス)だ。竺原の狙い通り、四人はそれぞれ他人との共同作業を通じて、少しずつ知らない間に「ひきこもり」から脱却していく。同時進行する別のプロジェクトも軌道に乗り、万々歳かと思ったところに邪魔が入る。竺原が次に仕掛けようと思っていたウィルスが、「ジェリーフィッシュ」という凄腕ハッカーの手で、彼らのプロジェクト「アゲハ」に仕込まれ、「アゲハ」を見た者はそのサイトに誘導され、病気になってしまう。四人は強力な敵とどう戦うのか。 名伯楽がいて、特別な才能を持つ協力者を募り、ある使命に向かって死力を尽くす。『七人の侍』や『鷲は舞い降りた』などに見られる共通のパターンがここでも用意されている。竺原が狩り集めた四人が果たす使命はいったい何なのか、最後まで目が離せない。なにより、竺原自身がうそつきを自認しているので、プロジェクト自体が「信頼できない語り手」によって書かれたシナリオであることが明かされている。お約束のどんでん返しが披露されたところで、話はストンと幕を下ろす。少し風呂敷を広げ過ぎた気もするが、後は野となれ山となれ、という感じがいっそ清々しい。 『日本国紀』をめぐる騒動で、幻冬舎から出るはずだった文庫が早川書房から出版された経緯は、新聞にも出たのでここで詳しくは書かない。結果的には作家の考えを広く知らしめ、新しい読者を得たと思う。単行本の表紙を飾っていた、ビートルズの『REVOLVER』のジャケットを描いた、クラウス・フォアマンの原画が使えなかったのは残念だったが。
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