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真夏の夜、元安川に、人々は色とりどりの灯籠を流す。光を揺らしながら、遠い海へと流れていく――。68年前の8月6日。広島上空で原子爆弾が炸裂した。そこに暮らしていた人々は、人類が経験したことのない光、熱線、爆風、そして放射能にさらされた。ひとりひとりの人生。ひとりひとりの物語。そのすべてが、一瞬にして消えてしまった。朽木祥が、渾身の力で、祈りをこめて描く代表作!第63回小学館児童出版文化賞受賞作。
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Posted by ブクログ
自分が被爆何世なのかは分からない。 それほど時間が経ってしまっているということがわかる。 そのような現代において、【被爆二世】の話を読むことは、意味のあることのように感じた。 【被爆】と【被曝】 【被爆二世】と【被曝者】 文化祭というきっかけから、子供達が自分なりにまとめていこうとする姿は、心...続きを読むに響くものがある。 作者もまた、被爆二世。 そこが、またリアリティをかもしだしている。
5年教科書掲載本 恥ずかしながら、「被爆」と「被曝」の違いを知りませんでした。 ヒロシマ、そして原爆のことだけでなく、戦争そのものについても書かれていたので、一人でも多くの人に読んでほしい本。 息子を特攻で失くした母親から、息子が好きだった女性の娘さんへの手紙ー 「どうか、あなたたちの世代...続きを読むが生きる世界が平和でありますように。自由な心を縛る愚かな思想が、二度と再びこの世界に紛れこみませんように。健やかに成長され、生を全うされますように。」 そして、ホロコーストの研究者たちが訴え続けているという言葉ー 「加害者になるな。犠牲者になるな。そしてなによりも傍観者になるな」 自分にも周りにも言い続けたい。
鎮魂の書であり、戦争を知らない世代にも平和への思いを強くさせてくれる本。これは読み継がれなければいけない。
朽木さん、またヒロシマの本を書かれたのだな、と思い手にとる。 前読んだのはその当日のおはなしだったが、 今回はあれから25年。 被爆2世の時代のはなし。 希未は毎年の行事である灯篭流しの夜、1人の老婦人に声をかけられる。 あの日、多くの人が、一瞬で消えた。 誰かを探している人が広島にはたくさんいる...続きを読むから、という言葉。 お墓参りでみかけた美術の先生。 いつものように起きて、ご飯を食べて、学校に行って、家族のいる家に帰る。そんなあたりまえの日常が、ある日突然途切れてしまった人たちが 自分のすぐそばにいるのだと、気がついた希未たち。 平和学習として、知識として知るんじゃなくて、実感としてあの出来事を 受け止めていく中学生たちが、どうか忘れないように、という祈りとともに描かれている気がする。 日本人は哀しみを1人で抱え込んでしまいがちなんではないかと思う。 自分がどう思うかと、人に伝えるのが下手、というか。自分の感情を 表に現すのは恥ずかしい、というような。 それに、あまりに恐ろしすぎて伝えていいのか分からない、というのもあるのかも。 そうして忘れて、水に流してしまえばなにもなかったようになる。 それは、いい面もあれば悪い面もあって、戦争に関してはきっと悪い面が でてるんじゃないかと思う。 忘れてしまえば、なかったことになってしまえば、もう一度、同じことが起きるかもしれない。 そうならないために、忘れるな、忘れるな、と、誰かが言い続けなければならないんだろう。 美術や音楽は役に立たないから、先に死ね、と言われるような、 国のために、大切な人を守るために、という、綺麗な言葉にくるまれて、 若い命が犠牲になるような、そんな時代がもう一度やってこないように。 作中の短歌は、実際にあの当時詠まれたものみたいだ。 巻末に、作者もしくはご家族の方に連絡を頂きたいという一言が添えてあって。ああ、本当に、そんな気持ちで戦後を生きた たくさんの、吉岡先生や須藤さんや堀田さんがいらしたのだろうなあ、と。 加害者にも被害者にも、そして傍観者にもなるな、か。 はあ、そうだ。傍観者もだめなんだよ。 でもなあ、実際、なにをどうすればいいのか。 秘密保護法なるものもあっという間に国会をとおってしまうし。 通る前はぎゃーぎゃーいってたマスコミも通ってしまえば、その後の 報道は殆どないし。まあ、あの自民圧勝の時に、こうなることは 分かっていたと思うのだが。なぜああもみんな雰囲気に流されるのか。 美しい国、とか政治家が口にするとなーんか胡散臭いんだよなあ。 とりあえず選挙には欠かさず行ってるんだが、 いまだかつてあの流れに打ち勝てたことがないような気がする・・・・。 当たり前の日常が当たり前に続いていく。 そんな未来があればいいのだが。 いや、願うだけでは、だめなのか。 とりあえず、この本は読むべし。
ヒロシマ、その後の物語。かの地に住む人たちの思い、感覚、垣間見られて良かった。中学生たちの素直な気づきと優しさにほっとする。
図書室に新しく買い入れた一冊だったので、試し読みのつもりでページをめくったのに、途中で本を置けなくなり、最後まで読んでしまった。 同じように原爆をテーマにした『八月の光』も読んだが、こちらもとても感動した。 文章表現が豊かで、情景が本当に美しく思い描かれることのできる、稀有な作家さんだと思う。
戦争や原爆の様々な側面をうまく取り上げながら読みやすい話に仕上げている。子どもにもよく伝わると思う。
心にしみわたるような物語だった。この物語は「事実」から織られた物語で、悲しみや痛みは隠れていてなかなか見ることや知ることはできないけれど、「戦争」という行為は戦い自体が終わる事はあっても、そこから生まれてしまったもの(悲しみや痛みや憎しみ)はどれほど長い年月がたっても癒えるものではないのだ、というこ...続きを読むとでしょうか。けれども、それは人の思いによって救われることもある、という部分に、暗闇の中に浮かぶ燈籠の光を感じました。戦争はいけません、絶対に。
『加害者になるな、犠牲者になるな、そしてなにより傍観者になるな。』 とても難しい言葉だ。みんな何かに当てはまるんじゃないか。そう、大多数が傍観者に…。そして無辜の民は戦争に巻き込まれていく。ヒロシマだけじゃない、世界のあちこちで。やはり歴史を知ることは大切だなあと強く感じた。
主人公の学校で原爆について発表することになった。担任の先生が長い間いなくなった。原爆の病気になったんじゃないかと思った。原爆はいけないと思った。
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