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夏休み,兵吾と主税の兄弟は,鎌倉に住む大叔父さんのお屋敷に預けられることに.地元の少女,静音と知り合って遊ぶようになるが,ある日,切り通しを滑っているうちに,“時間が止まった”不思議な谷に迷い込み…….謎解きに乗り出した三人は,やがて瑠璃の伝説と,大姫の悲恋物語に行き当たる.本格ファンタジー.
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Posted by ブクログ
オーストラリアに行くはずが、鎌倉の大叔父さんの家に預けられることになった小学5年生の主税を中心に書かれた歴史謎解きファンタジー。 展開は大体予想通りだったが、結末がわかっていてもワクワクドキドキしながら読めた。 複雑だが、いろいろな人物のエピソードが散りばめられていたのも、読み進めるのが楽しかった...続きを読む理由だと思う。
夏休み、病気の父の看護のため母がオーストラリアに向かうため、鎌倉の大叔父の家に預けられた小学5年の主税と4歳年上の兵吾は、近くの公園で知り合った少女静音とともに鎌倉時代に作られた道「切り通し」でダンボールそりで遊んでいたところ、突然、枝垂れ桜と茅葺屋根の家のある場所に出た。すぐに日常に戻った3人は白...続きを読む昼夢を疑うものの、もう一度切り通しで滑ってみると、同じ景色の場所に出、そこに出てきた老人から「瑠璃を見つけて」この谷を救ってほしいと頼まれる。猜疑心を持ちながらも3人は、この謎を解き瑠璃を探すことを試み始める。 夏休みに出会った3人の少年少女が、力を合わせて謎を解く様子を、見守る大人たちの姿とともに描いた歴史ファンタジー。 *******ここからはネタバレ******* ややこしいお話です。 この兄弟の家系は、全て長男が兵吾、次男が主税。なので、彼らのおじいさんとお父さんと、この物語の主人公5年生の次男も主税なのですね。 どっかもラブコメ漫画に、おじいさんとお父さんが同じ名前っていうのがありましたが、それより遥かに複雑です。 おまけに謎解きも複雑で、ちょっと気を抜いて読み飛ばしていると、ええっ!?なんでここに向かうの?これなんの関係がある場所だっけ?と思うこともしばしばでした。 ああ、挿絵はいらないから、兵吾のメモを載せてほしいと何度思ったことか。 この、謎解き中心のお話の中で、ちょっと浮いてしまっているのが、静音の母、夏子です。静音チームと同じに若い頃の夏休み、一代前の兵吾・主税チームと謎解きをしていたらしいのですが、その最中に兵吾が海の事故で帰らぬ人になり、その想いを今まだ残し、それが今の夫との別居理由にもなっているようです。 でも、この話は大人の問題。子どもの本には不要ではないでしょうか? わからないところも多々あります。 彼らを案内し、瑠璃を隠した主税を助けた光る猫「月白」は、一体どういう存在? 瑠璃を失うわけにはいかないからというので佳月が差し出されたのに、佳月を取り返すためになら、瑠璃を持ち出しても良かったの? 毎日が同じに繰り返される谷と、落ちても割れなかった壺とはなにか関係があるの? 初代か2代目かの主税が持ち帰れなかった瑠璃を、それ以降の主税が中心となって見つけるように仕向けられているのだとしたら、「祖先の未練を解決する物語」だったのかも知れませんね(これは、夏休みの物語にぴったりそうです(笑)。 話がやたら複雑なので、謎解きが好きな高学年以上からオススメします。
さすが朽木さん、と思いました。が、あまりに技巧的にうますぎてかえって物語が胸にひびいてきませんでした。
夏休み、旅行の計画がふいになった兵吾と主税の兄弟は、鎌倉に住む大叔父さんのお屋敷に預けられることに。二人は地元の少女、静音と知り合って遊ぶようになるが、ある日、見知らぬ谷に迷い込んでしまい…。鎌倉の歴史と伝説が彩る、本格ファンタジー。
