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維新150年、偽りの歴史を斬る。共感と論争の問題作、ついに文庫化!幕末動乱期ほど、いい加減な美談が歴史としてまかり通る時代はない。京都御所を砲撃し朝敵となった長州を筆頭に、暗殺者集団として日本を闇に陥れた薩長土肥。明治維新とは、日本を近代に導いた無条件の正義なのか? 明治維新そのものに疑義を申し立て、この国の「近代」の歩みを徹底的に検証する刮目の書。
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Posted by ブクログ
今まで当たり前に思っていた「維新の英雄」たちの歴史を、真逆の観点から描いています。 これはこれで、かなり偏った歴史観なのかもしれませんが、新しい見方を提示されるたび読んでいてワクワクしました。勝者の側の歴史が身体に染み込んでいるので、たまにはこんな捉え方をした作品を読んでみるのも楽しかったです。
エッセイとまでは言わないが、 史料以外の筆者の意見や考察も多分に入っている点は注意が必要。 ただこれまで盲目的に薩長の作り上げた歴史が信じられている訳で これくらい激しい意見表明があっても良いとは思う。 確かに最初に薩長が企てた『明治維新』は失敗しているのだし、 偽勅の件なども書かず幕府サイドが時...続きを読む代遅れで何も考えていなかったように 教科書などに書かれていて、それを未だ鵜呑みにしている人も多いのは 由々しき事態である。 赤報隊なども1、2行しか書かれていなかったと記憶している。 キリシタン弾圧についても、酷い弾圧があったという書き方しかしていなかったろう。 よく外国の人からすると、窓に鉄格子も無い民家や ATM、自販機が置いてある日本が信じられない治安の良さに 感じると言われるが、 御所の塀が低いことにも同じことが言える。 防犯意識が低いのではなく、 本来日本人ならば、御所に弓を引く行為など発想すらしえなかったのだ。 英国公使館焼き打ち事件も、よくよく資料を読むと実は まだ誰も住んでいない館に真夜中に忍び込んで爆弾を置いて逃げただけなので だいぶ印象が変わってくる。 これは池田屋事件についても同様で、長州が企てていたことを知れば 血相を変えて拷問をしてでも古高から情報を聞きたがった理由がわかるし 命の危険がある中どこかもわからず京の町を虱潰しに 探すしか無かった新選組のことを思うとどれほどの緊張感であったろうと思う。 多分、幕府と朝廷が対立しており、将軍派か天皇派かという争いだった と勘違いしている人は、一定数未だにおられるだろう。 『現在も続いている「官軍教育」』という言葉は大袈裟でもなんでもないし、 「司馬史観」は予てから疑問であったので 原田氏がはっきりいってくれたことで気持ちがすっきりしたところもある。 司馬氏の作品は好きなものも多いが、 読んで見れば「明治維新」至上主義者であることはすぐにわかる。 「明治維新」至上主義に基づいて、新選組など好きではないと思いながら書かれた燃えよ剣が 新選組ファンのバイブルとして持ち上げられているのを見ると、 これを読んで純粋に楽しめるなど、本当に新選組のファンなのかと正直思ってしまう。 作品を読んだことがない方でも、歴史を勉強されている方であれば、 司馬氏は勝海舟好きで桜田門外の変も評価していると聞けば 察するものがあるのではあるまいか。 『明治以降の近代化という名の社会システムと価値観が明らかに行き詰まりを迎えているこの時代に、この近代化をもたらしたことになっている「明治維新」と呼ばれる動乱の時代を、無条件に美化したり、肯定することは許されないのだ。』 『政治家たちは、「維新」という言葉が包含する、論理を否定する暴力的な意味を知って使っているのかといえば、さすがにそうではあるまい。単なる無知の為せるところであろう。』 という言葉に共感する。 戊辰戦争は避けられた内訌であると自分も思う。 山内昌之氏 「歴史とは、現実の果てしない積み重ねをどう解釈するかであって、 人間がひとつの理念で均質に作り上げるものではない」 作家中村彰氏 「(水戸学は)理念が展開していくのが歴史だと決めつけているから、 そこから外れる要素が出てくると、歴史そのものを修正しようとする。 そこで観念的な精神の高揚が生まれ、 天誅という名のテロリズムへ走ることにつながる」 という言葉も印象に残る。 もし『江戸幕府が、慶喜が想定したようなイギリス型公議政体を創り上げ、 小栗上野介が実施しようとした郡県制を採り、 優秀な官僚がそれぞれの分を果たしていけば』 確かにスイスや北欧諸国のような国に日本がなっていた可能性は あると自分も思う。 せめて蝦夷が共和国として残っていれば希望があったのではないか。 バラエティ番組が勝手な放送内容を作成し 市が理由と放送の内容を知って驚いて抗議したものの 制作会社は「もう収録も終わっていて再編集できない」として拒否した というのも流石マスコミとは言え、随分酷いエピソードだ。 テレビ番組の嘘を、自分で調べることなく鵜呑みにしてしまう人は 少なからずいただろう。 明治元年に会津藩領内すべての郷村の百姓たちが 松平容保父子の助命嘆願書を提出したというエピソードは凄い。 名主たちが東京まで来て差し出し、その旅費などは町方が負担したという。 如何に容保父子が愛されていたことか。 石筵の話、確かに検索してみると『理由も無く焼いた』 『会津藩は領民に恨まれていた』という記述がちらほら見つかった。 長州・萩市側が「もう百二十年も経ったので」と言うのは 傍から見ていて疑問である。許されて然るべき謝罪をしたのか。 その上での120年なのかというのもポイントだと思う。 どんな犯罪も、加害者側は被害者側の人生を滅茶苦茶にした自覚がなく 適当な謝罪で許されて当たり前だと思っているものだ。 多分長州側では自分たちが会津で本当は何をしたか 知らない人も多いのだろう。 徳川家は絶対君主ではなく、大名連合を牛耳っていただけ という感覚も無いと思われる。 明治の欧化主義は今日まで続いている。 日々しんどいと感じることの元を調べると大抵が明治以降の欧米化に端を発する。 ジョルジュ・フェルディナン・ビゴーの名前を知らなくても、 風刺画は教科書などで見たことがある人が多いだろう。 日本に憧れて来日までした人が、日本政府に嫌気がさして離れていく。 『私たちは、勘違いをしていないか。 「新時代」「近代」と、時代が下ることがより「正義」に近づくことだと錯覚していないか。「近代」と「西欧文明」を、自分たちの「幸せ観」に照らして正しく位置づけているか。そして、「近代」は「近世」=江戸時代より文明度の高い時代だと誤解していないか。』これは本質をついた指摘だと思う。 『そもそもこの物差しが狂っていることに、いい加減に気づくべきであろう。』という言葉に全面的に同意する。
頑固な老人にありがちな同じ話の繰り返しと根拠なく「〜に違いない」などの感情的な文調にはやや閉口するし、散々ぶち撒けておいて言い訳がましい一言を添えて逃げ道を作っているのが姑息で見苦しいが、それを除いて冷静に内容を読むとなかなかいいポイントを突いていると思う。薩長史観・司馬史観に基づくファンタジーを盲...続きを読む目的に信じている俄か歴史ファンは一読する価値あり。
今まで明治維新こそ日本の鎖国という閉塞した世界から解放した世界に誇る改革だと思っていたが、この本を読んで目が覚めました。 吉田松陰とか廃仏毀釈とか戊辰戦争とか、明治維新にはなんだか変だなと思っていたことが多かったのですがよく分かりました。
いゃあ 面白かった 「明治維新」をそのまま「善し」とする歴史観に 「ん?」を ずっと抱いていたものにとっては 実に実に刺激的で興味深い一冊でした どんなものにでも どんなことにでも 「正」があれば 必ず「負」があるのは当然のこと ことに ここ最近「○○維新」と名付けられたものを 目にするたびに、耳...続きを読むにするたびに 胡散臭さを抱くばかりのものにとって 誠に 面白き一冊でした