鎌倉という場所と歴史に題材をとって、そこはおもしろいと思う。 もうひとつ、うまく伝わってこない。 知ってる人には出てくる場所が分かるのだろうけれど、知らなくても景色が見えてくるといいのにな。 謎解きの部分がちょっと急いでる感、エピローグは余計、 入れるんだったらもっと違った形で欲しかった。
代々長男は兵吾、次男は主税と名付けらしている造酒(みか)家の兄弟は、夏休みを単身赴任の父親のいるオーストラリアで過ごす予定が、父親の急病で北鎌倉の大叔父の家で過ごすことになる。母は看病でオーストラリアへ行き、二人だけで鎌倉の山に近いお屋敷へと向かう。そこで近くに住む主税と同い年の少女・静音と仲良くな...続きを読むり、切通の山道を滑って遊んでいるうちにタイムスリップしてしまう。 代々続いた謎を静音の母親や大叔父も交えて解いていく。鎌倉の地形や史実をうまく踏まえた日本的なファンタジーになっている。
鎌倉を舞台にした歴史がらみのファンタジー。 鎌倉ならあり得るかもと思わせてくれる。 代々伝わる古い屋敷での親元を離れた夏休み、と大枠は非常に古典的。というか、あちらの世界との行き来や導き手である謎の白猫も含めて、舞台設定は全体的に古典的かもしれない。でも、何か心をつかまれて、最後のほうは一気に読ん...続きを読むだ。 謎に迫っていく過程もかなりぐるぐるしていて、けっして鮮やかとはいえないし、大おじさんがいろいろ知ってそうなら、もっと早くきいてみればいいのに、なんて言いたくもなったけれど、夢か幻のようなことを正面切って訊くには、それなりの人間関係ができなくてはならない。バカにしないで話を聴いてくれる人だという信頼感がなくては、踏みこんだ話なんかできないのだ。そこらへんの機微が、大おじさんのちょっとした言動をあちこちにちりばめてちゃんと描かれているのがいい。 あと、静音のママ、夏子さん。大人である夏子さんがすんなり冒険の仲間に加わったのは、子どものころ冒険が途中で途切れてしまったからなんだろう。だから歳を重ね、一児の母になってはいても、夏子さんの心のなかには、子どものままストップしているところがある。それがタイムスリップで喪の儀式を経たことで少しだけ解凍されたのかもしれない。大人のかかえる問題をきっちり描いた児童書って実は好き。大人視点の読み方なのかもしれないけど。 夏子さんの冒険が途中で終わってしまったのは、当時仲よしで、あこがれの人でもあった27代兵吾(兄弟の伯父にあたる人)が、謎を解きあかす直前に海で命を落としてしまったから。そこらへん、何も書かれてはいないけど、ファンタジーの世界に足を突っこむことの危険性を暗示しているような気もする。大おじさんの奧さんも早く亡くなっているし、土蔵も焼け落ちているし、じつはこの家、いろいろと不幸に襲われている。その昔、古井戸に落ちた十代ぐらい前の主税だって、見つけてもらわなければどうなったかわからないのだし。だから、この兄弟が無事に謎を解くことができたのは、ほんとうによかった。 さいごに瑠璃(ラピスラズリの画像を検索してしまった)を井戸に投げこんだときの、華々しいフィナーレ感と、そのあとの寂しさ。瑠璃が手元に残らないからよけいに寂しいのだけど、お兄ちゃんの兵吾が何もかも書きとめてくれたからよかったね。亡くなった兵吾も記録者だったし、この兄弟はそういう役割分担なのだなあと。書きとめることで、冒険が、子ども時代のただのまぼろしではなく、この家の歴史として、また彼らの人生の1ページとして記録される。 そんなこんなを積み重ねたあとのエピローグが美しくて、涙が出た。いい物語でした。
歴史とファンタジーと謎解きが楽しめる作品。源頼朝や娘の大姫、木曽義仲、義高など歴史上の人物の名前が出てくる。最初はまったく謎が解ける感じがしなかったけど少しずつ手がかりが見つかったり、大叔父さんや静音の母も加わり、謎が解けていく。3人が鎌倉の地を歩いて手がかりを集めようとするところはワクワクする。 ...続きを読む 鎌倉に行ってみたくなる。
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