今まで常識だと思っていたことの逆の言葉がタイトルになっているので、気になって手にとりました。 賛否両論あるとのことでしたが、事実を別の視点から見ることの大切さを痛感すると同時に、知っているつもりでも知らないことがたくさんあり、自分自身の勉強不足を感じました。 もっと勉強したいと思いました。
明治維新の負の側面について。 以下、本書より。 私たちは、勘違いをしていないか。 「新時代」「近代」と、時代が下ることがより「正義」に近づくことだと錯覚していないか。 「近代」と「西欧文明」を、自分たちの「幸せ観」に照らして正しく見分けて位置づけているか。 そして、「近代」は「近世」=江戸時代より...続きを読む文明度の高い時代だと誤解していないか。 今、私たちは、長州・薩摩政権の書いた歴史を物差しとして時間軸を引いている。 そもそもこの物差しが狂っていることに、いい加減に気づくべきであろう。 そのためには、幕末動乱以降の出来事をすべてそのまま、飾り立てなく隠すこともなく、正直にテーブルの上に並べてみるべきであろう。
明治維新、太平洋戦争、そして安倍政権に至る現在まで、長州の影がずっと射しているんだよなあ。 この怨念はどうにかならぬものか。
新聞広告等で最近やたらと目にするので気にはなってたんですが 単行本で買うほどのものでも無かろうと思ってたところ 文庫で”完全増補版”が出ていたので購入。 政権の宣伝している「維新百五十年記念」には胡散臭さも感じますが、 この書の「明治維新断罪」にも頷けないところが多いです。 もちろん多様な見方があ...続きを読むって面白い。 本書にも少し触れてあるように末期幕府もかなり優秀で頑張っていた事、 長州側もかなりヒドかった事等はもう少し認識されて良い事だと思います。 その意味でもキチンとした冷静な専門家の研究・反論を待ちたい(著者も言ってる) 読み物としてはこの作家のシリーズ、文庫本辺りでならもう少し追っかけてみたいと思っています。
明治維新に関する歴史教育を真っ向から否定し、薩長によるクーデターが明治維新の正体であると著者は主張する。幕末から明治維新にかけての一般的な知識しか知らない私にとっては面白い内容も多かったが、一方で司馬遼太郎の歴史観、薩長への過度な批判もあり、読み手にとってはネガティブな言葉に食傷気味になる。 とはい...続きを読むえ、歴史に強くない私にとっては面白かった。特に面白かったのは、以下の通り ①孝明天皇は佐幕派(幕府を助ける)であり、外国の攘夷は現実的ではなく、幕府主体の政治体制を考えていた ・長州藩が過激な攘夷思想に則り、一部の公家と協力して外国船を攻撃していた ②吉田松陰は非常に過激な攘夷思考を持っていた ・長州藩は吉田松陰の過激な思想ゆえに何度か幽閉をしている。そして、安政の大獄で井伊直弼が吉田松陰を殺害するさいにも、長州藩に事前確率をとり、「吉田松陰は殺害されても仕方ない」と返答を受けていた ③池田屋事件は壮絶な戦いだった 八月十八日の政変で締め出した長州藩の過激派を京都から追放すべく、新選組と会津藩(京都守護)は長州藩過激派を池田屋で襲撃。長州藩は政権奪取のために、明治天皇の拉致と御所襲撃を池田屋で議論しており、これを未然に防いだのが池田屋事件 ④王政復古の大号令後の赤報隊 王政復古の大号令後に徳川慶喜は、諸外国を引き連れて江戸幕府が外交担当であることの承認を取る。王政復古の大号令後に政権奪取が進まないことに焦りを覚えた薩長は、赤報隊を結成させ、京都市内で暴力行為や無差別殺人を実行させた。 赤報隊の挑発に乗ったことを契機に、鳥羽伏見の戦いから始まる戊辰戦争へ発展する ⑤戊辰戦争後に他藩は戸惑っていた ・王政復古の大号令が発令されたとは言え、他藩は薩長の新政府の権威をすぐに認めたわけではなく、戸惑っていた。
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明治維新という過ち 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト〔完全増補版〕
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